夕ご飯は桃パフェとクリームボックスとカフェオレ

 店に辿り着いた私。迷わずに、お目当ての桃パフェを注文した。
 今は、ひんやりとした冷房の効いた店内で、期待感と一緒に待っているところ。この待ち時間は、遠足前の眠れないわくわく感をほんの少し、追体験させてくれるようで、すごく楽しい。
 店員さんがこちらに近づいてきた瞬間、私の胸にときめきが走る。店員さんが持っていたのは、桃が載ったパフェグラスだったから。遠目から見ても、すごく美味しそう……!

「お待たせしました!」

 そして、目の前にパフェグラスとスプーンが置かれた。

「わあ……! ありがとうございます!」

 お礼と共に、思わず歓声を出してしまった。私の目の前にあったのは、桃がたっぷり使われた美味しそうなパフェだったから。

 ごゆっくりどうぞ、という声と共に、店員さんが伝票を置いて去っていく。私の視線は、桃パフェに釘付けだった。
 つやっつやの、ピンク色と淡い黄色が混ざった桃と、たっぷりのクリームが乗ったパフェ。美味しそう、綺麗、可愛い。それ以外の言葉が思い出せなくなってしまう。
 ふわっとした桃の強い香りが、食べる前から香ってくるよう。
 ああ、早く食べたい……!
 わくわくとした感情と期待感を味わいながら、私はぎゅっとスプーンを持った。

 まずは桃にスプーンを入れた。スプーンで切ることが出来るほどの柔らかい、旬の桃。それを一口サイズにすくって、口に入れて咀嚼する。

「~~~~~~っ!」

 思わず、唸り声のような悶絶するような声にならない声を出してしまった。頭の中が美味しい、で一杯になる。
 口の中いっぱいに広がっている桃の果汁とジューシーな桃の食感。そして目が覚めるようなみずみずしい濃い甘さ。お腹が空いていたことなんて忘れちゃうくらいの満足感が私の全身に広がっていった。一日頑張った最高のご褒美って感じ……!

 でも、これはまだ一口目。次は桃にクリームを絡めて食べる。

「美味しい~っ……!」

 お店の中だから小声。でも、そんな声を出してしまった。
 コクのあるクリームが口の中でとろけて、桃を咀嚼すると、そのミルキー感と、果汁が口の中いっぱいに広がっていった。桃単体で食べた時とはまた違うコク感とマリアージュ。

 そのまま夢中になってパフェを食べ進める。

 美味しい。幸せ。いくらでも食べられちゃいそう。
 食べていくうちに、パフェの量が減ってしまう。
 美味しいものって、どうして食べるとなくなっちゃうんだろう。
 そんな、当たり前のことを考えて、名残惜しくなってしまうくらいには美味しい。福島の桃パフェ。
 
 ほんの少しの名残惜しさと、幸せな気持ちを抱えながら、パフェの残りも味わっていた。

「ごちそうさまでした……!」

 あっという間に空っぽになってしまったパフェグラスを前に、私は手を合わせて、ごちそうさまをした。

 お会計をして、外に出る。さっきの疲労感は落ち着いていて。夏の熱気はまだ残っている。けれども、陽が落ちてきたからか、先ほどよりも暑さは落ち着いているような気がした。

「よし、じゃあ、ホテルに行って……」

 そんなことを呟きながら、私の足はホテルに向かっていた。
けれども、その足取りが段々と迷いのあるものになっていく。

「もうちょっと、何か食べたいな……」

さっきパフェを食べて、お腹空いた状態からは脱出した。けれども、もっと食べたい、という気持ちが湧き出てくる。それに、福島の美味しいもの、もっと見たいな、という気持ちもある。

「スーパー、行ってみようかな……」

 スーパーで、福島の美味しいもの、ちょっと探してみようかな。
 スマートフォンで、ホテルの近くのスーパーを探して、そこまでちょっと足を伸ばすことにした。