「いいなぁ」
「何が」
「……恋」
「キモ」
「はあ?聞いたくせにキモとか、キモ!」
「はあ!?」
顔を合わせれば、喧嘩ばかり。
好みも意見も全然合わなくて、もうとっくの昔にその顔だって見飽きたのに。
「大嫌い」
「俺も嫌いだよバァカ」
「バカって言う方がバカなんですぅ」
「はーウザ」
何を言ったって、何度喧嘩したって、ずっと、傍に居る幼馴染。
「さっさと誰かと結婚してどっか行っちゃえ」
「……誰かとね」
「そうだよ」
「なら、お前でもいいのかよ」
「は、んっ!?」
気が付けば何故か、その幼馴染に、キスされていて。
「恋したいなら、俺とすれば?」
「……ば、かじゃないの。男同士は無理なんだよ。さっさと、どっか、行っちゃえってば」
「あっそ」
ぐいぐい押して、別れの挨拶をして。
どっか行っちゃえ、なんて俺が言ってしまったから。
「長谷川が今朝、交通事故に合ったそうだ。意識不明の重体で、暫く学校は休みになると親御さんから連絡があった」
次の日から、幼馴染は本当にどこかへ行ってしまった。
「……え」
じゃあ、今目の前に居るのは。
「あー、やっぱ俺、死にかけてんのか」
「……え!?」
「しー、俺の事見えてんの、お前だけみたいだぞ」
目の前に居るこいつは……何!?
俺が思わず上げた驚きの声は、幼馴染だもんね、そりゃ驚くよね……、という、クラスメイトからの同情が乗せられた声に消える。
俺は変わらず目の前に居る幼馴染、長谷川 拓己(はせがわ たくみ)の姿を、ただ凝視していて。
「ちょっとうろついてくる。昼休み話そう」
「……」
拓己の声がする。
いつも通りの、落ち着いた声。
すぐ俺のことを煽るから大嫌いで、それから、よく聞き慣れた声。
声に出すとまた目立つから、小さく頷くと、拓己はちゃんと歩いて、それから教室の扉を開けることなく、すり抜けて消えていった。
「(うそだ……)」
その後すぐ、担任と入れ違いで教室へ入ってきた先生は、たった今すれ違ったはずの拓己について、何も触れない。
つまり、本当に誰も、俺以外、拓己の姿が見えていない……?
夢かと思って頬を抓ると、ちゃんと痛いし、痛すぎてちょっと涙が出る。
そのまま普通に泣きそうになって、慌てて視線を上げると、沢山、沢山瞬きをした。
どうしよう拓己。
俺のせいで、事故に。
空っぽの前の席を見つめて、先程まで居た拓己らしき人の存在を思い浮かべて、小さく息を吐く。
とりあえず、昼休みまで乗り切る。
それから拓己を捕まえて。
どっか行っちゃえなんて言ってごめん、って伝える。
あと、なんでキス……したのか、聞く。
昨日は動揺しすぎて、逆に普通に振舞っちゃったけど。
それから、恋したいなら俺と、って。
本気なの?って、聞きたかった。
聞きたいのに、拓己が戻ってくる保証がなくて、怖くて仕方なかった。
扉をすり抜けていったみたいに、ふっと消えて戻らなかったら、どうしよう。
「何が」
「……恋」
「キモ」
「はあ?聞いたくせにキモとか、キモ!」
「はあ!?」
顔を合わせれば、喧嘩ばかり。
好みも意見も全然合わなくて、もうとっくの昔にその顔だって見飽きたのに。
「大嫌い」
「俺も嫌いだよバァカ」
「バカって言う方がバカなんですぅ」
「はーウザ」
何を言ったって、何度喧嘩したって、ずっと、傍に居る幼馴染。
「さっさと誰かと結婚してどっか行っちゃえ」
「……誰かとね」
「そうだよ」
「なら、お前でもいいのかよ」
「は、んっ!?」
気が付けば何故か、その幼馴染に、キスされていて。
「恋したいなら、俺とすれば?」
「……ば、かじゃないの。男同士は無理なんだよ。さっさと、どっか、行っちゃえってば」
「あっそ」
ぐいぐい押して、別れの挨拶をして。
どっか行っちゃえ、なんて俺が言ってしまったから。
「長谷川が今朝、交通事故に合ったそうだ。意識不明の重体で、暫く学校は休みになると親御さんから連絡があった」
次の日から、幼馴染は本当にどこかへ行ってしまった。
「……え」
じゃあ、今目の前に居るのは。
「あー、やっぱ俺、死にかけてんのか」
「……え!?」
「しー、俺の事見えてんの、お前だけみたいだぞ」
目の前に居るこいつは……何!?
俺が思わず上げた驚きの声は、幼馴染だもんね、そりゃ驚くよね……、という、クラスメイトからの同情が乗せられた声に消える。
俺は変わらず目の前に居る幼馴染、長谷川 拓己(はせがわ たくみ)の姿を、ただ凝視していて。
「ちょっとうろついてくる。昼休み話そう」
「……」
拓己の声がする。
いつも通りの、落ち着いた声。
すぐ俺のことを煽るから大嫌いで、それから、よく聞き慣れた声。
声に出すとまた目立つから、小さく頷くと、拓己はちゃんと歩いて、それから教室の扉を開けることなく、すり抜けて消えていった。
「(うそだ……)」
その後すぐ、担任と入れ違いで教室へ入ってきた先生は、たった今すれ違ったはずの拓己について、何も触れない。
つまり、本当に誰も、俺以外、拓己の姿が見えていない……?
夢かと思って頬を抓ると、ちゃんと痛いし、痛すぎてちょっと涙が出る。
そのまま普通に泣きそうになって、慌てて視線を上げると、沢山、沢山瞬きをした。
どうしよう拓己。
俺のせいで、事故に。
空っぽの前の席を見つめて、先程まで居た拓己らしき人の存在を思い浮かべて、小さく息を吐く。
とりあえず、昼休みまで乗り切る。
それから拓己を捕まえて。
どっか行っちゃえなんて言ってごめん、って伝える。
あと、なんでキス……したのか、聞く。
昨日は動揺しすぎて、逆に普通に振舞っちゃったけど。
それから、恋したいなら俺と、って。
本気なの?って、聞きたかった。
聞きたいのに、拓己が戻ってくる保証がなくて、怖くて仕方なかった。
扉をすり抜けていったみたいに、ふっと消えて戻らなかったら、どうしよう。



