「雨、止んだみたい。」
「あ、ほんとだ。そろそろ帰ろっか。」
田島が持ち出した本を手分けして元の棚に戻して図書室を後にする。
俺たちはそれからも課題がどれくらい終わったとかこの前の講習でやった実験で先生の服が焦げたとか、そんな話をしながら校門まで歩く。
「俺こっち。西川は?」
「俺逆なんだ。」
「そっか。じゃあまた今度の課外学習で!」
「うん、じゃあ!」
そうして俺たちは翌週の課外学習でまた再開する。
「おはよ西川。」
「おはよう。」
一応課外学習だから制服で来ている。
こういった課外学習の日は参加する生徒も多い。
「これから自由行動ですが、くれぐれも羽目は外さないように!人の迷惑にならないようにして下さい!」
先生からの注意を聞いてすぐ生徒達がゾロゾロと館内へ入っていく。
「俺達も行こっか。」
「うん。」
田島の後に続いて水族館に入る。
中は薄暗く、ひんやりとしている。
夏休みということもあって平日でもそれなりに人がいる。
小さな水槽のエリアからクラゲのエリア、深海魚のエリアへと続き、この水族館のメインの超大型の水槽へ。
水面に反射する光、下の方は薄暗い。
そんな海のような場所で大小様々な魚が自由気ままに泳いでいる。
小さい頃に見た人魚姫の映画の中に入ったような、そんな感覚。
「凄い綺麗」
「うん……。」
ゆっくりと時間が流れているような空間の中で俺は目を奪われたまま動けなかった。
周りの賑やかな声も聞こえないほど没入していた。
「…い、西川?」
田島に声をかけられてハッとする。
「ご、ごめん。」
「いいよ、見入ってたね。気に入った?」
「うん、水族館って初めて来たけどこんなに綺麗な場所なんだね。」
「えっ初めてだったの?」
高校生で水族館が初めてだなんて驚かれるか。まあでも事実なんだよな。
家族で遊びに行くなんてこと無かったから。
「あーそうなんだよね。親が忙しくてあんまり遊びに行くとかなくって…」
「そうだったんだ。ごめん、もっとゆっくり見たかったら言ってね?」
「ありがとう、でも大丈夫。そろそろ行こう。」
大水槽のエリアを抜けて他の水槽も見て回る。最後のエリアを抜けると物販コーナーへ。
1つ思い出にと中にクラゲの入ったスノードーム風のボールペンを買った。
実は田島と色違いでお揃いだ。田島は中にウツボが入ったボールペンを買っていた。
外に出るとイルカショーがもうすぐで始まるようだったから後ろの方の席で見た。
前方の席の人たちはびしょ濡れだった。
イルカだけでなくアシカなども芸をこなしていくのを見て感嘆の声を漏らした。
まだ集合時間まで時間があったから二人でレストランへと入った。
「初めての水族館は楽しかった?」
「うん、すっごい楽しかった!一緒に回ってくれてありがとう。」
「いや、こちらこそ。楽しかった。」
田島は俺が楽しめるようにと魚の生態について教えながら回ってくれた。
感謝するのはこちらの方だ。
「俺、田島のこと勘違いしてた。」
「え?」
「成績良くて、スポーツも出来て、人気で。
そういうの才能だと思って妬んでたんだ。
だけど、違った。
田島は凄い努力してた。」
田島は講習を受けながらサッカー部での練習も怠っていなかった。
練習試合などが重なればそちらを優先することもあったけど、出れる日は全て出ていた。
そして図書館で自分の為だけでなく、チームのために本を読んで知識を増やしていた。
何もしていない訳ないのに、自分がずっと妬んでいたことを恥じた。
「全然、余裕そうに見せてるだけで内心はずっと必死だよ。」
「うん、俺が軽率だった。ごめん。」
「いや、俺も謝らないとって思ってたんだ。」
「え?」
「この前西川に才能あるって言っただろ?
才能だけじゃない。小学生の頃に習ったことが今でもできるのは西川が努力したからだよ。ごめん。俺も軽率だった。」
そういって頭を下げる田島へ頭を上げて欲しいと伝える。
きっと田島もその言葉に傷つくことがあったんだろう。
努力を認められず『才能』の一言で片付けられてしまうのは苦しい。
「お互い様だね。」
「そうだね。でも、腹を割って話せて良かった。」
この前初めて会ったとは思えないほど俺達の仲は良くなった。
集合時間前に連絡先を交換して、また次の講習で会うことを約束した。
そうして夏休みの大半を夏期講習で過ごした。
部活や練習試合、家族との旅行などでいない日もあったけど1番顔を合わせたのは田島だったと思う。
夏休みが明けた後も俺たちの交流は続いた。
最初は田島のグループに入らせてもらっていたけど次第に田島と俺だけになっていた。
「ごめん、友達優先していいから。」
「なんで?西川も友達だけど。」
そう言って俺から離れなかった。
それが嬉しかった。
そして2年生の前期に侑李から告白された。罰ゲームか何かだと思った俺は何度も断り続けていた。
だけど何度も告白してくれて俺の好きな物をプレゼントしてくれたり何かと気にかけてくれる侑李の気持ちが沢山伝わって俺もいつの間にか惹かれていた。
そして俺の誕生日に付き合い始め、今に至る。
「あ、ほんとだ。そろそろ帰ろっか。」
田島が持ち出した本を手分けして元の棚に戻して図書室を後にする。
俺たちはそれからも課題がどれくらい終わったとかこの前の講習でやった実験で先生の服が焦げたとか、そんな話をしながら校門まで歩く。
「俺こっち。西川は?」
「俺逆なんだ。」
「そっか。じゃあまた今度の課外学習で!」
「うん、じゃあ!」
そうして俺たちは翌週の課外学習でまた再開する。
「おはよ西川。」
「おはよう。」
一応課外学習だから制服で来ている。
こういった課外学習の日は参加する生徒も多い。
「これから自由行動ですが、くれぐれも羽目は外さないように!人の迷惑にならないようにして下さい!」
先生からの注意を聞いてすぐ生徒達がゾロゾロと館内へ入っていく。
「俺達も行こっか。」
「うん。」
田島の後に続いて水族館に入る。
中は薄暗く、ひんやりとしている。
夏休みということもあって平日でもそれなりに人がいる。
小さな水槽のエリアからクラゲのエリア、深海魚のエリアへと続き、この水族館のメインの超大型の水槽へ。
水面に反射する光、下の方は薄暗い。
そんな海のような場所で大小様々な魚が自由気ままに泳いでいる。
小さい頃に見た人魚姫の映画の中に入ったような、そんな感覚。
「凄い綺麗」
「うん……。」
ゆっくりと時間が流れているような空間の中で俺は目を奪われたまま動けなかった。
周りの賑やかな声も聞こえないほど没入していた。
「…い、西川?」
田島に声をかけられてハッとする。
「ご、ごめん。」
「いいよ、見入ってたね。気に入った?」
「うん、水族館って初めて来たけどこんなに綺麗な場所なんだね。」
「えっ初めてだったの?」
高校生で水族館が初めてだなんて驚かれるか。まあでも事実なんだよな。
家族で遊びに行くなんてこと無かったから。
「あーそうなんだよね。親が忙しくてあんまり遊びに行くとかなくって…」
「そうだったんだ。ごめん、もっとゆっくり見たかったら言ってね?」
「ありがとう、でも大丈夫。そろそろ行こう。」
大水槽のエリアを抜けて他の水槽も見て回る。最後のエリアを抜けると物販コーナーへ。
1つ思い出にと中にクラゲの入ったスノードーム風のボールペンを買った。
実は田島と色違いでお揃いだ。田島は中にウツボが入ったボールペンを買っていた。
外に出るとイルカショーがもうすぐで始まるようだったから後ろの方の席で見た。
前方の席の人たちはびしょ濡れだった。
イルカだけでなくアシカなども芸をこなしていくのを見て感嘆の声を漏らした。
まだ集合時間まで時間があったから二人でレストランへと入った。
「初めての水族館は楽しかった?」
「うん、すっごい楽しかった!一緒に回ってくれてありがとう。」
「いや、こちらこそ。楽しかった。」
田島は俺が楽しめるようにと魚の生態について教えながら回ってくれた。
感謝するのはこちらの方だ。
「俺、田島のこと勘違いしてた。」
「え?」
「成績良くて、スポーツも出来て、人気で。
そういうの才能だと思って妬んでたんだ。
だけど、違った。
田島は凄い努力してた。」
田島は講習を受けながらサッカー部での練習も怠っていなかった。
練習試合などが重なればそちらを優先することもあったけど、出れる日は全て出ていた。
そして図書館で自分の為だけでなく、チームのために本を読んで知識を増やしていた。
何もしていない訳ないのに、自分がずっと妬んでいたことを恥じた。
「全然、余裕そうに見せてるだけで内心はずっと必死だよ。」
「うん、俺が軽率だった。ごめん。」
「いや、俺も謝らないとって思ってたんだ。」
「え?」
「この前西川に才能あるって言っただろ?
才能だけじゃない。小学生の頃に習ったことが今でもできるのは西川が努力したからだよ。ごめん。俺も軽率だった。」
そういって頭を下げる田島へ頭を上げて欲しいと伝える。
きっと田島もその言葉に傷つくことがあったんだろう。
努力を認められず『才能』の一言で片付けられてしまうのは苦しい。
「お互い様だね。」
「そうだね。でも、腹を割って話せて良かった。」
この前初めて会ったとは思えないほど俺達の仲は良くなった。
集合時間前に連絡先を交換して、また次の講習で会うことを約束した。
そうして夏休みの大半を夏期講習で過ごした。
部活や練習試合、家族との旅行などでいない日もあったけど1番顔を合わせたのは田島だったと思う。
夏休みが明けた後も俺たちの交流は続いた。
最初は田島のグループに入らせてもらっていたけど次第に田島と俺だけになっていた。
「ごめん、友達優先していいから。」
「なんで?西川も友達だけど。」
そう言って俺から離れなかった。
それが嬉しかった。
そして2年生の前期に侑李から告白された。罰ゲームか何かだと思った俺は何度も断り続けていた。
だけど何度も告白してくれて俺の好きな物をプレゼントしてくれたり何かと気にかけてくれる侑李の気持ちが沢山伝わって俺もいつの間にか惹かれていた。
そして俺の誕生日に付き合い始め、今に至る。

