「何、その言い方」
低く温度のない声が聞こえてハッと顔を上げると怒った顔の侑李が見えた。
「寝ちゃったのも嘘ついたのもごめん。俺が悪い。
でも友達と放課後遊びに行くのもダメなの?」
「ごめん、そんな事言いたかったんじゃ、」
「毎日部長として部活頑張ってたまには息抜きしたいじゃん。帰りはいつも隼人がいるし、たまにじゃないと遊べないんだよ」
「え、」
なにそれ。俺がいるのめんどくさいみたいな言い方じゃん。
そんな風に思ってたんだ。
「お、俺は、侑李忙しそうだし昼休みぐらいしか一緒にいれる時間ないから待ってたのに!」
「待ってて、なんて頼んだ?俺」
そう言われて言葉につまる。
頼まれてないから。
むしろ遅くなるから、と最初は渋られていたのを俺が大丈夫だ、と半ば強制的に放課後は勉強して待っていた。
俺が押し付けていたんだ。
なんだ、侑李は一緒に帰ることを望んでいたわけじゃない。俺が勝手にやってたことだ。
「……ごめん、そうだね。頼まれてないね、俺が勝手に待ってただけだ。」
「……正直さ、今は部活に専念したい。居残って練習してる人だっているのに隼人が待ってるから早く帰らなきゃ、って思って居残りせずに帰ってるんだよ、俺。」
途中から侑李の声が遠くなって聞こえなくなる。
でも、その言葉は俺の心にグサグサと刺さって抜けない。
勝手に期待して落ち込んで、俺が1番になることなんてないのに。
みんな大切にしてるものが他にあって俺は2番にもなれない。
1人は慣れっこだったのに侑李の1番を望んでしまった。
わがままになっていた。浅はかな自分に嫌気がさす。
「…隼人?聞いてる?」
「…うん、ごめん。もう待たないよ、勝手に待って押し付けてごめんね。
部活頑張って、応援してる。迷惑かけてごめん。」
上手く笑えているだろうか。声の震えは仕方がない。泣かないように、必死に顔に力を入れる。侑李の顔は見れなくて俯いてしまう。
「……俺の方こそごめん、言いすぎた。
今は部活を優先することになっちゃうけど、試合が終わればお昼とか帰りも一緒に帰れる時は連絡するから。」
「わかった。」
お互いに謝って、それで仲直り。
俺が我慢すれば全部丸く収まる。昔の一人ぼっちの自分に戻るだけだ。
今日、そもそも寝てしまったのだって侑李が疲れていたからだ。それを一緒にいたかった、って俺の理由だけで迷惑かけて、勝手に怒って、嫌になるような言葉をぶつけて……自分勝手で嫌になる。
「……今日は、もう帰ろっか。」
「…え……」
「お互い1回冷静になろう。それでまた明日一緒にご飯食べて一緒に帰ろ?」
この気まずい雰囲気の中デートするのは難しいと思ったんだろう。侑李はいつものように優しくそう言った。
まるで怒ってないかのように。
わかった、と頷けば、お互い何も話さないまま歩き始める。
空気は重い。
本当は水族館行きたかった。
2人でご飯食べて色んなこと話して、暗くなるまで遊んで。
侑李にもリフレッシュしてもらいたかったのに。
全部空回りして迷惑かけてて。
俺っていつもこうだ。
「じゃあ、気を付けてね。」
そんな自問自答を繰り返していたらいつの間にか分かれ道まで来ていた。
「うん。侑李も。」
触れることなく侑李の背中が見える。
触れられる距離にいるのに今は遠く感じる。
気まずさを残したまま家へ戻る。
今日は夜まで帰らないと思っていたからお手伝いさんには昼食も夕飯もいらないと伝えていた。
まさかこんなことになるとは思っていなかった。
なにか買いに行こうかとも思ったけど食欲はわかないし外に出る気力もなくてやめた。
ベッドに潜り、今日のことを色々と考える。
俺が余計な事を言わなければ良かった、俺が侑李の事ちゃんと考えてればよかった。
俺がしていた事で侑李に今まで迷惑をかけていたことも消えてしまいたくなるぐらい自己嫌悪に陥る。
もう侑李に迷惑をかけるようなことはあってはならない、と話しかけることも連絡することも極力避けようと決めた。
もちろんもう帰りを待たずに即帰宅する。
寂しいし辛いけど、侑李に拒絶されるよりマシだから。
低く温度のない声が聞こえてハッと顔を上げると怒った顔の侑李が見えた。
「寝ちゃったのも嘘ついたのもごめん。俺が悪い。
でも友達と放課後遊びに行くのもダメなの?」
「ごめん、そんな事言いたかったんじゃ、」
「毎日部長として部活頑張ってたまには息抜きしたいじゃん。帰りはいつも隼人がいるし、たまにじゃないと遊べないんだよ」
「え、」
なにそれ。俺がいるのめんどくさいみたいな言い方じゃん。
そんな風に思ってたんだ。
「お、俺は、侑李忙しそうだし昼休みぐらいしか一緒にいれる時間ないから待ってたのに!」
「待ってて、なんて頼んだ?俺」
そう言われて言葉につまる。
頼まれてないから。
むしろ遅くなるから、と最初は渋られていたのを俺が大丈夫だ、と半ば強制的に放課後は勉強して待っていた。
俺が押し付けていたんだ。
なんだ、侑李は一緒に帰ることを望んでいたわけじゃない。俺が勝手にやってたことだ。
「……ごめん、そうだね。頼まれてないね、俺が勝手に待ってただけだ。」
「……正直さ、今は部活に専念したい。居残って練習してる人だっているのに隼人が待ってるから早く帰らなきゃ、って思って居残りせずに帰ってるんだよ、俺。」
途中から侑李の声が遠くなって聞こえなくなる。
でも、その言葉は俺の心にグサグサと刺さって抜けない。
勝手に期待して落ち込んで、俺が1番になることなんてないのに。
みんな大切にしてるものが他にあって俺は2番にもなれない。
1人は慣れっこだったのに侑李の1番を望んでしまった。
わがままになっていた。浅はかな自分に嫌気がさす。
「…隼人?聞いてる?」
「…うん、ごめん。もう待たないよ、勝手に待って押し付けてごめんね。
部活頑張って、応援してる。迷惑かけてごめん。」
上手く笑えているだろうか。声の震えは仕方がない。泣かないように、必死に顔に力を入れる。侑李の顔は見れなくて俯いてしまう。
「……俺の方こそごめん、言いすぎた。
今は部活を優先することになっちゃうけど、試合が終わればお昼とか帰りも一緒に帰れる時は連絡するから。」
「わかった。」
お互いに謝って、それで仲直り。
俺が我慢すれば全部丸く収まる。昔の一人ぼっちの自分に戻るだけだ。
今日、そもそも寝てしまったのだって侑李が疲れていたからだ。それを一緒にいたかった、って俺の理由だけで迷惑かけて、勝手に怒って、嫌になるような言葉をぶつけて……自分勝手で嫌になる。
「……今日は、もう帰ろっか。」
「…え……」
「お互い1回冷静になろう。それでまた明日一緒にご飯食べて一緒に帰ろ?」
この気まずい雰囲気の中デートするのは難しいと思ったんだろう。侑李はいつものように優しくそう言った。
まるで怒ってないかのように。
わかった、と頷けば、お互い何も話さないまま歩き始める。
空気は重い。
本当は水族館行きたかった。
2人でご飯食べて色んなこと話して、暗くなるまで遊んで。
侑李にもリフレッシュしてもらいたかったのに。
全部空回りして迷惑かけてて。
俺っていつもこうだ。
「じゃあ、気を付けてね。」
そんな自問自答を繰り返していたらいつの間にか分かれ道まで来ていた。
「うん。侑李も。」
触れることなく侑李の背中が見える。
触れられる距離にいるのに今は遠く感じる。
気まずさを残したまま家へ戻る。
今日は夜まで帰らないと思っていたからお手伝いさんには昼食も夕飯もいらないと伝えていた。
まさかこんなことになるとは思っていなかった。
なにか買いに行こうかとも思ったけど食欲はわかないし外に出る気力もなくてやめた。
ベッドに潜り、今日のことを色々と考える。
俺が余計な事を言わなければ良かった、俺が侑李の事ちゃんと考えてればよかった。
俺がしていた事で侑李に今まで迷惑をかけていたことも消えてしまいたくなるぐらい自己嫌悪に陥る。
もう侑李に迷惑をかけるようなことはあってはならない、と話しかけることも連絡することも極力避けようと決めた。
もちろんもう帰りを待たずに即帰宅する。
寂しいし辛いけど、侑李に拒絶されるよりマシだから。

