左利きの私は、右利きの彼氏と付き合うことにした。

 子供の頃の夢は?と聞かれると、何か壮大な夢を語らなければいけないような気もするのだけれど、実際の所はそんなことも無い。これは大人になると何となくわかることになるのだけれど、夢っていうのはなんか私としては表現が違う気がする。

 きっと、可能性の何かが自分の中にあって、それに耳を傾けた時、私の中の世界に問いかけることになる。

 どこにいますか?私の夢は。

 少し、細かい話になるのだけれど、私は左利きだ。利き手が左になったと気が付いた時は小学生の時で、それまでは余り気にしていなかったような気もする。

 お昼ご飯を食べるときに、隣の子と肘がぶつかったとき、なんで私だけこうなるんだろうと考えた時、そうか、私は左手でお箸を持っているんだと気が付いた。

 となると、思うことがある。

 というか、気が付くことになる。

 世の中は右がメインなんだということに。

 何か言われたとき、ふっとまえに出るのは左手。私の場合はね。

「…ねぇ、理緒(りお)。私の話、聞いてる?」

 お昼の時間。私の通っている大学には、ちょうどいい感じの中庭がいくつもあって、入学当初からつかっているお気に入りの場所がある。今日もそこでご飯を食べながら何となくくつろいでいると、さっきの言葉が聞こえて来た。そんな隣で私に何かを言ってきているのは大学で出会った友人。成瀬詩歩(なるせ しほ)その人である。

 話を聞くに、詩歩はさっきから、どうやら私に恋愛。つまり恋の事を話したいらしい。

 大学生とは恋活の事である。と彼女は言うのだけれど、そんなことはないだろうと私は思うわけで。だって、受験勉強をするってのは結構、なんていうか人生を賭しているわけだから、その先にあるのが恋活なら、受験勉強はそのためにやったことになるのだけれど。

「私、推薦だし」

 との一言で私の意見は返されてしまった。

「いい?理緒。話を聞いて。私、同好会に入ろうと思うの」

「…何の同好会?」

「なんか楽しそうなやつを見つけて入るの」

「…決め手はないんだね」

「うん。だって、いい男が居ればそれでいいじゃん」

 大学は勉強するところである。…と言う風に私も思っているわけではない。勉強と一口に言っても社会勉強もあるわけだし、人と出会い、そして何かをしていくというのも勉強だろう。とも思うわけで。

 入学して2年。月日は経過してしまったのだけれど、最近凄く良く思う。何の為に大学に来たのかということを。

 大学生活の半分。あと半分もある。と見るか、あと半分しかない、と見るか。実際の所、大学4年生は色々とやることがある。ゼミや就活などが待っているのもわかる。ということは、遊べるのはこの時期から、3年生の区間になるのだけれど、そこまでして考えなくても世の中、何とかなるんじゃないかとも思い始めているわけで。

「…まあ、目的みたいなのがあるのはいいこと、なのか?」

 詩歩を見てそう思うのだけれど、じゃあはたして私には何か目的があるのか。とそう言われるとないのだけれど。

 そんなことを考えながら昼食を食べていく。