最近、玖音と友達だという男がベタベタしているのを目にする。頭を撫でたり、顔を近ずけたり…。
友達と言うには距離が近いように感じる。
俺たちは通っている大学が違う。
できることならずっと一緒にいたいし他の男といて欲しくない。
そんな事は言えず、今は時間が合えば大学へ迎えに行くことがあり、その時にだいたい隣にいるのがそいつだ。
あまり玖音は俺に触らせてくれないのに。
それが照れ隠しなのはわかっているし、寂しい事を顔に出すと照れながらも甘えてくれるし甘えさせてくれる。
それもそれで健気でとても可愛いのだが恋人である俺には気軽に触らせないのにあいつにはそれを許しているのを見ると嫉妬してしまう。
友達ができたことはいいことなのだが、心が狭い自分に嫌気がさす。
玖音の行動を制限したいわけじゃない。
玖音には好きな人に囲まれて笑顔でいて欲しい。だがその反面俺の前だけで笑って欲しいと思ってしまう独占欲のようなものもあった。
こんな気持ちになったのは初めてで自分の中でも処理出来ないモヤモヤとした感情だった。
家に帰るといつも玄関まで迎えに来てくれるのに電気が付いていなかった。まだ帰って来てないことに落胆する。早く会いたい。
20時頃だしそのうち帰ってくると思っていたから料理を作って待っていた。
だがいつまで経っても連絡もないし帰ってくる様子もなく次第に焦りを感じた。
もしかしたら何かあったのかもしれない、と玖音の通っている大学の周辺やよく行くスーパーや散歩ルートなど手当り次第探したが見つからなかった。
何件も連絡を入れたし何回も電話をかけた。LINEは未読のままで電話も繋がらない。
玖音の身に何かあったらと思うと不安でその日は眠れなかった。
24時頃をすぎた時、もう1回探しに行こうと外に出ようとした時にスマホに通知がきて、急いで確認すると玖音から連絡が来ていた。
「……は?」
事件や事故に巻き込まれたわけではなく、よかった、無事だった!と安堵したのもつかの間、玖音があの男を抱きしめながら寝ている写真が送られてきていた。
最初はすごく動揺した。なんでそいつと寝てるんだ、どうして。
次第に怒りが湧いてきた。普段俺に触らせてもくれないのにそいつには抱きつくんだ。
男の満更でもなさそうな顔が余計に腹が立つ。
何件も連絡を入れて、電話もかけたが返信が来ないことに苛立つ。
「…クソッ」
壁を殴っても苛立ちは収まらない。
その後も風呂に入ったり、ご飯を食べながら返信を待ったが既読にすらならない。
苛立ちが募るばかりでそのまま寝れずに返信を待っていた。
午前4時頃になってようやく既読が付いて、謝罪と今から帰る旨の連絡が来た。
帰ってきた玖音は俺を見たあと青ざめた顔をして直ぐに謝ってきた。
「…他の男と寝るの楽しかった?」
「え?」
玖音はなんの事だか分からない、といった表情でこちらを見つめる。
弁明をする玖音に怒りは収まらなくて、浮気した?なんて言葉が口から出ていた。
玖音が傷つくと分かっていながら止まらなかった。
顔はもっと青ざめていて、違う!と大きな声を出す玖音に
「どうだか。じゃあこの写真はなんだよ。」
と例の写真を見せた。
玖音は驚いたように目を見開いて固まってしまった。
必死に言い訳をする玖音を遮ってモヤモヤした気持ちや嫉妬を全て玖音にぶつけた。
「…言い訳はどうとでも言えるよね?それに浮気じゃなかったとしてもこの人に抱きついてるのは玖音でしょ?普段俺には抱きついてこないくせにこの人には出来るんだ?」
「そ、それは」
怖がっている玖音と冷静になれない自分が今話してももっと玖音を傷つけてしまうだけだからと、明日も仕事というのを理由にその場を離れた。
布団に潜っても思い出されるのはあの写真でその日の目覚めは悪いものだった。
その日以降、玖音におはようやおやすみと声をかけられてもどうしてもあの写真を思い出してしまい顔も合わせられず無視してしまった。
風呂から上がるといつものように俺のベッドで寝る玖音が居たがあの男には抱きつくくせに、と八つ当たりにも似た気持ちになり、一緒に寝れる気になれずソファで寝た。
次の日には玖音は自室で寝るようになり、自分もベッドで寝ることにした。
…以前、玖音はよく悪夢を見るせいで寝不足になっていることが多かった。
秋人さんと一緒に寝ると悪夢を見ないんだ、と嬉しそうに言っていたのを思い出した。
じゃあこれからは一緒に寝よう。そうすれば玖音も俺もよく眠れる。
と約束したのは秋人だった。
悪夢を見てるかもしれないとも思ったが、別に俺と寝なくてもいいんじゃないかと勝手に傷ついて玖音の元に行くことが出来なかった。
早く玖音に会いたくて飲み会などは断れるものは全て断っていたが、逆に今は帰るのが気まずくなってしまい飲み会に行くことにした。
久々に秋人が参加したのもあってか飲み会は大いに盛り上がり、解散は23時頃となった。
それからもバイト先の先輩や後輩、友人などに飲みに誘われれば行くようになり飲み会がない日はわざわざネカフェに泊まって帰りを遅くしたこともあった。
玖音が不安そうに「いつも夜遅くまでどこに行ってるの」と聞いてきた時も玖音だって連絡もなしに夜中に帰ってきたくせにと「玖音に関係あるの?」なんて酷い言葉をぶつけてしまった。
酷く傷ついた顔をしていたのが忘れられない。
そんな生活を1ヶ月ほどしていた。
今日は休日でいつものようにバイト先に行くと、同期に誕生日を祝ってもらった。そこで今日自分が誕生日だということに気がついた。
前々から誕生日は一緒に出かけようと玖音と計画していたのだが喧嘩で休みを取ることも忘れていた。
その日は朝から多忙だった。ゆっくり昼食を食べることも出来ず、作業をしながら食事を済ませ、また作業に取り掛かる。
そのせいで玖音から連絡が来ていたのも気づかないままだった。
いつもは19時頃には終わる仕事が21時頃までかかってしまった。
同期も後輩も先輩も、会社の人も多く残っていて、そのまま誕生日を祝うのも兼ねてどこかで飲みに行こうという話になった。
玖音も忘れているだろうし、また家に帰るのが遅くなる口実が出来たぐらいの気持ちで飲み会に行くことにした。
バッグにスマホを入れっぱなしにしていたせいで玖音からの連絡や着信に気づかないまま2時間ほど飲み会をしていた。
先輩、後輩と別れ、秋人と同期3人は家で飲み直すことになった。
同期だけだと愚痴や大学の噂など色々な話で盛り上がった。
それからどれくらいたったのだろうか。
いつの間にか寝てしまっていたらしい。
起きると二次会に着いてきた佐藤が隣で電話しているようだった。
佐藤は同期の中では唯一の女性だ。
飲み直す話になった時男だけのつもりだったのだが私だけ省くなんて、と今にも泣きそうな顔をするから仕方なく連れてきたのだった。
「佐藤……?誰…?」
「あ、月下くん。同居人の子が電話してきたよ。月下くん寝てたから私が出ちゃった」
佐藤は前からことある事に引っ付いてきたり胸元を押し当ててきたりする所が苦手だったが、勝手に人の電話に出る非常識さにまた苦手意識が強まる。
スマホを返してもらい、玖音を呼ぶ。
「玖音?ごめん、連絡に気づいてなかった。……玖音?」
玖音から返事はなく遠くからガラガラガラと引き戸を開けるような音がした。
今は11月で外に出るには寒すぎる。
玖音は辛いことがあるとベランダに出る癖がある。
いつもだったら風邪を引くからとリビングに戻して抱きしめてあげるのだが今はそうはいかない。
多分玖音は誤解してる。
あっちからすれば深夜に恋人に電話をかけたら女性が代わりに出た、ということになる。
佐藤とはやましいことはなくても喧嘩中にこの状況は良くない。
自分で蒔いた種でもあるし玖音の精神的な面も体調の面でも心配になる。
同僚の2人は相変わらず爆睡しているから起こさないように上着とバッグを持って帰ろうとした。
「待って!同居人の人には今日月下くんは帰らないって伝えたから朝まで一緒にいようよ」
佐藤に腕を掴まれてそんなことを言われた。
勝手になんてことしてくれてんだこいつは。
胸を押し当てられるのも気持ちが悪い
「…あのさ、今まで言ってこなかったけどそうやって胸を押し当てられるのも勝手なことされるのも迷惑なんだ。
他の男性はそれで気を良くしてくれたのかもしれないけど俺の好きな人は男なんだよね。だからそんなことされても不快だなって思うし恋人に誤解されるようなこともしたくないからこれからはやめて欲しいんだ。」
できるだけ優しく迷惑であることを伝えたつもりだ。
誰にも恋人が居ることも恋人が男なのも言ってこなかったけど佐藤が近寄ってこなくなるなら伝えておいた方がいい。
佐藤は驚いたようで硬直してしまった。
腕を掴む手が緩くなり簡単に抜け出すことができた。
ここからなら走れば15分で帰れる。
走りながら今までのことを考える。
いくら苛立ったからって1ヶ月も無視することは無かった。
玖音は何度も謝ってくれたのに俺は何も聞き入れずに話そうともしなかった。
玖音を1番大事にしたかったのに1番最低なことをしたのは俺だ。
謝らなきゃ行けないのは俺の方だ。
早く帰って玖音に謝りたい。
リビングに入ると明かりが付いていた。
「…これって」
テーブルには手料理が並び、ソファにはプレゼントのようなものが置かれていた。
間違いなく俺の誕生日を祝ってくれようとしていたんだ。
後悔の念に駆られる。
なんてことをしてしまったんだろう。
今は玖音に会いたくてベランダまで急いで向かった。
友達と言うには距離が近いように感じる。
俺たちは通っている大学が違う。
できることならずっと一緒にいたいし他の男といて欲しくない。
そんな事は言えず、今は時間が合えば大学へ迎えに行くことがあり、その時にだいたい隣にいるのがそいつだ。
あまり玖音は俺に触らせてくれないのに。
それが照れ隠しなのはわかっているし、寂しい事を顔に出すと照れながらも甘えてくれるし甘えさせてくれる。
それもそれで健気でとても可愛いのだが恋人である俺には気軽に触らせないのにあいつにはそれを許しているのを見ると嫉妬してしまう。
友達ができたことはいいことなのだが、心が狭い自分に嫌気がさす。
玖音の行動を制限したいわけじゃない。
玖音には好きな人に囲まれて笑顔でいて欲しい。だがその反面俺の前だけで笑って欲しいと思ってしまう独占欲のようなものもあった。
こんな気持ちになったのは初めてで自分の中でも処理出来ないモヤモヤとした感情だった。
家に帰るといつも玄関まで迎えに来てくれるのに電気が付いていなかった。まだ帰って来てないことに落胆する。早く会いたい。
20時頃だしそのうち帰ってくると思っていたから料理を作って待っていた。
だがいつまで経っても連絡もないし帰ってくる様子もなく次第に焦りを感じた。
もしかしたら何かあったのかもしれない、と玖音の通っている大学の周辺やよく行くスーパーや散歩ルートなど手当り次第探したが見つからなかった。
何件も連絡を入れたし何回も電話をかけた。LINEは未読のままで電話も繋がらない。
玖音の身に何かあったらと思うと不安でその日は眠れなかった。
24時頃をすぎた時、もう1回探しに行こうと外に出ようとした時にスマホに通知がきて、急いで確認すると玖音から連絡が来ていた。
「……は?」
事件や事故に巻き込まれたわけではなく、よかった、無事だった!と安堵したのもつかの間、玖音があの男を抱きしめながら寝ている写真が送られてきていた。
最初はすごく動揺した。なんでそいつと寝てるんだ、どうして。
次第に怒りが湧いてきた。普段俺に触らせてもくれないのにそいつには抱きつくんだ。
男の満更でもなさそうな顔が余計に腹が立つ。
何件も連絡を入れて、電話もかけたが返信が来ないことに苛立つ。
「…クソッ」
壁を殴っても苛立ちは収まらない。
その後も風呂に入ったり、ご飯を食べながら返信を待ったが既読にすらならない。
苛立ちが募るばかりでそのまま寝れずに返信を待っていた。
午前4時頃になってようやく既読が付いて、謝罪と今から帰る旨の連絡が来た。
帰ってきた玖音は俺を見たあと青ざめた顔をして直ぐに謝ってきた。
「…他の男と寝るの楽しかった?」
「え?」
玖音はなんの事だか分からない、といった表情でこちらを見つめる。
弁明をする玖音に怒りは収まらなくて、浮気した?なんて言葉が口から出ていた。
玖音が傷つくと分かっていながら止まらなかった。
顔はもっと青ざめていて、違う!と大きな声を出す玖音に
「どうだか。じゃあこの写真はなんだよ。」
と例の写真を見せた。
玖音は驚いたように目を見開いて固まってしまった。
必死に言い訳をする玖音を遮ってモヤモヤした気持ちや嫉妬を全て玖音にぶつけた。
「…言い訳はどうとでも言えるよね?それに浮気じゃなかったとしてもこの人に抱きついてるのは玖音でしょ?普段俺には抱きついてこないくせにこの人には出来るんだ?」
「そ、それは」
怖がっている玖音と冷静になれない自分が今話してももっと玖音を傷つけてしまうだけだからと、明日も仕事というのを理由にその場を離れた。
布団に潜っても思い出されるのはあの写真でその日の目覚めは悪いものだった。
その日以降、玖音におはようやおやすみと声をかけられてもどうしてもあの写真を思い出してしまい顔も合わせられず無視してしまった。
風呂から上がるといつものように俺のベッドで寝る玖音が居たがあの男には抱きつくくせに、と八つ当たりにも似た気持ちになり、一緒に寝れる気になれずソファで寝た。
次の日には玖音は自室で寝るようになり、自分もベッドで寝ることにした。
…以前、玖音はよく悪夢を見るせいで寝不足になっていることが多かった。
秋人さんと一緒に寝ると悪夢を見ないんだ、と嬉しそうに言っていたのを思い出した。
じゃあこれからは一緒に寝よう。そうすれば玖音も俺もよく眠れる。
と約束したのは秋人だった。
悪夢を見てるかもしれないとも思ったが、別に俺と寝なくてもいいんじゃないかと勝手に傷ついて玖音の元に行くことが出来なかった。
早く玖音に会いたくて飲み会などは断れるものは全て断っていたが、逆に今は帰るのが気まずくなってしまい飲み会に行くことにした。
久々に秋人が参加したのもあってか飲み会は大いに盛り上がり、解散は23時頃となった。
それからもバイト先の先輩や後輩、友人などに飲みに誘われれば行くようになり飲み会がない日はわざわざネカフェに泊まって帰りを遅くしたこともあった。
玖音が不安そうに「いつも夜遅くまでどこに行ってるの」と聞いてきた時も玖音だって連絡もなしに夜中に帰ってきたくせにと「玖音に関係あるの?」なんて酷い言葉をぶつけてしまった。
酷く傷ついた顔をしていたのが忘れられない。
そんな生活を1ヶ月ほどしていた。
今日は休日でいつものようにバイト先に行くと、同期に誕生日を祝ってもらった。そこで今日自分が誕生日だということに気がついた。
前々から誕生日は一緒に出かけようと玖音と計画していたのだが喧嘩で休みを取ることも忘れていた。
その日は朝から多忙だった。ゆっくり昼食を食べることも出来ず、作業をしながら食事を済ませ、また作業に取り掛かる。
そのせいで玖音から連絡が来ていたのも気づかないままだった。
いつもは19時頃には終わる仕事が21時頃までかかってしまった。
同期も後輩も先輩も、会社の人も多く残っていて、そのまま誕生日を祝うのも兼ねてどこかで飲みに行こうという話になった。
玖音も忘れているだろうし、また家に帰るのが遅くなる口実が出来たぐらいの気持ちで飲み会に行くことにした。
バッグにスマホを入れっぱなしにしていたせいで玖音からの連絡や着信に気づかないまま2時間ほど飲み会をしていた。
先輩、後輩と別れ、秋人と同期3人は家で飲み直すことになった。
同期だけだと愚痴や大学の噂など色々な話で盛り上がった。
それからどれくらいたったのだろうか。
いつの間にか寝てしまっていたらしい。
起きると二次会に着いてきた佐藤が隣で電話しているようだった。
佐藤は同期の中では唯一の女性だ。
飲み直す話になった時男だけのつもりだったのだが私だけ省くなんて、と今にも泣きそうな顔をするから仕方なく連れてきたのだった。
「佐藤……?誰…?」
「あ、月下くん。同居人の子が電話してきたよ。月下くん寝てたから私が出ちゃった」
佐藤は前からことある事に引っ付いてきたり胸元を押し当ててきたりする所が苦手だったが、勝手に人の電話に出る非常識さにまた苦手意識が強まる。
スマホを返してもらい、玖音を呼ぶ。
「玖音?ごめん、連絡に気づいてなかった。……玖音?」
玖音から返事はなく遠くからガラガラガラと引き戸を開けるような音がした。
今は11月で外に出るには寒すぎる。
玖音は辛いことがあるとベランダに出る癖がある。
いつもだったら風邪を引くからとリビングに戻して抱きしめてあげるのだが今はそうはいかない。
多分玖音は誤解してる。
あっちからすれば深夜に恋人に電話をかけたら女性が代わりに出た、ということになる。
佐藤とはやましいことはなくても喧嘩中にこの状況は良くない。
自分で蒔いた種でもあるし玖音の精神的な面も体調の面でも心配になる。
同僚の2人は相変わらず爆睡しているから起こさないように上着とバッグを持って帰ろうとした。
「待って!同居人の人には今日月下くんは帰らないって伝えたから朝まで一緒にいようよ」
佐藤に腕を掴まれてそんなことを言われた。
勝手になんてことしてくれてんだこいつは。
胸を押し当てられるのも気持ちが悪い
「…あのさ、今まで言ってこなかったけどそうやって胸を押し当てられるのも勝手なことされるのも迷惑なんだ。
他の男性はそれで気を良くしてくれたのかもしれないけど俺の好きな人は男なんだよね。だからそんなことされても不快だなって思うし恋人に誤解されるようなこともしたくないからこれからはやめて欲しいんだ。」
できるだけ優しく迷惑であることを伝えたつもりだ。
誰にも恋人が居ることも恋人が男なのも言ってこなかったけど佐藤が近寄ってこなくなるなら伝えておいた方がいい。
佐藤は驚いたようで硬直してしまった。
腕を掴む手が緩くなり簡単に抜け出すことができた。
ここからなら走れば15分で帰れる。
走りながら今までのことを考える。
いくら苛立ったからって1ヶ月も無視することは無かった。
玖音は何度も謝ってくれたのに俺は何も聞き入れずに話そうともしなかった。
玖音を1番大事にしたかったのに1番最低なことをしたのは俺だ。
謝らなきゃ行けないのは俺の方だ。
早く帰って玖音に謝りたい。
リビングに入ると明かりが付いていた。
「…これって」
テーブルには手料理が並び、ソファにはプレゼントのようなものが置かれていた。
間違いなく俺の誕生日を祝ってくれようとしていたんだ。
後悔の念に駆られる。
なんてことをしてしまったんだろう。
今は玖音に会いたくてベランダまで急いで向かった。

