超絶方向音痴な俺は今、超絶イケメンに手を引かれています

浮かれた気持ちで家に着き、スマホを見たら内海からメッセージが着ていた
クラスのイケメンから連絡が来る日が俺に来るなんて…ちょっと緊張するな、

震える指でタップしたいつもと変わらない読み込みの速さなのに今日はなぜだか速く感じた
やばいよ、押しちゃったよ、、
ドキドキしながら画面を見たら写真が何枚か送られてきていた


『これ明後日の日曜から発売らしいんだけど』


そこには新作の可愛らしいキーホルダーが画面いっぱいに映し出された


『めっちゃ可愛いね、内海も一緒に回しに行こ』


誘ってくれと言われたから言われた通り誘ったがこれで良かったのか…?
既読が着いて一分、二分と経っても返信が来なかった。
やっぱ良くなかったよな…図に乗ってすみませんでしたこれはもう送信取り消しした方が良さそうだなと思い送ったメッセージを長押したその時


『うん、行こ』


すっごい素っ気ない気もするが…?文面上って顔見えないから分かんないよ、と思っていたら少し眉に皺を寄せた内海の顔が映し出された
こんな顔しながら送ってるのかな、いやいや内海に限ってそんなこと無い、はず、と頭をブンブンと振った

俺はこんな気持ちで土曜日を過ごさなきゃいけないのか…?
行きたくなかったらそう言ってくれれば、、流石に嫌われたくない病が現れたのかなんなのか分からないが人との関係でここまで頭を悩ませたのはトップ3にはいるレベルだった

にしてもお出かけかー、久々だな、、お出かけと言えば服〜、って

待って俺、おしゃれな服も無ければ何もない、、終わった、と思っていたが足をバタバタさせていたせいか兄が心配してやって来た

夏織(かおる)ーそんな足バタバタさせてどうした?良いことでもあったのか?」

そうだ、兄ちゃん、兄ちゃんだ!!!

「兄ちゃんあのさ!服貸してくれない!?めっちゃおしゃれじゃん…?兄ちゃん」

驚きと嬉しさが混ざったそうな顔をしていた
いやそりゃそうなるよな、ごめんて兄ちゃん…

「良いけど…相手誰?彼女?!」

口を開いたと思えば余計なことを言いやがって…!!

「ばかっ!そんな訳ない!!!」

兄の夏野(なつの)は大きな声で高らかに笑った「そんなわけ無いって自分から言う?」と俺をバシバシと叩きながら

「友達と遊ぶだけだから!お願い!」

はぁー、と笑い終わったのか少し咳払いをして

「俺の超絶可愛い弟の頼みなら月の面積でも何でも買ってやるよ」

ちょーっと意味はわからなかったが取り敢えず何でもしてあげると言うことだろう、道に迷った時の迎えメッセージだと豹変するくせにと思ったが兄弟バカで良かったと心底思う、

「まぁ、ありがとね夏野兄ちゃん」

お前ばり可愛いぞ、、と言わんばかりの顔をしながら服を沢山持ってきて選んでくれた

「てか、夏織が服こだわるなんて珍しいね」

それは俺も思った、でも仕方がない超絶イケメンの横に並ばなければならないのだから…ダサい服で行くと向こうに申し訳なくなる、

「友達がおしゃれさんだからさ、俺も少しはって感じ?」

ほんとに彼女じゃないのかー?とからかい気味に俺をツンツンとした
彼女出来たら言うから、真っ先に…と言いかけたが話しが他の方にズレそうだと思い飲み込んだ



少し時間は過ぎ来たる日曜日…
俺に道を迷われたら困るらしいので迎えに来るとのこと、
ありがたいけど情けなさがギリ勝つ、、、内海俺の事を甘やかさないでくれ…そんな思いは儚く散りインターホンの押される音がした

『はーい、今行くねー』

夏野がインターホンの音につられてやって来た、まじで来なくていいのに…

「お兄ちゃん、これ以上来たら怒るよ?」

兄が弱いであろう顔をし、最大のぶりっ子でステイを言うと凄く神妙な顔をして立ち止まったかと思いきや走って玄関を開けた

「あ、待って!!!!」

「夏織が言うおしゃれさんって君か!?」と勢いよく扉を開けたのは良かったが太陽に照らされた高身長イケメンにはかなわなかったのか眩しそうな顔をして扉をしめかけた

「閉めなくていいから!俺もう出るから!!」

「夏織にこんなイケメンな友達がいるなんて、、」

おっと?それは中々に失礼じゃないか兄さんよ、でもまあそう思う気持ちも分からなくはないけど、俺だって未だにドリームコアだと思ってるし

「これは、鵜葉のお兄さんですか?いつもお世話になってます。」

礼儀正しく頭を下げる姿はまるで大人のようだった、育ちが良さすぎるぜこの男…

「こちらこそ夏織と仲良くしてくれてありがとね?この子道に迷うし人見知りだし負けず嫌いだし」

「ちょ、待て待て待て」

言い過ぎ言い過ぎ恥ずいとかのレベルじゃないぞ兄ちゃん!!!
初対面でここまで俺の事話すのあなたぐらいだよ夏野兄ちゃん…

「鵜葉人見知りで負けず嫌いなんだ」

なんだその珍しいものを見たみたいな反応は…

「い、いや嘘かもしれないよ?鵜呑みはよくないよ内海」

そうだねと笑いながら言っているが多分1ミリも響いてないだろうな


「時間も時間だし夏織行ってらっしゃい」

止めたの夏野兄ちゃんだからね!?と言いかけたが兄なりの優しさなんだろうと思い兄弟愛だと思うことにし、受け取った

「うん行ってくるね」

ガチャっと扉の閉まる音と共に内海の手が目の前に出された
まただ今日は少し反抗してみようかな…?良くない悪知恵が働いたのは重々に分かっているが反応が気になるのは人間の性ってやつ?
分かってるのに繋がないままでいたら、内海が急に立ち止まった

え、行かないの?

「鵜葉が手繋いでくれるまで俺動かなーい」

は、策士過ぎんか??何だこの幼稚な小競り合いは…って始めたのは俺なんだけど、、

「繋ぐとき、恋人繋ぎやだ…」

「へ、」

分かりやすく内海が落ち込んだのが分かったが理由がちゃんとあるから待ってほしい

「俺緊張して手汗とかかくからさ、あんまぎゅってやると促進されるというか?取り敢えず恥ずい、、
です」

顔を隠しながら言うと絶妙に何とも言えない表情をした内海
そうだよな、そうなるよな、でも手汗いっぱいのほうが俺は超恥ずい…

「いや、手汗かいてないから大丈夫。安心して。
手繋げないほうが嫌だわ俺。」

動かないと言っておきながら真顔でズカズカとこちらにやってきて半強制的に手を繋がれた
手汗かいてないは流石に嘘だろ、、、そこまでして繋がなくても良いんだぞ内海…

「そ、そう?なら良いんだけど…」

困惑気味に内海の顔をチラッと見ると超笑顔、内海が嬉しいなら俺は良いんだけど…

内海を理解するのに百年は必要な気がする。俺の事知る前に自分自身の事教えろし…

一人で勝手に不貞腐れていた。

手は繋いだのは良いものの無言というのはあまりにも心地が悪いもので何か話題をと頭の中の引き出しを開け閉めして絞り出した

「内海ってさ、」

そう言うと「うん」と優しく返してきた

「俺と居て大変だなとか、面倒くさいな、とか思わかないの?」

気になったとは言え流石に踏み込みすぎたか、と今になって後悔している。

「なんで?」

賛否よりも疑問で返してきた、急に言われたらびっくりするよな…

「俺って方向音痴じゃん?だから予定時刻にも間に合わなかったり遊園地とか行ったら必ず迷ったり、そんな事だらけで昔、友達に距離置かれた事が結構あって…」

無意識に手に力を入れていた
俺の暗い話を聞かせてどうする、、申し訳なさが後からやって来た

「何それ、それで俺が鵜葉に距離を置くとでも?
てか俺が好んで鵜葉の近くに居るのに面倒いからって見放すのカス過ぎない?」

へ、?
想像の斜め上をやって来た、いや嬉しいんだよ?嬉しいんだけど、、反応に困る、非常に困るぅ…

「い、いやカスとまではいかないかもだけど、、いつかそんな日が来るのかなー、って」

信用が無いような事を言っているのは分かっているけど過去の影響から今の自分を守ろうとするのは許して欲しい

「絶対そんな日が来ないように俺がする。二度とそんな悲しい思いさせないから。」

心に釘を打たれたかのように血液がドッと流れ込んだのがわかる。胸の動悸が速い。今までにこんな事を言われたことが無かったばっかりに硬直してしまった。

「内海は優しいね」

今日だけ方向音痴なのが誇りに思えた。

「もうこの話終わり!」と言い目的地に向かって俺を引っ張った。


少しした頃か、俺の目の前にはまたもや大量のガチャガチャだらけだった

「ねぇー!!内海!!!!遅い!」

新作のガチャを自分の手で回せる幸せはもうこの上ないだろうと思うぐらいだった。

小さくキーホルダーになった本や単語帳、お菓子にティッシュ箱

お金が許すなら全部買いたい、これ全部俺の…

「内海、俺これ、、全部欲しい…」

バカげた事を言ったのに内海はニコニコと頷きながら「そうだね」と賛成してくれた

「もー!適当に言ってるだろ!!!」

ムキになってつい強く言ってしまった、、が

「かわい。」

無意識か意識ありなのか分からないがほっぺをぷにっと掴んで言ってきた。
何これ、強制内海の彼女視点?にしても顔いいな…

「ひょっと、きゅーに、ふかむのやめろ!」

反抗したが内海は掴んで離さずじーっと見つめてきた
一向に離そうとしないから表情を変えてやろうと思いタコみたいに唇を立ててみた。
すると

「え、キス待ち顔?良いの?」

ちょちょちょっと待て、、、?すぐさま唇を戻した、想像もしていなかった返答にド焦りして汗が止まらない

唇が戻ったからか手をぱっと離してきた

「じょ、冗談でも変な事ようなし、!!」

噛みすぎだろ…ようなしって洋梨じゃん…は、?

「ふはっ、洋梨って」

内海のツボに入ったのかめちゃくちゃに笑っている、ウケたからそれで良いのか…?
「洋梨やばい」と言いながらずっと笑っているそこまで笑われたら流石に恥ずくなってくるって…!

はーっと呼吸を整えたかと思えば真剣な顔をして

「冗談じゃ無かったら良いってこと?」

さっきまで笑ってたやつだとは思えないって内海…絶対気にするとこそこじゃないだろ…

「そーれは時と場合による的な…?」

「時と場合によるね〜」ほえーと新情報を取り入れたかのように一応納得した?のか、?

読めねぇ、と頭を悩ませていたら

「ね、ワッフル食べない?」

さっきのことが無かったかのようにケロッとした内海はワッフルという可愛らしい食べ物を食べようと提案してきた

食べない?と聞いときながら強制的に引っ張ってるのは触れないでおこう、、

ワッフルを買おうと財布を取り出そうとするとバシッと止められ、「そこで座ってて」と言い俺を座らせると走ってワッフルを買いに行った

息も切らさず帰ってきた内海の手には簡易的な明らか食べ歩き系の三辺が開いた四角形の紙の中に入ったワッフル大量にがあった。
紙袋に入れてもらうとかしなかったの!?

理由を訊くと
どうやら「どれが好みか分からない」かららしい…
それにしても原始的過ぎないか?

なんだか投げられたフリスビーをこれでもかというぐらい尻尾を振りながら持ってくるシベリアンハスキーに見えた。

内海の原始的っぷりに気を取られていたがお金は払わなければならない、絶対に

「あ、お金」

カバンから財布を取ろうとすると全力で止められた

「いい。俺の自己満。」

まただ内海ワールド…俺からすると何も良くないんだよなぁ…

「でも…」

義理がどうとかの話じゃないお金は払わなければならないものだ

「大丈夫。鵜葉が食べてくれるなら俺はそれでいい。」

ほんとにそれで良いのか?と訊きたくなったがこれ以上言っても多分内海は曲げないと確信し諦めた。

俺はプレーンを口にしたがやはり出来立ては訳が違う、シンプルなのにほんのり甘く胃もたれという概念が無ければ何個でも食べれるレベルだ。

「はい、内海俺の食べかけだけど…」

一人で一個を食べきるのは流石に申し訳なくなってなんとか絞り出した俺なりの案だった。

内海は目を見開いて固まったがどこかぎこち無い様子で俺の食べかけワッフルに口を付けた

「ん、おいひ…」

はい、と内海が食べていたワッフルも差し出された

「え、良いの?」と言うと無言でもっと顔に近づけられた、これは食べて良いってことだよな…?

「いただきます…」

内海のは抹茶味で一口食べると鼻から抜ける抹茶の味と後から来るほろ苦さが俺の心を温かくした

「んー、おいし〜」目を瞑りながら味わっていたら
パシャっと写真が撮られた

「ごめん、流石に可愛かったから撮っちゃった」

さっきから可愛い可愛いって言われるけど俺そんなに可愛くないぞ?多分というか絶対言う相手ミスってる、、と思ったがまた内海ワールドが炸裂しそうだったからぐっと飲み込んだ。が

かわいいと言われると人は調子に乗るもので、、

「みて、内海可愛い?」

手を頬に当てて俗に言うぶりっ子ポーズをして言ってみた。今更だがキモすぎる…一時の感情ってほんとに亡くなった方が良い。

「うん可愛い、超可愛い」

カメラの連打が止まらない

「分かった、分かったからストップ!!!というか俺可愛くないし、好きでもない人にそんな事言うの良くないから!!!」


勢いでそう言うと内海はどこか寂しそうな顔をしたが何事も無かったかのように

「帰ろっか」と行きとは違う優しい導きで俺を家まで送った。

その帰り道の空気は重くとても話せる空気感ではなかった。
ぼーっとしながら歩いているともう家に着いたみたいだ

何も言えなかった…
下を向いていると内海は口を開いた

「また明日、学校でな」

その顔は後ろに向いていて表情を読み取るとかの次元では無かった。



やっぱり強く言い過ぎたよな、…もう反省するには遅く前とは違う重い十字架を背負って明日を迎える事になった。

前はこんな気持ちじゃなかったのにな…

その心の揺れを俺は見て見ぬふりをして蓋をした。
開けたところでいい結果を迎えるとは思えなかったから。