Angel Rest ――英雄を棺に納めた男――

 ええ、ええ。 知っておりますよ。

 あなたはあの男のことを知りたいのでしょう。

 決して戦うこともなく。
 さりとて逃げることもなく。

 かの男は、かつて常に死の隣におりました。

 崩れた肉を支え。
 焼けた頬に化粧をし。

 あの男の体からは常に死臭が漂っていた。

 けれど——ああ、それでも。

 あなたはお知りになりたいのですね。

 デンケン・セッツァー。 その男のことを。

 ――かつて英雄として名を残しつつも魔王に敗れ、死して帰ったユリウスを。
 墓場に葬った、一人の納棺師の物語を。