左利きの私は、右利きの彼氏と付き合うことにした。

 私のアパートに行く前にコンビニに寄り、いつものお茶とお菓子を購入した。このコンビニは昨年出来たばかり。引っ越してきたときには無かったのだけれど、住んでいる場所から近くて便利なのでいつも使ってしまう。

「おじゃましまーす」

 一応、詩歩はそう言って靴を脱ぎ、玄関を上がって私の部屋へ。初めの頃は結局、大学を卒業したらまた引っ越すのだから物はあまり置きたくないと考えていたのだけれど、詩歩や友人がとまりに来るたびに、何かしらのモノが増えていくことに。

 いまでは詩歩のスペースが出来上がっていて、この間やったお誕生日会の帽子とかまである。

「さて…どうしましょうかね、理緒さん」

 座ってからすぐに私にそう言ってきた。

「どうしましょうかねって、どうするの?あの本村さんって人がいいの?」

「…だからあんたはそんなのなのよ。そうじゃなくて、今度の集まりに着ていく服とか、そういうのを決めないと」

 ああ、そういう話か。てっきり早速、あの本村さんって人が気に入ったのかと思ったけど、そうではないらしい。

「それに、あの人多分彼女いると思うから」

「そうなの?」

「そ、女の直感ってやつだけど」

 じゃああてにならないじゃないか。と言いそうになったけれど、言わない方がなんとやらというやつなのかもしれない。私はそのままキッチンへ向かうとお茶を入れた。

「それで?理緒はどうするの?服装」

「どうって…いつも通りでいくけど」

「…理緒がそうするなら、私もそうしようかな」

 どうした。さっきの会話はどこへいった。なにかこう、自分のお気に入りの服とか、男の人が好きそうなのをスマホか何かで調べるのかと思ってたけど、私の意見を聞き入れるのか?この人は。

「なにをやるんだろうね」

 私がそう聞くと、早速教えて貰ったグループチャットの予定表を詩歩が確認する。

「…フットサルだって。…理緒、やったことある?」

「まあ、高校の授業でサッカーならあるけど…なんとかなるんじゃない?部活じゃないから」

 今週末に開催されるサークル活動は、近くの体育館を借りてフットサルが行われるらしい。もちろん、こういう時の決まり文句みたいな感じの「やったことなくても大丈夫だよ」とのことだった。

「運動なんか久しぶり。…一応、講義で体育はとってるけど、あれよりも時間長そうだから」

「…私、文化系の部活だったからさ、高校の時」

「そうなの?」

 初めて聞く詩歩の高校時代の部活動。…何をやっていたのだろうか。

「茶道部。もっとも、行ったのは最初の1回だけだけど」

「茶道部?…そんなのあったんだ」

「1年生の最初にやるじゃん?部活動紹介みたいなの。その時に、かっこいい先輩がいたから」

 なるほど。詩歩の原動力の源は大体そういう理由なんだ。と私はそうおもってしまった。