おひとり様再発見

朝、起きたら彼はいなかった。

「まだ怒ってんの……?」

携帯を確認するが、メッセージは届いていない。
もっとも、私もあれから送っていないが。

「……はぁーっ。
これは私から謝るまで、帰ってこないってことですか」

どんよりと思い気持ちで身支度を済ませる。
長い黒髪は丁寧に巻いて緩めのひとつ括りに。
化粧はナチュラルに見えるが手はかかってる。
服は、キレイめのパンツスーツだ。
丁寧に時間をかけ、野暮ったい私を二十代後半デキる女に変身させる。
……本当は心のどこかで、面倒くさいと思いながら。

朝食は食べずにマンションを出た。
引きずるスーツケースが心なしか重く感じた。
今日から二泊三日の福岡出張だ。

昨日、些細なことで彼と喧嘩した。
身体を求められたが、翌日は出張で朝早いから拒んだのだ。
そうしたら。

未姫(みき)は俺のこと、愛してないんだな』

……と、酷く腹を立て、止める間もなく出ていった。
きっとネカフェか友人宅に泊まったんだろうが、今朝になっても帰ってきていない。

飛行機の搭乗時間を待ちながら、携帯を見つめる。
私が謝れば済む問題なのはわかっていた。