ヘソ天を夢見てる。

目覚ましの音でビクリと目を覚ますと、手には梶井くんのスマホが握られたままだった。
泣きながら眠ってしまったせいで、鏡を見ると目が腫れている。

フードを砕いてふやかしている間に、お水とトイレシーツを変えた。
チワワはわたしが手を近づけると、反対側の端っこへ行ってしまう。
この子が尻尾を振るところをまだ一度も見たことがない。

「お名前決めたよ。わち。梶井くんがあなたのことをワチチって呼んでたから。そこからとってみました」

頭を撫でようとしたらするりと避けられた。

ゆっくりと、焦らないで、警戒心をとかないと……だよね?


――指輪――


突然頭の中に浮かんだ二文字。

久慈さんは梶井くんが指輪を用意していたと言っていた。
梶井くんのスマホにもそのメモが残されていた。
最後のメッセージは、指輪を会社に忘れた、と。

私物は既に梶井くんのお母さんが持って帰っていて、お母さんから送られてきた小包の中に指輪はなかった。
指輪は、きっとお母さんが手元に残したんだね……