ヘソ天を夢見てる。

ときどき、あいつはオレの斜め上にいる

何にも言わずにただ見てるだけ

想世は鈍いから気づいていない



いつからか、知らない女まで現れた

あいつは静かだけど、女の方はよく喋る


――ねぇ、あなたは見てるだけ? 未練はないの? 彼女が心配でここにいるんでしょ?――

――どうかな――


嘘だ

オレを迎えに来た日、どれだけ想世を想っているか、ずっと話し続けてたくせに

今だって想世が泣くと酷い顔になるくせに

想世に意地悪するやつを睨みつけるくせに


――私のすること邪魔しないでね――


ある日、女はそう言って、一成の背中を思い切り……蹴った

驚いたオレは、目の前に襲いかかって来た一成を思いっきり噛んだ


想世が一成を心配するのを、あいつはやっぱり見てるだけだった



想世が本に挟んであった葉っぱを見てマンションから逃げ出した日、女は言った


――あれのこと、そんな意味じゃなかった……幸せになって欲しい、って、それだけだったのに……どうしよう……どうしたらいいのかな……――


ずっと話している女がうるさくて、耳を塞いだ


――ねぇ、あなたはこのままでいいの?――


あいつはいつもと同じ 黙って想世を見てるだけだった



あいつがオレに命令したのは一度だけ


――腹を上にして 動くなよ――


は?


――想世に誕生日プレゼント――


なんだそれ?


――自分で解決しないと意味ないんだよ――


それっきり、あいつは二度とオレの前に現れなかった

女もいなくなった



オレはようやく静かに眠ることができる