自分の容姿が目立ち始めたころ。
告白される度に相手を醒めた目で見る自分がいた。
『好きです』
好きってなんで?
呼び止められるたびにだるく感じた。
名前も知らない相手からの好意。
一方的な思いほど、重たく感じてしまう。
「ごめん」と断れば「どうして」と理由を聞かれる。
「好きじゃないから」と言えば「好きな人がいないなら付き合えるじゃない」と言われ。
男が好きなんだ。
正直に、そう言えば良かったのだろうか。
次第に断ることが面倒くさくて告白を受けるようになった。
元々異性相手に恋愛的な恋心をいだいたことはなく。
付き合ってみても好きになれるはずもなく、しまいには振られて終わり。
付き合った相手の顔も名前も.覚えていなかった。
「晴人は結局誰のことも好きになれない」
あれは1年の終わる頃、1週間ほど付き合った相手に言われた言葉。
好きになれないわけではない。
恋愛対象が男なだけで。
終わりがくればまた始まる。
その度にしんどくなる。
女性に興味がないどころか、結局誰の事も本気で好きになれない自分が虚しかった。
そんな時、水木に出会った。
下校中、目の前を歩くグループの1人。リュックに可愛らしいぬいぐるみをつけて何やら力説していた。
「好きなもの好きって言って何が悪いんだよ。俺は可愛いものが好きなだけだって」
確かに男子高校生の私物としては可愛すぎる。
でも、水木は最後にこんな事を言った。
「だって。自分には正直でいたいじゃん」
自分にはない感覚だった。
男が好きな自分には、堂々と人前で伝えることもできないと思っていた。
好きなものを好きだということへの虚勢を無意識に張っていた事に気付かされた。
初めは単純にその言葉に救われた。
水木 充。
同じクラスでないから交流は全くなかったけれど、気になり始めたら水木が不思議と視界に入るようになっていた。
水木はさして目立つタイプではなかった。小柄で前髪がよく目にかかって勿体無いけど、不意に髪の隙間から見える大きな目はキラキラしてうつった。ガラス玉のように潤った瞳。家で飼っている猫のようで可愛らしいなぁと思うようになった。
休み時間はわざと教室から出ては、水木を探すようになった。
廊下から隣の教室を覗いて水木を見かけた時、廊下ですれ違う瞬間。
どんなに見つめても水木の視線が自分に向くことはなかったけど、会えた日は一日中胸が騒ぐようになった。
水木の声だけがやたらよく聞こえたし、小さな水木が人込みであってもパッと気づくようになった。
可愛いなぁ。
話したいなぁ。
近づいて、話してみたかった。
まだ好きという感情がよくわかっていなかった頃、同じクラスになった。
隣の席になって、言葉を交わすようになった。
見つめると返してくれるようになった。
好きだ。
はっきりと自覚した。
そして告白を断るようになった。
「好きな人がいるから」
好きだと自覚した時には、もうだいぶ水木のこと好きになっていた。
だからと言って、自分を好きになってくれる保証なんてないのに。
好きになってもらうために、自分に正直になろうと決めた。
自分には正直でいる事を、教えてくれた水木。
例え自分を好きになってくれなくても。気持ちは受け止めてくれるかもしれない。
⭐︎
「なあ、朝倉の好きな人って誰なんよ」
「お前、最近女の子寄せ付けてないじゃん」
相良と長谷川。
本当の事を話しても、こいつらなら引かれないかもしれない。
「…みずき」
「みずき?みずきちゃんなんていたっけ?」
「他校か?」
「教えない」
ライバルが増えては困るから。
水木が自分に向いてくれるまで2人にはまだ言わない。
⭐︎
いつかは気持ちを伝えたいと思っていた。
水木と隣の席になって、何か理由をつけて近くにいたかった。
でも結局、困らせただけだった。
自分に正直に。
でも、決めるのは水木だ。
受け入れてもらえなかったとしても、諦めたくはなかった。
告白される度に相手を醒めた目で見る自分がいた。
『好きです』
好きってなんで?
呼び止められるたびにだるく感じた。
名前も知らない相手からの好意。
一方的な思いほど、重たく感じてしまう。
「ごめん」と断れば「どうして」と理由を聞かれる。
「好きじゃないから」と言えば「好きな人がいないなら付き合えるじゃない」と言われ。
男が好きなんだ。
正直に、そう言えば良かったのだろうか。
次第に断ることが面倒くさくて告白を受けるようになった。
元々異性相手に恋愛的な恋心をいだいたことはなく。
付き合ってみても好きになれるはずもなく、しまいには振られて終わり。
付き合った相手の顔も名前も.覚えていなかった。
「晴人は結局誰のことも好きになれない」
あれは1年の終わる頃、1週間ほど付き合った相手に言われた言葉。
好きになれないわけではない。
恋愛対象が男なだけで。
終わりがくればまた始まる。
その度にしんどくなる。
女性に興味がないどころか、結局誰の事も本気で好きになれない自分が虚しかった。
そんな時、水木に出会った。
下校中、目の前を歩くグループの1人。リュックに可愛らしいぬいぐるみをつけて何やら力説していた。
「好きなもの好きって言って何が悪いんだよ。俺は可愛いものが好きなだけだって」
確かに男子高校生の私物としては可愛すぎる。
でも、水木は最後にこんな事を言った。
「だって。自分には正直でいたいじゃん」
自分にはない感覚だった。
男が好きな自分には、堂々と人前で伝えることもできないと思っていた。
好きなものを好きだということへの虚勢を無意識に張っていた事に気付かされた。
初めは単純にその言葉に救われた。
水木 充。
同じクラスでないから交流は全くなかったけれど、気になり始めたら水木が不思議と視界に入るようになっていた。
水木はさして目立つタイプではなかった。小柄で前髪がよく目にかかって勿体無いけど、不意に髪の隙間から見える大きな目はキラキラしてうつった。ガラス玉のように潤った瞳。家で飼っている猫のようで可愛らしいなぁと思うようになった。
休み時間はわざと教室から出ては、水木を探すようになった。
廊下から隣の教室を覗いて水木を見かけた時、廊下ですれ違う瞬間。
どんなに見つめても水木の視線が自分に向くことはなかったけど、会えた日は一日中胸が騒ぐようになった。
水木の声だけがやたらよく聞こえたし、小さな水木が人込みであってもパッと気づくようになった。
可愛いなぁ。
話したいなぁ。
近づいて、話してみたかった。
まだ好きという感情がよくわかっていなかった頃、同じクラスになった。
隣の席になって、言葉を交わすようになった。
見つめると返してくれるようになった。
好きだ。
はっきりと自覚した。
そして告白を断るようになった。
「好きな人がいるから」
好きだと自覚した時には、もうだいぶ水木のこと好きになっていた。
だからと言って、自分を好きになってくれる保証なんてないのに。
好きになってもらうために、自分に正直になろうと決めた。
自分には正直でいる事を、教えてくれた水木。
例え自分を好きになってくれなくても。気持ちは受け止めてくれるかもしれない。
⭐︎
「なあ、朝倉の好きな人って誰なんよ」
「お前、最近女の子寄せ付けてないじゃん」
相良と長谷川。
本当の事を話しても、こいつらなら引かれないかもしれない。
「…みずき」
「みずき?みずきちゃんなんていたっけ?」
「他校か?」
「教えない」
ライバルが増えては困るから。
水木が自分に向いてくれるまで2人にはまだ言わない。
⭐︎
いつかは気持ちを伝えたいと思っていた。
水木と隣の席になって、何か理由をつけて近くにいたかった。
でも結局、困らせただけだった。
自分に正直に。
でも、決めるのは水木だ。
受け入れてもらえなかったとしても、諦めたくはなかった。
