月城くんの偏食事情。

ツ───…


月城くんに迫られたその瞬間、
俺の鼻から、1本の赤い筋が…


月「あっ、こーくん!また鼻血…!」

月城くんは、そう言うや否や


……ペロッ


俺の鼻血を、舐めた。

光「ビギャッ!!」

月「わっ!ごめん!つい!!」

月「……ああっ…!!」


月城くんが真っ赤な顔で、悲鳴にも似た声を漏らす。

光「ど、どうしたの!?大丈夫??」

月「……いや、大丈夫じゃない……」

月「……死ぬかと思った….…」


光「えっ!」


月「………美味しすぎてッ…!!!」


月城くんは理性の消えた瞳でギラリと牙を覗かせると、そのまま俺の首元へ食らいつこうとする。

わ!ヤバい…!動けない…!!!


──その時


「しーちゃん!やめて!!!」


緋美くんが勢いよく俺にぶつかってきて、
俺は「ガタン!」と椅子から転げ落ちた。


…イテテ…!助かった….!

でも止めるならあっちだろ.…!


月「あっ!こーくん!大丈夫?!」

月「こらっ、緋美!こーくんに何てことするんだよ!!」


いやいや!あなたもよ?!


月「こーくん、本当にごめんね。こーくんの血、予想以上に美味しくて、理性がふっ飛んじゃった…。」

月「一滴でこんな…はぁ…君ってやっぱり…凄い……堪んないや……!」


頬を染め、うっとりと俺を見つめる月城くん。

血の話だってわかっているのに、その視線を向けられるだけで鼓動がうるさいくらい高鳴る。

「ピュアッピュアな童貞であればあるほど好み」なんて話を聞いた後にこんな感想聞いても、喜んでいいのか複雑なんだけど…。


月「今君の血をまともに飲んだら僕もどうなるかわからないから、今日は辞めておくよ。」


なんでそっちが主導権握ってんのさ…。


月「でも今鼻から出てる分は勿体無いから、舐めていい?もう、心の準備できてるから。理性保てるから!」

光「ええっ!でもまあ、噛みつかれるよりは…」

月「やったぁ!ありがとうこーくん♡」

あーもう、その顔!反則だろ…。

緋美「けっ。」


月城くんは俺を再び椅子に腰掛けさせると、向かい合うように、俺の膝に跨った。
華奢な月城くんは、綿のように軽く、殆ど重さを感じさせない。

そのまま俺の顔をひんやりとした両手で包み込み、
潤んだ瞳で鼻先についた血を見つめ、

「いただきます…」

小声でそう言いながら、そっと目を閉じ、ピンク色の舌をゆっくりと伸ばした。

鼻周辺に優しくその舌を這わせ、

「ジュルッ…!」

っと音を立て、吸い上げる。

鼻血の量に見合わない音が、熱い吐息と共に、何度も耳元で聞こえてくる…。


ジュルッ……ハァッ。

……ジュルッ。

んっ……ハァッ……!


…舐められる度に、頭が真っ白になっていく。

体の奥がじんわり熱くて、力が入らない。


……なんだこれ。

……いや、鼻だよな?

なのに、なんで……。

どうしよう……これって……。


月「…ハッ…美味しい……。こーくん、大丈夫?」

月「……歯、あたってない……?」


!!!!!!!


光「おーーーーーい!!」

月「…えっ?」

光「…ッ!ぉかしいだろぉ……」

光「…あの、ごめん…。お、降りて……。」


俺は膝の上からそっと月城くんを下ろし、


光「タイム…トイレ……貸して…。」

月「どぞ。あっち。」


なんだあの舐め方…。ピュアッピュア男子になんてことしてくれてんだよ…。


俺は冷静さを取り戻すためにトイレに走った。