どんなに俺が悩んでも季節は巡る。
俺はあれから、透君の進路について触れていないし聞いてもいない。
考えないことにした。という表現が正しいだろう。
またよくない方へと考えが進んでいるかもしれないが、透君は俺との関係は高校卒業とともに終わりなんじゃないか。
そう思うようになってしまった。
そうなのだとしたらいっその事この関係の終わりまで楽しみきった方がいいんじゃないか。
そんな考えに至った。
本当は心のどこかでは話し合わなきゃいけないことはわかってるし、本当は透君とお別れなんてしたくない。
確信を突くのが怖い。これが俺の本音なのだろう。
現実逃避を繰り返していた。
そんなころ、文化祭の季節となった。
俺たちの高校では、三年生が各クラスごとに屋台を開くということになっている。
それぞれ係を決め、分担して準備を進めることになり、俺は蓮君達と一緒に屋台の看板作りをすることなった。
蓮君率いるモテ男達から『敦紀が何か悩んでるのはわかる。でも何を悩んでいるのかわからないから吐け!』と詰められ、掻い摘んで説明した。
解決策なんてでなかった。当たり前だ、みんなは透君との接点なんてないから。でも、それでも話してよかった。
みんなでうんうん言って、あーでもない、こーでもないそう言って一緒に悩んでくれた。その事実が、俺はたまらなく嬉しかった。そんな友達に出会えたことにうるうるしてしまったがそれは墓まで持っていくことにした。きっと誰にもバレていないから。
最終的に『江井のことをよく知らないけど敦紀と適当に付き合ってるとは思えないから話し合え!でも、もし敦紀を泣かせるようなら懲らしめに行く。』
これにまとまった。
俺のために親身になってくれて、一緒に悩んでくれて一緒に解決しようとしてくれる。そんな友達に出会えただけで俺は嬉しくて、遂に泣いてしまった。
この話を透君に話したくてでも話せなくて、そこで今まで、嬉しいことも悲しいことも悩んでることも全部報告する。この約束が自分に染み付いていたんだなと深く痛感し、同時に透君とお別れしたら自分がどうなってしまうのか分からなくて怖くなった。
俺達のクラスは他のコースに比べ十人ほど少ない。だが、やる気に満ちているメンバーが多かったため和気あいあいとしながら着実に準備を進めていくことができた。
また、俺を含め学問に疎い生徒が多いため一般入試を利用する人が少ない。それも相まって放課後なども使って準備を進めることが出来た。
最後の文化祭ということもあり、クラスメイトはやる気に満ちていた。俺もはじめてできた心からの友達、大好きなクラスメイトと思い出作りにいそしみたく、この期間中だけは透君とのお昼と下校を別にしてもらうことにした。
もちろん寂しいが、朝は駅から待ち合わせをして一緒に登校していたし、LINEも頻度は変わらず送りあっていたから何も問題ないとあぐらをかいていたのかもしれない。
文化祭三日前からは授業はせず、文化祭の準備を各クラス進めていいことになっている。
放課後も使って準備を進めていたということもあり、大忙しともいかなかったが蓮君達と作った看板をクラスメイトに最終確認してもらい、屋台の設置、そして看板の設置、またポスター掲示などやることは山積みであった。
それでもクラスメイト達と楽しく準備を進めていき、学校中をウロウロとしているためたまに透君に会うのこともできた。時間があればお話をして、なければすれ違い際に手を振ったり、透君が微笑んでくれたり。
そんな二日間を過ごした。
そして文化祭前日の準備期間三日目。
昨日、一昨日同様楽しい準備時間となると思っていた。
お昼を済ませ、午後の部。特にやることがなく、外の掃除に駆り出されていた。
「梅宮、申し訳ないんだけど取りに行って欲しいものがあって...」
そう担任から声を掛けられた。
端から断る気などなかったが、詳しく話を聞くと透君の教室の近くの空き教室に置いてある工具を持ってきて欲しいとのこと。
俺はもしかしたら透君に会えるかもと下心込みで二つ返事でもちろんと返事をした。
透君に会えるかな、そうルンルンと空き教室まで向かっていた俺であったが担任を手伝ったことを後悔するはめとなった。
透君の後ろ姿が見えた。
なんて声を掛けようか。そんなことを考えながら近づこうとしたそのとき。
透君は一人ではなかった。
隣には才色兼備で、成績は透君に次いで学校トップクラス、部活動では輝かしい戦績を誇り、それして何より誰もが振り返るほどの美人である山本美月さんがいた。
入学当初から、透君とお似合い。や憧れのカップルなどと言われ続けているふたりだ。
俺から彼女について透君に質問したことはないし、二人はどんな関係でもないとわかっていた。
わかっていたはずなのに、二人が肩を並べて歩いている様子を見てとてもお似合いだなと瞬間的に思ってしまった。
最近のモヤモヤのせいも相まって山本さんのほうが話も合いそうだし、ご両親にも紹介できるし………
そんな考えても仕方ない、透君と恋人になる上で何度も考え話し合い、透君は『それでもいいから一緒にいたい。』そう言ってくれたことも忘れてそんなことを思ってしまった。
いよいよ透君には声をかけられなかった。
気持ちを切り替えたつもりではあったが、暗い顔をしていたようで蓮君に心配をさせてしまった。
明日は楽しみにしていた文化祭。
モヤモヤとしていることは一度忘れて大好きな友人達と文化祭を思いっきり楽しむことにした。
二日間に渡って行われた文化祭。
二日間とも屋台は大盛況だったし、シフト外の時間は蓮君達と学校中を回って楽しむことができた。
透君のクラスの屋台にも遊びに行けたし、仕事をしている透君の姿は恋人贔屓無しにしてもかっこよかった。
連絡先を渡されているところを目撃してしまったが見なかったことにした。聞くつもりはなかったが文化祭マジックを狙って告白すると楽しそうに話していた女子生徒話を盗み聞きしてしまったがそれも聞かなかったことにした。
見ないふり、聞かないふりを続けた2日間でもあった。
二日目の夜。
小規模ではあるが打ち上げ花火が毎年上がる。
一年、二年時は透君と二人きりで透君が先輩に教えてもらったという穴場スポットの教室で一年時は肩が触れそうで触れない距離を保って、手を伸ばそうとでも伸ばせない。そんな関係で。
二年時は同じ場所で、腕が自然と触れ合い腕が触れ合ってもどちらも気にしない。手を伸ばすことのできる。そういう関係で。そしてはじめてのキスをした。
一年時は透君から誘ってくれた。二年時はどちらが誘うでもなく当然のように。お互い時間になったら教室へと向かっていた。
今年はどうだろうか。
俺はあの教室へ行ってもいいのだろうか。
もし、透君は一緒に見てくれるつもりで教室にいてくれるのであれば待たせたくない。
でも、だけど、もし、山本さんに誘われていたら…山本さんを誘っていたら......
山本さんとふたりで教室にいたならば。
考えたくない、想像したくない未来ばかりが映像として頭の中をグルグルと駆け巡る。
そんな顔をした俺に対して痺れを切らした蓮君が
「敦紀、何馬鹿なこと考えてんのか言え」
そう問いただされた。
俺はまたあのときのように話した。
「何馬鹿なこと言ってんだ。山本がどう思ってるかなんて知らないけど江井が目移りするなんてあるわけないだろ。敦紀が自分に自信がないのはわかってるけど、言われた訳でもない思い込みで勝手に江井と山本がなんて考えるのは江井に対して失礼なんじゃないか?タラレバで考えたって仕方ないだろ。」
一息置いてから、優しい目をして
「もしほんとに江井が敦紀傷つけたら俺達が懲らしめる。アイツらもそう言ってただろ?だから、早く行ってこい。もう花火、上がっちゃうぞ」
『江井に対して失礼』
この言葉が俺の心の奥深くまで届いた。
俺はタラレバばかり考えて、肝心な大好きで大切な透君のことを全然考えられていなかった。
「蓮君は部外者なのに突然怒ったりしてごめんな。でも敦紀には幸せでいて欲しい。大切な友達だから。」と言ってくれた。
今まで、仲良くしてくれる友人すらいなかったんだ。俺のために怒ってくれる友人なんていなかった。それが俺は嬉しくて、涙が溢れながら背中を押してくれた蓮君に感謝しながら透君が待ってくれているそう信じて教室まで走った。
教室の扉の間でひと呼吸おき、静かに開けた。
中は暗く、何も見えない。
「透君、いる?」
空気に溶けてしまうような小さな声で真っ暗な空間に問いかけた。
「……敦紀?来てくれないのかと思ったよ。」
そう呟いた透君の声は涙ぐんでいたように感じた。
「遅くなっちゃってごめんね。待たせちゃったよね」
「全然待ってないよ。よかったよ来てくれて」
この学校の文化祭二日目の打ち上げ花火にはジンクスがある。
好きな人と見たら、結ばれる。
恋人と見たら、ずっと一緒にいられる。
藁にもすがる思いで願った。
透君の隣が俺の居場所であり続けますように。と切に願った。
文化祭も終わり行事も一通り終了した今、また季節は進んだ。
秋の終わりを迎え、冷たい風が肌を撫でる季節。
受験ムードが校内を包み始めた。
俺は担任から職員室に呼び出された。
話の内容は理解していた。
「梅宮、おめでとう。合格だ。」
担任からそう告げられやっと一息つけた。
「入学当初からは信じられないくらい成績も伸ばして……。これも江井のおかげか?いい友人を持ったな。卒業後も大事にしろよ。」
そう言ってくれた。
大学に合格した。
ここをリミットとしていた。
俺は現実と向き合う。
恋人なのにお互いの進路も知らない。そんなの変だと思う。
この期間中、たくさん考えた。
でも、やっぱり俺は透君のことが大好きだ。
透君が海外に行くなら応援したい。地元から離れるにしろ、海外に行くにしろ、バイトを初めてお金を貯めて会いに行くし、俺ができる努力はしたい。
俺なんかに応援されてもウザイかもしれないけど受験の応援だってしたいし、できる限り最低限のサポートがしたい。
今度はちゃんと俺から行動する。
邪魔が入っても諦めない。
透君と離れたくないから。
俺はあれから、透君の進路について触れていないし聞いてもいない。
考えないことにした。という表現が正しいだろう。
またよくない方へと考えが進んでいるかもしれないが、透君は俺との関係は高校卒業とともに終わりなんじゃないか。
そう思うようになってしまった。
そうなのだとしたらいっその事この関係の終わりまで楽しみきった方がいいんじゃないか。
そんな考えに至った。
本当は心のどこかでは話し合わなきゃいけないことはわかってるし、本当は透君とお別れなんてしたくない。
確信を突くのが怖い。これが俺の本音なのだろう。
現実逃避を繰り返していた。
そんなころ、文化祭の季節となった。
俺たちの高校では、三年生が各クラスごとに屋台を開くということになっている。
それぞれ係を決め、分担して準備を進めることになり、俺は蓮君達と一緒に屋台の看板作りをすることなった。
蓮君率いるモテ男達から『敦紀が何か悩んでるのはわかる。でも何を悩んでいるのかわからないから吐け!』と詰められ、掻い摘んで説明した。
解決策なんてでなかった。当たり前だ、みんなは透君との接点なんてないから。でも、それでも話してよかった。
みんなでうんうん言って、あーでもない、こーでもないそう言って一緒に悩んでくれた。その事実が、俺はたまらなく嬉しかった。そんな友達に出会えたことにうるうるしてしまったがそれは墓まで持っていくことにした。きっと誰にもバレていないから。
最終的に『江井のことをよく知らないけど敦紀と適当に付き合ってるとは思えないから話し合え!でも、もし敦紀を泣かせるようなら懲らしめに行く。』
これにまとまった。
俺のために親身になってくれて、一緒に悩んでくれて一緒に解決しようとしてくれる。そんな友達に出会えただけで俺は嬉しくて、遂に泣いてしまった。
この話を透君に話したくてでも話せなくて、そこで今まで、嬉しいことも悲しいことも悩んでることも全部報告する。この約束が自分に染み付いていたんだなと深く痛感し、同時に透君とお別れしたら自分がどうなってしまうのか分からなくて怖くなった。
俺達のクラスは他のコースに比べ十人ほど少ない。だが、やる気に満ちているメンバーが多かったため和気あいあいとしながら着実に準備を進めていくことができた。
また、俺を含め学問に疎い生徒が多いため一般入試を利用する人が少ない。それも相まって放課後なども使って準備を進めることが出来た。
最後の文化祭ということもあり、クラスメイトはやる気に満ちていた。俺もはじめてできた心からの友達、大好きなクラスメイトと思い出作りにいそしみたく、この期間中だけは透君とのお昼と下校を別にしてもらうことにした。
もちろん寂しいが、朝は駅から待ち合わせをして一緒に登校していたし、LINEも頻度は変わらず送りあっていたから何も問題ないとあぐらをかいていたのかもしれない。
文化祭三日前からは授業はせず、文化祭の準備を各クラス進めていいことになっている。
放課後も使って準備を進めていたということもあり、大忙しともいかなかったが蓮君達と作った看板をクラスメイトに最終確認してもらい、屋台の設置、そして看板の設置、またポスター掲示などやることは山積みであった。
それでもクラスメイト達と楽しく準備を進めていき、学校中をウロウロとしているためたまに透君に会うのこともできた。時間があればお話をして、なければすれ違い際に手を振ったり、透君が微笑んでくれたり。
そんな二日間を過ごした。
そして文化祭前日の準備期間三日目。
昨日、一昨日同様楽しい準備時間となると思っていた。
お昼を済ませ、午後の部。特にやることがなく、外の掃除に駆り出されていた。
「梅宮、申し訳ないんだけど取りに行って欲しいものがあって...」
そう担任から声を掛けられた。
端から断る気などなかったが、詳しく話を聞くと透君の教室の近くの空き教室に置いてある工具を持ってきて欲しいとのこと。
俺はもしかしたら透君に会えるかもと下心込みで二つ返事でもちろんと返事をした。
透君に会えるかな、そうルンルンと空き教室まで向かっていた俺であったが担任を手伝ったことを後悔するはめとなった。
透君の後ろ姿が見えた。
なんて声を掛けようか。そんなことを考えながら近づこうとしたそのとき。
透君は一人ではなかった。
隣には才色兼備で、成績は透君に次いで学校トップクラス、部活動では輝かしい戦績を誇り、それして何より誰もが振り返るほどの美人である山本美月さんがいた。
入学当初から、透君とお似合い。や憧れのカップルなどと言われ続けているふたりだ。
俺から彼女について透君に質問したことはないし、二人はどんな関係でもないとわかっていた。
わかっていたはずなのに、二人が肩を並べて歩いている様子を見てとてもお似合いだなと瞬間的に思ってしまった。
最近のモヤモヤのせいも相まって山本さんのほうが話も合いそうだし、ご両親にも紹介できるし………
そんな考えても仕方ない、透君と恋人になる上で何度も考え話し合い、透君は『それでもいいから一緒にいたい。』そう言ってくれたことも忘れてそんなことを思ってしまった。
いよいよ透君には声をかけられなかった。
気持ちを切り替えたつもりではあったが、暗い顔をしていたようで蓮君に心配をさせてしまった。
明日は楽しみにしていた文化祭。
モヤモヤとしていることは一度忘れて大好きな友人達と文化祭を思いっきり楽しむことにした。
二日間に渡って行われた文化祭。
二日間とも屋台は大盛況だったし、シフト外の時間は蓮君達と学校中を回って楽しむことができた。
透君のクラスの屋台にも遊びに行けたし、仕事をしている透君の姿は恋人贔屓無しにしてもかっこよかった。
連絡先を渡されているところを目撃してしまったが見なかったことにした。聞くつもりはなかったが文化祭マジックを狙って告白すると楽しそうに話していた女子生徒話を盗み聞きしてしまったがそれも聞かなかったことにした。
見ないふり、聞かないふりを続けた2日間でもあった。
二日目の夜。
小規模ではあるが打ち上げ花火が毎年上がる。
一年、二年時は透君と二人きりで透君が先輩に教えてもらったという穴場スポットの教室で一年時は肩が触れそうで触れない距離を保って、手を伸ばそうとでも伸ばせない。そんな関係で。
二年時は同じ場所で、腕が自然と触れ合い腕が触れ合ってもどちらも気にしない。手を伸ばすことのできる。そういう関係で。そしてはじめてのキスをした。
一年時は透君から誘ってくれた。二年時はどちらが誘うでもなく当然のように。お互い時間になったら教室へと向かっていた。
今年はどうだろうか。
俺はあの教室へ行ってもいいのだろうか。
もし、透君は一緒に見てくれるつもりで教室にいてくれるのであれば待たせたくない。
でも、だけど、もし、山本さんに誘われていたら…山本さんを誘っていたら......
山本さんとふたりで教室にいたならば。
考えたくない、想像したくない未来ばかりが映像として頭の中をグルグルと駆け巡る。
そんな顔をした俺に対して痺れを切らした蓮君が
「敦紀、何馬鹿なこと考えてんのか言え」
そう問いただされた。
俺はまたあのときのように話した。
「何馬鹿なこと言ってんだ。山本がどう思ってるかなんて知らないけど江井が目移りするなんてあるわけないだろ。敦紀が自分に自信がないのはわかってるけど、言われた訳でもない思い込みで勝手に江井と山本がなんて考えるのは江井に対して失礼なんじゃないか?タラレバで考えたって仕方ないだろ。」
一息置いてから、優しい目をして
「もしほんとに江井が敦紀傷つけたら俺達が懲らしめる。アイツらもそう言ってただろ?だから、早く行ってこい。もう花火、上がっちゃうぞ」
『江井に対して失礼』
この言葉が俺の心の奥深くまで届いた。
俺はタラレバばかり考えて、肝心な大好きで大切な透君のことを全然考えられていなかった。
「蓮君は部外者なのに突然怒ったりしてごめんな。でも敦紀には幸せでいて欲しい。大切な友達だから。」と言ってくれた。
今まで、仲良くしてくれる友人すらいなかったんだ。俺のために怒ってくれる友人なんていなかった。それが俺は嬉しくて、涙が溢れながら背中を押してくれた蓮君に感謝しながら透君が待ってくれているそう信じて教室まで走った。
教室の扉の間でひと呼吸おき、静かに開けた。
中は暗く、何も見えない。
「透君、いる?」
空気に溶けてしまうような小さな声で真っ暗な空間に問いかけた。
「……敦紀?来てくれないのかと思ったよ。」
そう呟いた透君の声は涙ぐんでいたように感じた。
「遅くなっちゃってごめんね。待たせちゃったよね」
「全然待ってないよ。よかったよ来てくれて」
この学校の文化祭二日目の打ち上げ花火にはジンクスがある。
好きな人と見たら、結ばれる。
恋人と見たら、ずっと一緒にいられる。
藁にもすがる思いで願った。
透君の隣が俺の居場所であり続けますように。と切に願った。
文化祭も終わり行事も一通り終了した今、また季節は進んだ。
秋の終わりを迎え、冷たい風が肌を撫でる季節。
受験ムードが校内を包み始めた。
俺は担任から職員室に呼び出された。
話の内容は理解していた。
「梅宮、おめでとう。合格だ。」
担任からそう告げられやっと一息つけた。
「入学当初からは信じられないくらい成績も伸ばして……。これも江井のおかげか?いい友人を持ったな。卒業後も大事にしろよ。」
そう言ってくれた。
大学に合格した。
ここをリミットとしていた。
俺は現実と向き合う。
恋人なのにお互いの進路も知らない。そんなの変だと思う。
この期間中、たくさん考えた。
でも、やっぱり俺は透君のことが大好きだ。
透君が海外に行くなら応援したい。地元から離れるにしろ、海外に行くにしろ、バイトを初めてお金を貯めて会いに行くし、俺ができる努力はしたい。
俺なんかに応援されてもウザイかもしれないけど受験の応援だってしたいし、できる限り最低限のサポートがしたい。
今度はちゃんと俺から行動する。
邪魔が入っても諦めない。
透君と離れたくないから。
