ヘソ天を夢見てる。

「晶は……」

前にも、今の東田さんと似たような表情を見たことがある。
大切な何かを思い出すような……確か、久慈さんが梶井くんのお通夜で……どうしてそんなことを思ったのか、久慈さんと東田さんは全然似ていない。

「……晶は恋人だった」

それはさっきも……過去形?
でも、そこに想いがあることは、口調からも表情からも見て取れる。
別れてた……の……?

「……もう……いないんだ。想いを伝え合った時には……彼女の時間はあまり残されてなかった」

わたしが高屋さんに教えられていたひとは、もう……いないひと……?

「晶の親友は、晶がいなくなった後に姿を見て話をしたらしい」

東田さんの恋人は……もう……いない……

「……何で一番会いたいと思ってる俺には会いに来てくれないのか……ずっとそう思ってた」

わたしも思ってた。
夢でもいいから会いたいと、眠りにつく前に何度お祈りしたかわからない。

「今は、姿を見せてくれなかったことが……晶の優しさなんだと思ってる。一度でも会ったりしたら、また会いたくなって、晶のことしか考えられなくなるから」

自分の気持ちを言われているみたいだった。
もしその姿を見てしまったら、声を聞いてしまったら、その気配を探して、いつまでも囚われてしまう……

「……亡くなってるんだ……」

絞り出すように吐き出された言葉は、わたしが口に出せなかったもの。

言葉にしたら、それが現実になってしまう。
「いない」と言えばそこにいないだけだけど、「亡くなった」と言ってしまったら、全てを失ってしまう気がして、梶井くんのことをそんなふうに言えなかった。