ヘソ天を夢見てる。

ご飯を食べに来ているはずの梶井くんが、休日にはわたしのためにご飯を作ってくれた。

彼は実家暮らしなのだから、家に帰れば手作りのご飯が待っている。だからわたしの家へ来る必要なんてなかった。
一度だけぽろりと「この煮物、母さんのと同じ味だ」と漏らしたことがあったから、お母さんが料理をしないひとというわけではない。

「どこか遠くへ遊びに行こう。会社のやつがいないようなとこ」と誘われたけれど、そんなにわたしといるところを見られたくないんだと思ったら、「行きたい」と言えず断った。
その時、ほんの少し寂しそうな顔されたように見えた。

芸能人の交際0日婚ニュースをテレビで見てた時、「浅葱さんは付き合ってから結婚までどのくらいならOK?」と聞かれ、「最低でも1年」と答えた。
梶井くんはわたしが何気なく言った「1年」を――


もしかしてあの時のことは……そんなふうに当時のことをポツポツと思い出して、苦しくなった。
わたしは、いろんなものを見ないフリして、大切なことまで気が付かないでいた。

聞けば良かった。
わたしたちの関係って、セフレなの?――って。
そうしたら、ちゃんと答えてくれたはずなのに。
「そうだよ」と言葉にされるのが怖くて聞けなかった。


……どうして……どうして……今になって……

……梶井くん……もう一度最初からやり直したいよ……

会いたいよ。


でも……その願いはもう永遠に叶わない。