「さ、やりましょうか……凍てつけ、〈ニヴルヘイム〉」
玲奈が静かに紡いだ言葉と共に、彼女の手元に冷気が渦巻き、美しくも鋭利な氷の刃を持つ魔武器『ニヴルヘイム』が顕現した。周囲の温度が急激に下がり、足元のアスファルトに薄っすらと霜が降りる。
「まずは私が相手してあげますわ」
水無姉妹の姉、涼子が一歩前に出て優雅に微笑みながら言う。
「……いいわ。そんなの、まとめてかかって来なさい」
玲奈は涼子の言葉を冷たく遮り、双子をまとめて見据えながら挑発した。
「なっ!……あなた、なめるのも大概にしなさいよ!」
「そうですわ! 私達2人を同時に相手にするなんて、勝負になりませんわよ!」
玲奈の見下すような態度に、姉妹は露骨に怒りを露わにして声を荒げた。
「別になめてないわ。ただ、1人で充分ってことよ」
玲奈は表情一つ変えず、氷のように冷たい視線で姉妹を射抜く。
「……分かりましたわ。あなたがそこまで言うなら、2人で相手して差し上げますわ。いいですわね、京子」
「いいに決まってるじゃない。ボコボコにしてやるわ」
2人は声を鎮めたものの、その声色には隠しきれない怒気が混じっていた。
「なら、さっさとしてくれない? わざわざ待ってあげてるのよ?」
玲奈はさらに言葉を重ね、姉妹のプライドを煽る。
「……後で後悔しても遅いわよ!」
「いきますわよ!」
2人がそう叫ぶと、それぞれの手元が眩く光り出した。
「引き裂きなさい、〈スキュラ〉!」
「呑み込みなさい、〈カリュブディス〉!」
光が収まると、そこには姉妹の魔武器が握られていた。
妹の京子の手には、海獣の獰猛な牙を思わせる、反り返った無数の刃を持つ長剣『スキュラ』。そして姉の涼子の手には、すべてを飲み込む大渦巻きを模した禍々しくも美しい装飾の杖『カリュブディス』。
「ようやくね……さぁ、かかってきなさい」
玲奈はニヴルヘイムを青眼に構え、静かに息を吐いた。
「私達のコンビネーション、見せて差し上げますわ!」
涼子の合図と共に、妹の京子が弾かれたように玲奈へと突進した。
勢いそのままに、京子は上段からスキュラの牙を力任せに振り下ろす。しかし、玲奈は涼しい顔でそれを受け止め、手首の捻りだけで容易く弾き返した。
「きゃっ!?」
渾身の一撃をいなされ、京子は大きく体勢を崩す。
玲奈はその隙を絶対に見逃さなかった。踏み込み、鋭い斬撃を京子の胴体へと放つ。
「……【ウォーター・ウォール】!」
だが、刃が届く直前。後方で大渦の杖を掲げていた涼子が素早く魔法を展開した。京子を守るように分厚い水の壁が立ち塞がり、ニヴルヘイムの斬撃を泥沼のように受け止める。
京子はその隙に体勢を立て直し、一度大きく後ろへ飛び下がった。
「……助かったわ、お姉ちゃん」
「油断しては駄目ですわよ、京子」
「……そっちから来ないなら、こっちから行くわよ」
玲奈は言葉少なに告げると、地面を蹴り、今度は自ら2人の懐へと突進した。
「【アクア・ブレット】!」
涼子は玲奈の接近を阻むため、先制の魔法を放つ。
無数の高圧な水の弾丸が、散弾のように玲奈へ向かって降り注ぐ。だが、玲奈はスピードを緩めることなく、ニヴルヘイムの刃で的確に水弾を弾き斬りながら直進していく。
「まずは、貴女から」
玲奈は魔法の雨を抜け、一瞬で京子の眼前へと迫り、鋭い横薙ぎを放った。
「……くッ!」
京子は慌ててスキュラの牙でそれを防ぐ。金属が激しくぶつかり合う。
「【アイス・ニードル】」
鍔迫り合いの最中、玲奈は至近距離から魔法を紡いだ。虚空に無数の氷の針が生成され、京子を串刺しにしようと襲い掛かる。
「っ!」
京子は舌打ちをし、玲奈の剣を強引に弾き返して後方へ全力で跳躍し、なんとかその氷の群れを躱した。
「……大丈夫ですか、京子」
「大丈夫よ、当たってないわ」
「それはどうかしら」
玲奈が冷たく言い放つと同時、京子の制服の腹部あたりが音を立てて裂け、パラリと布切れが落ちた。氷の針は完全には躱せておらず、あと数ミリで皮膚を裂くところだったのだ。
「……流石は玲奈と言ったところですわね」
「涼子、さっさと終わらすわよ!」
「そうですわね」
ヒヤリとした京子は顔を真っ赤にして怒り、スキュラを構え直して再び玲奈へと斬りかかった。
――カキンッ!
再び2人の剣が激しく交差する。
「……【アクア・ランス】」
京子と打ち合っている最中、後方から涼子の詠唱が聞こえた。
玲奈は正面からの魔法攻撃に備えようとした。――しかし、魔法は涼子の持つカリュブディスの杖の先からではなく、突如として玲奈の『真後ろ』の空間から実体化した。
「!?……ッ……!」
背後からの強烈な殺気に気づいた玲奈は、咄嗟に身体を捻った。だが、完全な死角からの奇襲を避けきれず、鋭い水の槍が彼女の脇腹を浅く掠め、衣服を濡らして血を滲ませた。
「もらった!」
体勢を崩した玲奈へ、すかさず京子が追撃の剣を振り下ろす。玲奈はそれをギリギリのところで受け流し、そのまま大きく後退して距離をとった。
(……なんで、あんな所から魔法が? 軌道を描いて飛んできたわけじゃない。最初から私の背後に『出現』した……?)
「下がっても無駄よ!」
京子は執拗に玲奈との間合いを詰め、獣のように獰猛な連撃を仕掛ける。玲奈は先ほどと同じく、冷静に京子の剣戟を捌いていく。
「……【ウォーター・スライサー】」
「また後ろから!?」
涼子の冷ややかな声と共に、またしても玲奈の背後の空間が歪み、鋭い水刃が放たれた。玲奈は今度は気配に敏感に反応し、最小限の動きでそれを躱す。
「今の見えない魔法を躱すなんて流石ね、玲奈! でも、まだ終わらないわよ!」
京子と涼子は、前衛の剣撃と死角からの魔法という、初見殺しのコンビネーションで玲奈に休む暇を与えない。
(……また背後から。……まさか)
玲奈は京子の重い一撃をいなして大きく距離をとり、荒い息を吐くふりをしながら涼子を鋭く観察した。
「……あの死角からの魔法。涼子、あなたの魔武器の能力か何かかしら?」
「……流石ですわね、玲奈。そこまで気づくなんて」
「大方、『自分が視認できる任意の座標に、直接魔法を出現させることができる』といったところかしら」
「ご名答ですわ。私の『カリュブディス』は、私が見ている空間のどこにでも魔法の渦を発生させられる。軌道を読むことなんて不可能ですわ」
「……そう」
(……思った通りだけど、厄介ね。涼子の視界に入っている限り、全方位が攻撃の起点になる)
玲奈は表情を一切崩さず冷静に相槌を打ったが、内心ではこの能力の凶悪さに警戒レベルを引き上げていた。
「でも、能力の種明かしが分かったところで、防げなくては意味がありませんわよ!」
涼子がカリュブディスを高く掲げると、玲奈を包囲するように、前後左右の空間に複数の魔法陣が同時に展開された。逃げ場のない全方位攻撃が、大渦巻きのように玲奈を一斉に襲う。
(前、後ろ、右、左……水平方向への逃げ場はないわね。……だったら!)
玲奈は一切の迷いなく足に力を込め、真上へと高く跳躍した。
「……予想通りですわ。空中では回避行動もとれず、ただの的。これでチェックメイトですわよ!」
涼子は勝利を確信した笑みを浮かべ、空中にいる玲奈の周囲に再び水魔法を発動させようとする。
「【アイス・ウォール】!」
だが、玲奈は自身の真上の虚空に、分厚い氷の壁を即座に生成した。
「いったい、何を……?」
涼子が訝しんだ次の瞬間、玲奈はその空中の氷の壁を『天井』に見立てて両足で力強く蹴り上げた。
空中で急激に軌道を変え、弾丸のような速度で涼子へ向かって急降下する。
「!?……ッ……!」
「涼子お姉ちゃん!」
涼子への奇襲を察知した京子が、慌てて間に割って入り、玲奈を迎え撃つようにスキュラを振るう。
玲奈は空中で身体を捻ってその刃を躱し、流れるような着地と共に後方へ滑り下がった。
「涼子の腕時計を狙ったんだけど。京子、上手くカバーに入ったわね」
玲奈が涼しい顔で言う。
「……あなたの動きが遅すぎて、当たりませんわ」
一瞬死を覚悟し、背中に冷や汗をかいた涼子だったが、それを悟られまいと冷静な口調を取り繕って強がる。
「……挑発のつもり?」
玲奈は目を細め、絶対零度の眼差しで姉妹を睨みつけた。
「いいえ、事実を言ったまでですわ」
フフッ、と涼子は余裕を装って笑みをこぼす。
「……ふぅ。いいわ、その強がり、乗ってあげる」
玲奈は小さく息を吐き、ストン、と全身の力を抜いた。
「え?」
「……属性付加――【氷】」
パキッ……ピキキキキッ……!
「それは!? 属性付加! 玲奈、あなた使えたのね!」
姉妹が驚愕に目を見開く中、玲奈の身体から冷気が立ち昇った。
(……この属性付加は魔力消費が激しい。使ったからには、早めに決着をつけないといけないわね)
「今から、あなたの本気って訳ね……!」
「……一瞬で終わらせる」
玲奈が静かに紡いだ言葉と共に、彼女の手元に冷気が渦巻き、美しくも鋭利な氷の刃を持つ魔武器『ニヴルヘイム』が顕現した。周囲の温度が急激に下がり、足元のアスファルトに薄っすらと霜が降りる。
「まずは私が相手してあげますわ」
水無姉妹の姉、涼子が一歩前に出て優雅に微笑みながら言う。
「……いいわ。そんなの、まとめてかかって来なさい」
玲奈は涼子の言葉を冷たく遮り、双子をまとめて見据えながら挑発した。
「なっ!……あなた、なめるのも大概にしなさいよ!」
「そうですわ! 私達2人を同時に相手にするなんて、勝負になりませんわよ!」
玲奈の見下すような態度に、姉妹は露骨に怒りを露わにして声を荒げた。
「別になめてないわ。ただ、1人で充分ってことよ」
玲奈は表情一つ変えず、氷のように冷たい視線で姉妹を射抜く。
「……分かりましたわ。あなたがそこまで言うなら、2人で相手して差し上げますわ。いいですわね、京子」
「いいに決まってるじゃない。ボコボコにしてやるわ」
2人は声を鎮めたものの、その声色には隠しきれない怒気が混じっていた。
「なら、さっさとしてくれない? わざわざ待ってあげてるのよ?」
玲奈はさらに言葉を重ね、姉妹のプライドを煽る。
「……後で後悔しても遅いわよ!」
「いきますわよ!」
2人がそう叫ぶと、それぞれの手元が眩く光り出した。
「引き裂きなさい、〈スキュラ〉!」
「呑み込みなさい、〈カリュブディス〉!」
光が収まると、そこには姉妹の魔武器が握られていた。
妹の京子の手には、海獣の獰猛な牙を思わせる、反り返った無数の刃を持つ長剣『スキュラ』。そして姉の涼子の手には、すべてを飲み込む大渦巻きを模した禍々しくも美しい装飾の杖『カリュブディス』。
「ようやくね……さぁ、かかってきなさい」
玲奈はニヴルヘイムを青眼に構え、静かに息を吐いた。
「私達のコンビネーション、見せて差し上げますわ!」
涼子の合図と共に、妹の京子が弾かれたように玲奈へと突進した。
勢いそのままに、京子は上段からスキュラの牙を力任せに振り下ろす。しかし、玲奈は涼しい顔でそれを受け止め、手首の捻りだけで容易く弾き返した。
「きゃっ!?」
渾身の一撃をいなされ、京子は大きく体勢を崩す。
玲奈はその隙を絶対に見逃さなかった。踏み込み、鋭い斬撃を京子の胴体へと放つ。
「……【ウォーター・ウォール】!」
だが、刃が届く直前。後方で大渦の杖を掲げていた涼子が素早く魔法を展開した。京子を守るように分厚い水の壁が立ち塞がり、ニヴルヘイムの斬撃を泥沼のように受け止める。
京子はその隙に体勢を立て直し、一度大きく後ろへ飛び下がった。
「……助かったわ、お姉ちゃん」
「油断しては駄目ですわよ、京子」
「……そっちから来ないなら、こっちから行くわよ」
玲奈は言葉少なに告げると、地面を蹴り、今度は自ら2人の懐へと突進した。
「【アクア・ブレット】!」
涼子は玲奈の接近を阻むため、先制の魔法を放つ。
無数の高圧な水の弾丸が、散弾のように玲奈へ向かって降り注ぐ。だが、玲奈はスピードを緩めることなく、ニヴルヘイムの刃で的確に水弾を弾き斬りながら直進していく。
「まずは、貴女から」
玲奈は魔法の雨を抜け、一瞬で京子の眼前へと迫り、鋭い横薙ぎを放った。
「……くッ!」
京子は慌ててスキュラの牙でそれを防ぐ。金属が激しくぶつかり合う。
「【アイス・ニードル】」
鍔迫り合いの最中、玲奈は至近距離から魔法を紡いだ。虚空に無数の氷の針が生成され、京子を串刺しにしようと襲い掛かる。
「っ!」
京子は舌打ちをし、玲奈の剣を強引に弾き返して後方へ全力で跳躍し、なんとかその氷の群れを躱した。
「……大丈夫ですか、京子」
「大丈夫よ、当たってないわ」
「それはどうかしら」
玲奈が冷たく言い放つと同時、京子の制服の腹部あたりが音を立てて裂け、パラリと布切れが落ちた。氷の針は完全には躱せておらず、あと数ミリで皮膚を裂くところだったのだ。
「……流石は玲奈と言ったところですわね」
「涼子、さっさと終わらすわよ!」
「そうですわね」
ヒヤリとした京子は顔を真っ赤にして怒り、スキュラを構え直して再び玲奈へと斬りかかった。
――カキンッ!
再び2人の剣が激しく交差する。
「……【アクア・ランス】」
京子と打ち合っている最中、後方から涼子の詠唱が聞こえた。
玲奈は正面からの魔法攻撃に備えようとした。――しかし、魔法は涼子の持つカリュブディスの杖の先からではなく、突如として玲奈の『真後ろ』の空間から実体化した。
「!?……ッ……!」
背後からの強烈な殺気に気づいた玲奈は、咄嗟に身体を捻った。だが、完全な死角からの奇襲を避けきれず、鋭い水の槍が彼女の脇腹を浅く掠め、衣服を濡らして血を滲ませた。
「もらった!」
体勢を崩した玲奈へ、すかさず京子が追撃の剣を振り下ろす。玲奈はそれをギリギリのところで受け流し、そのまま大きく後退して距離をとった。
(……なんで、あんな所から魔法が? 軌道を描いて飛んできたわけじゃない。最初から私の背後に『出現』した……?)
「下がっても無駄よ!」
京子は執拗に玲奈との間合いを詰め、獣のように獰猛な連撃を仕掛ける。玲奈は先ほどと同じく、冷静に京子の剣戟を捌いていく。
「……【ウォーター・スライサー】」
「また後ろから!?」
涼子の冷ややかな声と共に、またしても玲奈の背後の空間が歪み、鋭い水刃が放たれた。玲奈は今度は気配に敏感に反応し、最小限の動きでそれを躱す。
「今の見えない魔法を躱すなんて流石ね、玲奈! でも、まだ終わらないわよ!」
京子と涼子は、前衛の剣撃と死角からの魔法という、初見殺しのコンビネーションで玲奈に休む暇を与えない。
(……また背後から。……まさか)
玲奈は京子の重い一撃をいなして大きく距離をとり、荒い息を吐くふりをしながら涼子を鋭く観察した。
「……あの死角からの魔法。涼子、あなたの魔武器の能力か何かかしら?」
「……流石ですわね、玲奈。そこまで気づくなんて」
「大方、『自分が視認できる任意の座標に、直接魔法を出現させることができる』といったところかしら」
「ご名答ですわ。私の『カリュブディス』は、私が見ている空間のどこにでも魔法の渦を発生させられる。軌道を読むことなんて不可能ですわ」
「……そう」
(……思った通りだけど、厄介ね。涼子の視界に入っている限り、全方位が攻撃の起点になる)
玲奈は表情を一切崩さず冷静に相槌を打ったが、内心ではこの能力の凶悪さに警戒レベルを引き上げていた。
「でも、能力の種明かしが分かったところで、防げなくては意味がありませんわよ!」
涼子がカリュブディスを高く掲げると、玲奈を包囲するように、前後左右の空間に複数の魔法陣が同時に展開された。逃げ場のない全方位攻撃が、大渦巻きのように玲奈を一斉に襲う。
(前、後ろ、右、左……水平方向への逃げ場はないわね。……だったら!)
玲奈は一切の迷いなく足に力を込め、真上へと高く跳躍した。
「……予想通りですわ。空中では回避行動もとれず、ただの的。これでチェックメイトですわよ!」
涼子は勝利を確信した笑みを浮かべ、空中にいる玲奈の周囲に再び水魔法を発動させようとする。
「【アイス・ウォール】!」
だが、玲奈は自身の真上の虚空に、分厚い氷の壁を即座に生成した。
「いったい、何を……?」
涼子が訝しんだ次の瞬間、玲奈はその空中の氷の壁を『天井』に見立てて両足で力強く蹴り上げた。
空中で急激に軌道を変え、弾丸のような速度で涼子へ向かって急降下する。
「!?……ッ……!」
「涼子お姉ちゃん!」
涼子への奇襲を察知した京子が、慌てて間に割って入り、玲奈を迎え撃つようにスキュラを振るう。
玲奈は空中で身体を捻ってその刃を躱し、流れるような着地と共に後方へ滑り下がった。
「涼子の腕時計を狙ったんだけど。京子、上手くカバーに入ったわね」
玲奈が涼しい顔で言う。
「……あなたの動きが遅すぎて、当たりませんわ」
一瞬死を覚悟し、背中に冷や汗をかいた涼子だったが、それを悟られまいと冷静な口調を取り繕って強がる。
「……挑発のつもり?」
玲奈は目を細め、絶対零度の眼差しで姉妹を睨みつけた。
「いいえ、事実を言ったまでですわ」
フフッ、と涼子は余裕を装って笑みをこぼす。
「……ふぅ。いいわ、その強がり、乗ってあげる」
玲奈は小さく息を吐き、ストン、と全身の力を抜いた。
「え?」
「……属性付加――【氷】」
パキッ……ピキキキキッ……!
「それは!? 属性付加! 玲奈、あなた使えたのね!」
姉妹が驚愕に目を見開く中、玲奈の身体から冷気が立ち昇った。
(……この属性付加は魔力消費が激しい。使ったからには、早めに決着をつけないといけないわね)
「今から、あなたの本気って訳ね……!」
「……一瞬で終わらせる」
