超絶方向音痴な俺は今、超絶イケメンに手を引かれています

放課後を告げるチャイムが鳴り響きやっと一日の学校生活の終止符が打たれた

帰る準備をそさくさとしていると後ろから声をかけられた


「あのさ、鵜葉ってガチャガチャ好きだよね?」


「え、なんで知ってるの…?」


教えたことも無ければガチャについて話したこともない…

内海が少し固まってから

「あー、ほら筆箱にキーホルダーついてるから?もし今日暇だったら行かね?」

行く!と言いかけた時明るい声に遮られた


「え!行きたい行きたい!!」


俺よりも早く反応したのは日比野だった。


「日比野じゃねーし…鵜葉来てくれる…?」


多分俺がこの顔弱いの分かっててやってるよなこれ…ほんとイケメンってずるい、


「もちろん、!行きたい!」


内海はよっしゃとガッツポーズをしていた、内海が嬉しいなら俺は全然良いんだけど…そこまで嬉しいもんかね?


「あ、潤も強制参加ね〜」


「はいはい、」


と言っているが
日比野に強制参加させられた東雲は満更でも無さそうな顔だった

初めて制服で学校外を出歩くそれだけでも十分緊張するっていうのにその上イケメンも一緒というハイレベルな放課後


「はい、鵜葉」


「ん、?」


そう言って内海は俺の前に手を出して来た、これは手を繋ごうという意なのか…?
恐る恐る手を近づけたら勢いよく恋人繋ぎをされた


「これで迷子回避だな」


そうだけど!!!俺ガキじゃないんだからさぁ…
悪びれもなく言う内海を見ると怒りなど空気の抜けた風船のように一瞬で消え去った


東雲がなあなあと訊いて来た

「鵜葉は、どんなガチャが好きなの?この前都会いたのもそれ?」


東雲は俺の思ってる5倍以上勘が鋭いっぽい。


「そーう、なんだけど…結局回せなくって…」

あははー、と苦笑いをしたら

内海が少しびっくりしたような顔をしていた


「あれ、俺連れて行かなかったっけ?」


「ごめん、、走って逃げた時に全然違う所行っちゃって…」

折角内海が案内してくれたのに逃げ去るという失態を犯しその上道に迷いガチャを回せないと言う内海に黄色い歓声を上げる女子に話したら情状酌量の余地も無いんだろうな、ごめん…と思い深々と頭を下げた
一体俺は誰に謝ってるんだろうか…

そう遠くを見ていると何か思いついたように内海が口を開いた


「ガチャ回しに行くときさ、俺誘ってよ…」


途中から自信を無くしたのか尻すぼみな言い方だった、え、俺でいいの?絶対他に友達いるでしょあなた
何でだ…?内海もガチャ回したかったりするのか?


「内海が良いなら俺は…」


張り詰めた空気が緩くなったかと思えば安堵したのか途端に表情が明るくなりスマホを取り出した


「ん、スマホ貸して連絡先」


確かに誘う時には必須だ、流石内海だ仕事が早いと思い急いでスマホを取り出した


「え、なんか魁斗だけずるくな〜い?」


そう言う日比野を横目に東雲は頭をポコっと叩いた


「いたっ!潤が俺のことぶった!!!痛い〜」


頭を擦りながら東雲に訴えかける姿はまるで幼児のようだった

この流れで内海だけ交換するのは流石にフレネミーの最高峰だろう、というかこの流れだと少なくとも俺は交換する


「東雲も日比野も交換しよ?」


平等なら皆損得ないだろうと思い言ってみたら二人はすんなりスマホを取り出し手際よく連絡先を追加していた

友達の数が一日で三人も増えた俺はスマホを眺め、すぐさま三人をピン留めした。
友達が増えるってこんなにも嬉しいんだ…スマホを抱きしめながしみじみと幸せを感じていた


「鵜葉、絶対だからね…」


内海もそんなにガチャ回したいんだ、、なら絶対誘わないとだ…
謎に責任感を感じた俺はうん、約束と小指を出した


内海は一瞬止まったが小指を絡めてきて

「ん、約束」


指切りげんまんをしている俺らを見ながら「二人だけずるーい…」「いつまで言ってんだ」と駄々をこねる日比野に東雲は呆れながら笑っていた


「ひ、日比野も連絡先交換したししたいことあったら言ってよ…?」

そう言った途端目をキランと輝かせて


「じゃあ!鵜葉が好きなガチャガチャの種類!!」


え、あ、そんなので良いんだもっと無理難題を言われると思っていたから少し安心した

ほんとにガチャの種類で良いのか…?
と思い恐る恐る訊いた


「話したら長くなるけど…大丈夫なら、」


もちろんと皆頷いていた

それを見て俺はスマホの画面を取り出し


「こ、このめじるしアクセサリーっていうのとかミニチュア系が大好きで…細部まで凝られててこれがほんとに五百円以内で収まるのが凄いな、って…」


はっと我に返り口元を抑えた、つい話し過ぎてしまった…


そんな俺を見た三人はびっくりはしていたがニコニコと幼い子を見るような目をしていた


「その調子でもっと話してよ俺、鵜葉の事知りたい」


なにそれほぼ告白じゃん、そうやって女子を口説くのね、なるほどね〜
にしても距離の詰め方がレベチな内海…俺の事知ってどうするんだ…?


「や、でも俺なんかの事需要あるかな…?」


「ある、あるから。てか卑下しながら話すのやめて」


「卑下してるつもりは無いんだよ…ほんとに需要あるのかなって、思っただけで」


「あるから訊いてる。無くても俺が造り出す。」


日比野と東雲は内海ワールドまた始まったよと言う顔をしていた


「そんな、造り出すって…」


ギリ理にかなってるような事を言うもんだから少し納得しかけたじゃないか、内海


「鵜葉の好きな食べ物と嫌いな食べ物、
それから────」


内海が話してるのを遮って

「まって!!!」


目の前には大量のガチャガチャが並んでいた
俺こんなの見たの一ヶ月ぶりとかだよ?お金と時間が許すなら全部欲しい…


「ね!ね!見てこれ超かわいい!!!!」


「こんなハイテンションな鵜葉初めて見た」


と笑いながら東雲が言ったのに対して「それな〜」と日比野が返していた


流石に暴れる自信しか無かったから内海と繋いだ手を離したら

「引っ張っても良いから、離さないで」

そう言う内海の顔は窓から入った光と逆光で見れなかった、どんな顔をしていたのだろう

でも俺はそれどころでは無かった
大量に並ぶガチャガチャを見てテンションが上がらない奴は居ないだろと自己完結までしてしまうぐらいだ


「内海!!!!早く!!!」


引っ張っても良いと許可を得た俺は内海をこれでもかというぐらい振り回した。

あ、と思いふと内海を見ると息が上がっていた


「鵜葉タフ過ぎない…?」


ちょっと休憩と言う言葉も何とか聞き取ったぐらいにはアドレナリンと衝動で動いていた


「ご、ごめん!俺気づかなかった…」


しょぼんとした俺を見た内海は少し焦って


「怒ってない、怒ってないから、、こんなタフな鵜葉見れて俺は嬉しいよ?」


即座に訂正をしたかと思えば弟や幼い子を見るような目をしながら頭を軽く撫でて来た


「俺さ鵜葉みたいな方向音痴で落ち着きない子すげー面倒見見たくなる…」


これは喜んで良いやつなのか?落ち着きなくて申し訳ないけども…

「俺の目のつかない所に行かないで。」


すっごい俺のこと心配してくれてるじゃん…嬉しいけど、めちゃくちゃ嬉しいけど…高1だよ?


「嬉しいけど、俺も自立しなきゃだし程々になら?」


そう言うと内海は少し顔つきを変えた


「無理。自立してほしいけどしてほしくない」


物凄く真剣な顔をして言うと思ったら過去一意味不明なことを言い出した


「うん、うん???」


この子手に負えない、、と困っていたら日比野と東雲が息を切らしながらやってきた


「二人早すぎ…一瞬で居なくなるじゃん…」


「逆に俺らが迷子なりかけたって、」


肩で息をする二人を手招きしてベンチに座らせた


「ごめんね、俺のブレーキが効かないばっかりに…」


「いやいやいや良いんだよ?あんな楽しそうな鵜葉もう見れるか分かんないし」

うんうんと東雲が頷いていた


あ、と思い俺はカバンの中を漁り三人の前に出した


「これ、俺に付き合ってくれたお詫びにちょっど3つだから!」


そう満面の笑みで言うと皆揃って怪訝な顔をした


「え、鵜葉のは?自分からハブられに来るタイプ?」


全くもって考えていなかった事を言われてフリーズした


「三人仲いいし、俺が入るのはおこがましいし、あんまりじゃない?」


「えー、俺は4人でお揃いがいいな」


と珍しく東雲が内海を見ながら口を開いた


「ね?内海」


「なんで俺?でも4人の方が思い出って感じで良くないか?」


た、たしかに、、折角だもんね、


「なら俺もう一個買ってくる!!」


バッと立ち上がった瞬間

「俺もお揃いにしたいな〜って思ってたから4つもう買ってるんだよね〜」


ニヤニヤしながらカバンから色違いのクマを取り出す日比野は英雄そのものだった


「鵜葉から先選んで良いよ!!」


え、と思い周りを見たが総意って感じだったからパッチワーク柄のクマを手に取った
内海は水玉模様で東雲はストライプ、日比野は半分だけ色の違う異端児を選んだ

俺たちはそれぞれ筆箱やカバンにクマを取り付けた

4人並んで帰る夕日から伸ばされた影は今までで見た影の中で一番長く綺麗に見えた