御馳走を食べていたら自分が食べられそうになった

老人は私に背をむけ、ついてくるようにいった。

その瞬間、私はあれだけ汗をかいたというのにもかかわらず尿意をおぼえた。

そして、おそるおそる老人に、

「トイレの場所は、どこでしょうか?」

とたずねた。

老人はふりかえり、本殿にまっすぐむかっていた足取りを右にかえ歩きだした。

そして、本殿の横にあった建物のまえでとまった。

建物は、木で作られており、細長い。

ぱッと見るとひとりふたり用のサウナのようにも見える。

老人が建物の木製の扉をあけると和式のトイレがあらわれた。

「鍵はしめるように」

老人はそれだけいうと建物からすこし離れた位置まで移動した。


私はおそるおそるトイレのなかに足をふみいれる。

トイレのなかの木材は、研磨されたように清潔で白く輝いている。

私は和式トイレというものをはじめて見た。

白い琺瑯のような物体でつくられたおまるそっくりの形。

おまるとちがうのは、底に丸い穴が開いており、ぽっかりと開いた空間とつながっていること。

和式ですらはじめてなのに、これが噂に聞いていたぼっとんか。

私はしゃがんだときに、なにかが落ちてしまわないようにしっかりと確認してからトイレをすませ、除菌シートで手をふいた。

使用済みの除菌シートはリュックサックのゴミ袋にいれた。

ぼっとんの穴に捨てたら怒られそうだったので。