ヘソ天を夢見てる。

「お母さん、お米と野菜届いたよ。いつもありがとう」

「いーわよ。食べてもらえる方が嬉しいんだから」

実家から届いた宅急便のお礼に電話をすると、朗らかなお母さんの声が返ってきた。

実家は米農家で、それ以外にも稲刈りが終わって次の田植えの準備が始まるまでは野菜を作り、道の駅に卸している。
そして、そこでは売り物として出せない「訳アリ」な物をいつも送ってくれる。訳アリといっても、味は正規品として出荷している物と変わらない。

「仕事はどう?」

「今はご飯付きの喫茶店で働いてるから、食生活が豊かになった。少量なのにお店の方にお米を安く卸してもらって、早江さんも喜んでる。ありがとう」

早江さんは、先月から働いている喫茶店のオーナー。年齢不詳だけれど、多分70代くらい。

「最近はね、直接『お米を売ってください』って言われることも多いから、小口にも対応してるのよ」

お米が高くなったことで、個人のお客さんが直接買いに来ることが増えたことは、以前にも聞いた。

「でもね、『欲しいのは去年のではなくて、新しいのなんですけど』って言う人もいて、びっくり。お米は1年に一回しか収穫がないんだから、9月に稲刈りしたものしかないのにねぇ」


地域にもよるけれど、お米は5月くらいに田植えをして、9月頃に全てを収穫し、玄米の状態で温度調節の出来る倉庫で保管する。
だからお米の鮮度は、玄米の保管状態と精米時期によるものなのだけれど、それを知らない人もいるらしい。