左利きの私は、右利きの彼氏と付き合うことにした。

「あった、ここだよ、理緒」

 講義が終わった後、私は詩歩に昨日の事を少し話した。すると「なんだ、結局あんたも彼氏、欲しいんじゃん」

 …こいつは人の話を聞かないのか。

 別の世界を生きている人、つまりそれは私ではない人に出会えばそれでいい。という考えになった。…そういうことでしょ?

 やってきたのは部室棟といわれる部活動が入っている建物で、その中には同好会、サークル。運動部や文化部が入っている。

「…同じ建物の中に入っているんだね」

 そう私が聞くと詩歩は答えた。

「まあね、ほら、うちの大学、とくに部活にとか、そういうのないでしょ?」

 まあ確かに。テレビとかで見るような大会とかそういうのにうちの大学名が出たことはない。…私がしらないだけであるのかもしれないけど。

「それで…サークルは…」

「ここじゃない?」

 詩歩が見つけてくれた。看板。…看板というより、部屋についている名札みたいなものに、手書きで「そらみ」と平仮名で書いてあった。

「誰かいる?」

「いないかも」

 それもそうかもしれない。ここは言うなれば部室棟。部活動をやっている人は出入りするけれど、サークルは基本的に学外で行われることが多いらしい。となるとここは学校に与えられたとりあえずの場所みたいな感じなのだろう。

「…あ、でもここ、ほら見て」

 詩歩が指さす先にはポスターがある。

「連絡先、あるね」

 こういうポスターは基本的に学内の掲示板に貼るのが通例だと思うけど、それが出来るのは新入生が入って来てからの3カ月くらいの間だけ。…掲示板には大学の必要な就活の情報とか、中古パソコンの通販とかそういうのが貼られている。

「ここに来ないと見る事が出来ないって言うのは、なんともね」

 私がそう言うと、詩歩はそれを聞いているのか、早速ポスターの連絡先に電話をしてくれた。

「…はい、はい、じゃあ、今からってことですか?」

 電話のリズムが私にも伝わってくる。あ、これは今からどこかに行って会うことになるぞ。というそういう雰囲気に。…学内だろうか、今日は外向きに服を着てきてない。

「…はい、ありがとうございます。じゃあ、食堂で待ってますね」

 食堂らしい。よかった、学内だ。

「理緒、ということでサークルの代表者の本村さんに会いに行くよ」

「…食堂?どっちの?」

「第1食堂、そこの入り口近くのテーブルに座っていてだってさ」

「…じゃあ行こうか」

 私と詩歩は食堂へ向かって歩き出した。