「ほらほらどうした! 名門、九条家ってのも大したことないな!」
息の合った双子の兄の挑発が飛ぶ。現在、その兄と正面から対峙している紘弥は、息つく暇もない猛攻に晒され、相手の剣撃をギリギリで避ける一方になっていた。
「んにゃろッ!」
紘弥は体勢を崩しながらも双銃の引き金を引く。しかし、放たれた銃弾は軽々と首を振って躱された。
そして、その弾の行方はあろうことか、兄の後ろで弟と激しい斬り合いを演じている味方――帝の背中へと一直線に向かっていく。
「……ッ」
背後から迫る銃弾の風切り音に気づいた帝は、舌打ちを呑み込み、弟の剣をいなしながら刀を後ろ手で振るう。火花が散り、なんとか味方からの誤射を弾き落とした。
「よそ見している暇なんてあるのか!」
だが、その一瞬の隙を双子の弟が見逃すはずがない。帝の死角から、鋭い剣が横薙ぎに振り抜かれる。
――ガキンッ!
帝はすぐさまに刀を返し、重い一撃をどうにか防ぎ止める。さらに追撃を仕掛けようと踏み込んでくる弟から距離を取るため、帝は大きく後方へ跳んだ。
ドンッ。
その瞬間、帝の背中が不意に何かにぶつかった。
「な!? お前、何ぶつかってんだよ!」
苛立った紘弥の声が響く。ぶつかったのは、同じく後退を余儀なくされていた紘弥の背中だった。双子のあまりにも淀みない連携と立ち回りの前に、気づけば二人は背中合わせになるまで追い込まれていたのだ。
「それはこちらの台詞だ。君の射撃のせいで余計な手間が増えているんだが?」
「うるせえ! 避けられただけだろ!」
「「喧嘩してる暇、ないんじゃないか?」」
背後でいがみ合う二人へ向け、双子は全く同じ声色、同じセリフをハモらせて同時に剣を振り下ろしてきた。
紘弥と帝は咄嗟に横へと飛んで、脳天を割る凶刃を回避する。
「……なに、俺と同じ方に飛んでんだよ」
「さっきも言ったが、それはこちらの台詞だ。少しは周りを見たらどうだい?」
「チッ……!」
紘弥は忌々しげに帝へ舌打ちをする。
(あいつらのコンビネーションが厄介すぎる……)
紘弥は、不敵な笑みを浮かべて並び立つ双子を鋭く睨みつけた。
(それに、俺はさっさと大剣にして思いっきり暴れたいってのに、こいつ(帝)が近くにいると巻き込んじまうしな。……つっても、すでに何回か巻き込んでるか)
そう心の中でぼやきながら、隣で涼しい顔をしている帝を横目で見る。
「……僕の顔に何かついてるのかい?」
視線に気づいた帝が、小馬鹿にしたように首を傾げた。
「別に……。お前のことを気にしすぎると、思いっきり闘えねえと思ってな」
「へぇ。君に『気遣い』なんて高度な概念があったとはね。感心したよ」
ふっ、と鼻で笑う帝。
「……先にお前からぶっ飛ばしてやろうか?」
その態度に完全に頭に血が上った紘弥が、敵を前にして喧嘩腰で凄む。
「こいつら、敵の目の前でよく喧嘩できるよなー」
「確かにな。この隙に攻撃する? 兄ちゃん」
「いや、良いだろ。面白いから好きなだけ喧嘩させとこうぜ」
双子たちは目の前の二人のあまりの協調性のなさに呆れ気味になり、武器を下げて余裕の態度を見せた。
「僕は構わないよ。1対3でも」
「はっ! 上等だ! 1対3で――……」
帝の挑発に乗りかけた紘弥だったが、ふと何かを閃いたように、急にピタリと黙り込んだ。
その急激な変化に、帝は怪訝そうな、もの言いたげな目を向ける。
「……よし!」
何かに納得したように、紘弥はニヤリと凶悪な笑みを浮かべた。
「何が『よし』なんだい」
心底呆れたように帝がため息をつく。
「俺たちが2対2のチーム戦だと思ってるから闘いにくいんだよ。最初から『俺以外の3人は全員敵』だと思ってやれば、遠慮なく思いっきり闘えるだろ!」
紘弥はそう叫ぶと、手にしていた双銃を大剣へ変える。
「……僕たちは敵同士だと思えってことかい?」
「そーゆーことだ!」
紘弥の無茶苦茶な理屈に、帝は今度こそ深く、大きなため息を吐いた。
「……まあ、いかにも君らしい単細胞な考えだけど。確かに、今のまま足の引っ張り合いをするよりは闘いやすそうだ」
そう言って、帝も刀の切先をスッと双子に向けた。纏う空気が一段と冷たく、鋭くなる。
「巻き添えくらって脱落すんなよ、お坊ちゃん!」
帝に向けて言い放つと同時、絋弥は勢いよく地面を蹴り、双子へ向かって突進した。
「再三言うが、それはこちらの台詞だ」
帝は冷静にそう返し、紘弥の背中を追うように疾走する。
「だらぁッ!!」
間合いに入るや否や、紘弥は大剣『麒麟』を思い切り水平に薙ぎ払う。重い風切り音が響いた。
「「うおっ、あっぶな!?」」
双子は全く同じリアクションで目を見開き、同時に後方へ跳躍してその暴力的な一撃を回避した。
「喧嘩が終わったと思ったら、急に特攻してきやがって!」
「てか兄ちゃん、あいつあんなデカい剣振り回して、後ろにいる味方のこと全く考えてないぞ!?」
「ああ、連携崩壊だな! だから尚更こっちのもんだ!」
兄が好機とばかりに剣を構え直す。弟もそれに続き、反撃に出ようとしたその時――。
「――【真空の刃】!」
紘弥の背後から、帝が刀を鋭く振り下ろした。鋭利な風の刃が射出される。
それは敵を狙ったものではあるが、射線上にいる紘弥のことなど一切考慮されていない軌道だった。
「っとに無茶苦茶しやがるッ!」
背後の殺気に気づいた紘弥は強引に身を屈めて横に飛び退く。彼を掠めるように通過した不可視の斬撃は、そのまま一直線に双子へと襲いかかった。
「なッ!?」
双子も慌てて左右に分かれて回避し、帝の放った斬撃は二人がいた空間の地面を抉り取って通り過ぎていった。
息をつく暇もなく、紘弥と帝は双子へと再び駆け出す。ここから、常軌を逸した4人の攻防が始まった。
――そして。暫く続いていた攻防の均衡は、呆気なく破綻した。
「くそッ! こいつら無茶苦茶だ!」
「味方も敵も関係なく、範囲攻撃ぶっ放してきやがる……ッ!」
弟の悲鳴のような声に、兄が焦燥を滲ませて続く。
無理もない。紘弥も帝も、お互いの攻撃が味方を巻き込もうが一切お構いなしに、遠慮なく攻撃を繰り出していた。からだ。
チームワークなど皆無。完全なる個人プレー。
しかし、元々突出した個の力を持つ二人は、中途半端に相手に気を遣って連携しようとするよりも、この「敵味方関係なく暴れ回る」戦い方の方が、遥かに二人の性に合っていた。
逆に、互いの呼吸を合わせて完璧なコンビネーションを誇っていた双子は、セオリーを完全に無視した二人の嵐のような猛攻にペースを乱され、徐々に綻びを見せ始めていた。
「チッ、ここは一旦下がって体勢を……ッ!?」
「な! 兄ちゃん!?」
双子は押し寄せる剣戟を避けるため後退しようとし――あろうことか、お互いの背中同士を激しくぶつけてしまった。
奇しくもそれは、先程の紘弥と帝と全く同じ光景だった。
「これで終いだァ! 〖獅子雷雷〗ッ!!」
大剣に雷光を纏わせた絋弥が、渾身の力で振り下ろす。
雷を帯びた斬撃が、双子目掛けて一直線に走った。
「――〖真空の刃〗」
ほぼ同時、帝も双子の逃げ道を塞ぐように風の斬撃を放つ。
「「やべッ――!」」
一瞬対応の遅れた双子へ、雷と風の斬撃が左右から襲いかかった。
直後、二つの攻撃が交錯し、爆発とともに土煙が巻き上がる。
やがてもうもうと立ち込めた煙が晴れると、そこには腕時計型デバイスが完全に砕け散り、地面に大の字で倒れ伏している双子の姿があった。
「チッ。帝の技と引き分け(相殺)かよ」
紘弥は強敵である双子を倒したことを喜ぶよりも、帝の技と自分の技の威力が拮抗してぶつかり合った事実が気に入らないらしく、忌々しげに舌打ちをした。
「「くっそー! 途中までは俺たちの連携、完璧だったのにな!」」
地面に倒れたまま、双子の悔しがる叫びが綺麗に重なり合う。
「ま、悪くねえコンビネーションだったぜ」
紘弥は大剣を肩に担ぎ、双子に向けてニカッと不敵に笑ってみせた。
「だろ? まあ俺たち、仲良いからな!」
敵から褒められて満更でもない表情の兄が笑うと、弟もうんうんと力強く頷いた。
「でも、あんたらも中々凄かったぜ。ハチャメチャだったけど」
「確かにな。『喧嘩する程仲が良い』ってやつだな!」
双子たちは朗らかにそう言い残すと、光に包まれて転送された。
「こんなムカつく奴と仲良いわけねえだろォォッ!!」
紘弥は帝の方をビシッと指差し、もう誰も居なくなった空間に向かって、顔を真っ赤にして否定の言葉を叫んだ。
「……確かに、心外もいいところだね」
帝は冷静に、しかし微かな疲労を滲ませて息を吐く。
「よーし、さっきの続きやるか? ここでよ」
未だ興奮冷めやらぬ紘弥が大剣を構え直すが、帝は呆れたように首を振った。
「良いだろう……と言いたいところだが、今はそんな不毛なことをやっている暇はないからね」
帝はそう言うと、刀をしまい一瞥もくれずに歩き出す。
「チッ……。まあ、その通りだな。とりあえず先を急ぐか」
紘弥も渋々大剣をしまい忌々しそうな顔のまま、帝の背中を追って歩き出した。
息の合った双子の兄の挑発が飛ぶ。現在、その兄と正面から対峙している紘弥は、息つく暇もない猛攻に晒され、相手の剣撃をギリギリで避ける一方になっていた。
「んにゃろッ!」
紘弥は体勢を崩しながらも双銃の引き金を引く。しかし、放たれた銃弾は軽々と首を振って躱された。
そして、その弾の行方はあろうことか、兄の後ろで弟と激しい斬り合いを演じている味方――帝の背中へと一直線に向かっていく。
「……ッ」
背後から迫る銃弾の風切り音に気づいた帝は、舌打ちを呑み込み、弟の剣をいなしながら刀を後ろ手で振るう。火花が散り、なんとか味方からの誤射を弾き落とした。
「よそ見している暇なんてあるのか!」
だが、その一瞬の隙を双子の弟が見逃すはずがない。帝の死角から、鋭い剣が横薙ぎに振り抜かれる。
――ガキンッ!
帝はすぐさまに刀を返し、重い一撃をどうにか防ぎ止める。さらに追撃を仕掛けようと踏み込んでくる弟から距離を取るため、帝は大きく後方へ跳んだ。
ドンッ。
その瞬間、帝の背中が不意に何かにぶつかった。
「な!? お前、何ぶつかってんだよ!」
苛立った紘弥の声が響く。ぶつかったのは、同じく後退を余儀なくされていた紘弥の背中だった。双子のあまりにも淀みない連携と立ち回りの前に、気づけば二人は背中合わせになるまで追い込まれていたのだ。
「それはこちらの台詞だ。君の射撃のせいで余計な手間が増えているんだが?」
「うるせえ! 避けられただけだろ!」
「「喧嘩してる暇、ないんじゃないか?」」
背後でいがみ合う二人へ向け、双子は全く同じ声色、同じセリフをハモらせて同時に剣を振り下ろしてきた。
紘弥と帝は咄嗟に横へと飛んで、脳天を割る凶刃を回避する。
「……なに、俺と同じ方に飛んでんだよ」
「さっきも言ったが、それはこちらの台詞だ。少しは周りを見たらどうだい?」
「チッ……!」
紘弥は忌々しげに帝へ舌打ちをする。
(あいつらのコンビネーションが厄介すぎる……)
紘弥は、不敵な笑みを浮かべて並び立つ双子を鋭く睨みつけた。
(それに、俺はさっさと大剣にして思いっきり暴れたいってのに、こいつ(帝)が近くにいると巻き込んじまうしな。……つっても、すでに何回か巻き込んでるか)
そう心の中でぼやきながら、隣で涼しい顔をしている帝を横目で見る。
「……僕の顔に何かついてるのかい?」
視線に気づいた帝が、小馬鹿にしたように首を傾げた。
「別に……。お前のことを気にしすぎると、思いっきり闘えねえと思ってな」
「へぇ。君に『気遣い』なんて高度な概念があったとはね。感心したよ」
ふっ、と鼻で笑う帝。
「……先にお前からぶっ飛ばしてやろうか?」
その態度に完全に頭に血が上った紘弥が、敵を前にして喧嘩腰で凄む。
「こいつら、敵の目の前でよく喧嘩できるよなー」
「確かにな。この隙に攻撃する? 兄ちゃん」
「いや、良いだろ。面白いから好きなだけ喧嘩させとこうぜ」
双子たちは目の前の二人のあまりの協調性のなさに呆れ気味になり、武器を下げて余裕の態度を見せた。
「僕は構わないよ。1対3でも」
「はっ! 上等だ! 1対3で――……」
帝の挑発に乗りかけた紘弥だったが、ふと何かを閃いたように、急にピタリと黙り込んだ。
その急激な変化に、帝は怪訝そうな、もの言いたげな目を向ける。
「……よし!」
何かに納得したように、紘弥はニヤリと凶悪な笑みを浮かべた。
「何が『よし』なんだい」
心底呆れたように帝がため息をつく。
「俺たちが2対2のチーム戦だと思ってるから闘いにくいんだよ。最初から『俺以外の3人は全員敵』だと思ってやれば、遠慮なく思いっきり闘えるだろ!」
紘弥はそう叫ぶと、手にしていた双銃を大剣へ変える。
「……僕たちは敵同士だと思えってことかい?」
「そーゆーことだ!」
紘弥の無茶苦茶な理屈に、帝は今度こそ深く、大きなため息を吐いた。
「……まあ、いかにも君らしい単細胞な考えだけど。確かに、今のまま足の引っ張り合いをするよりは闘いやすそうだ」
そう言って、帝も刀の切先をスッと双子に向けた。纏う空気が一段と冷たく、鋭くなる。
「巻き添えくらって脱落すんなよ、お坊ちゃん!」
帝に向けて言い放つと同時、絋弥は勢いよく地面を蹴り、双子へ向かって突進した。
「再三言うが、それはこちらの台詞だ」
帝は冷静にそう返し、紘弥の背中を追うように疾走する。
「だらぁッ!!」
間合いに入るや否や、紘弥は大剣『麒麟』を思い切り水平に薙ぎ払う。重い風切り音が響いた。
「「うおっ、あっぶな!?」」
双子は全く同じリアクションで目を見開き、同時に後方へ跳躍してその暴力的な一撃を回避した。
「喧嘩が終わったと思ったら、急に特攻してきやがって!」
「てか兄ちゃん、あいつあんなデカい剣振り回して、後ろにいる味方のこと全く考えてないぞ!?」
「ああ、連携崩壊だな! だから尚更こっちのもんだ!」
兄が好機とばかりに剣を構え直す。弟もそれに続き、反撃に出ようとしたその時――。
「――【真空の刃】!」
紘弥の背後から、帝が刀を鋭く振り下ろした。鋭利な風の刃が射出される。
それは敵を狙ったものではあるが、射線上にいる紘弥のことなど一切考慮されていない軌道だった。
「っとに無茶苦茶しやがるッ!」
背後の殺気に気づいた紘弥は強引に身を屈めて横に飛び退く。彼を掠めるように通過した不可視の斬撃は、そのまま一直線に双子へと襲いかかった。
「なッ!?」
双子も慌てて左右に分かれて回避し、帝の放った斬撃は二人がいた空間の地面を抉り取って通り過ぎていった。
息をつく暇もなく、紘弥と帝は双子へと再び駆け出す。ここから、常軌を逸した4人の攻防が始まった。
――そして。暫く続いていた攻防の均衡は、呆気なく破綻した。
「くそッ! こいつら無茶苦茶だ!」
「味方も敵も関係なく、範囲攻撃ぶっ放してきやがる……ッ!」
弟の悲鳴のような声に、兄が焦燥を滲ませて続く。
無理もない。紘弥も帝も、お互いの攻撃が味方を巻き込もうが一切お構いなしに、遠慮なく攻撃を繰り出していた。からだ。
チームワークなど皆無。完全なる個人プレー。
しかし、元々突出した個の力を持つ二人は、中途半端に相手に気を遣って連携しようとするよりも、この「敵味方関係なく暴れ回る」戦い方の方が、遥かに二人の性に合っていた。
逆に、互いの呼吸を合わせて完璧なコンビネーションを誇っていた双子は、セオリーを完全に無視した二人の嵐のような猛攻にペースを乱され、徐々に綻びを見せ始めていた。
「チッ、ここは一旦下がって体勢を……ッ!?」
「な! 兄ちゃん!?」
双子は押し寄せる剣戟を避けるため後退しようとし――あろうことか、お互いの背中同士を激しくぶつけてしまった。
奇しくもそれは、先程の紘弥と帝と全く同じ光景だった。
「これで終いだァ! 〖獅子雷雷〗ッ!!」
大剣に雷光を纏わせた絋弥が、渾身の力で振り下ろす。
雷を帯びた斬撃が、双子目掛けて一直線に走った。
「――〖真空の刃〗」
ほぼ同時、帝も双子の逃げ道を塞ぐように風の斬撃を放つ。
「「やべッ――!」」
一瞬対応の遅れた双子へ、雷と風の斬撃が左右から襲いかかった。
直後、二つの攻撃が交錯し、爆発とともに土煙が巻き上がる。
やがてもうもうと立ち込めた煙が晴れると、そこには腕時計型デバイスが完全に砕け散り、地面に大の字で倒れ伏している双子の姿があった。
「チッ。帝の技と引き分け(相殺)かよ」
紘弥は強敵である双子を倒したことを喜ぶよりも、帝の技と自分の技の威力が拮抗してぶつかり合った事実が気に入らないらしく、忌々しげに舌打ちをした。
「「くっそー! 途中までは俺たちの連携、完璧だったのにな!」」
地面に倒れたまま、双子の悔しがる叫びが綺麗に重なり合う。
「ま、悪くねえコンビネーションだったぜ」
紘弥は大剣を肩に担ぎ、双子に向けてニカッと不敵に笑ってみせた。
「だろ? まあ俺たち、仲良いからな!」
敵から褒められて満更でもない表情の兄が笑うと、弟もうんうんと力強く頷いた。
「でも、あんたらも中々凄かったぜ。ハチャメチャだったけど」
「確かにな。『喧嘩する程仲が良い』ってやつだな!」
双子たちは朗らかにそう言い残すと、光に包まれて転送された。
「こんなムカつく奴と仲良いわけねえだろォォッ!!」
紘弥は帝の方をビシッと指差し、もう誰も居なくなった空間に向かって、顔を真っ赤にして否定の言葉を叫んだ。
「……確かに、心外もいいところだね」
帝は冷静に、しかし微かな疲労を滲ませて息を吐く。
「よーし、さっきの続きやるか? ここでよ」
未だ興奮冷めやらぬ紘弥が大剣を構え直すが、帝は呆れたように首を振った。
「良いだろう……と言いたいところだが、今はそんな不毛なことをやっている暇はないからね」
帝はそう言うと、刀をしまい一瞥もくれずに歩き出す。
「チッ……。まあ、その通りだな。とりあえず先を急ぐか」
紘弥も渋々大剣をしまい忌々しそうな顔のまま、帝の背中を追って歩き出した。
