月城くんの偏食事情。

ツ───…


月城くんに迫られたその瞬間、
俺の鼻から、1本の赤い筋が…。


「あっ、こーくん!また鼻血…!」

月城くんは、そう言うや否や

……ペロッ

俺の鼻血を、
舐めた。


「ビギャッ!!」

「わっ!ごめん!つい!!」

「……ああっ…!!」

月城くんが真っ赤な顔で、悲鳴にも似た声を漏らす。

「ど、どうしたの!?大丈夫??」

「……いや、大丈夫じゃない……」

「……死ぬかと思った….…」

「えっ!」

「………美味しすぎてッ…!!!」

月城くんは理性の消えた瞳でギラリと牙を覗かせると、そのまま俺の首元へ食らいつこうとする。

わ!ヤバい…!動けない…!!!


──その時


「しーちゃん!やめて!!!」

緋美くんが勢いよく俺にぶつかってきて、
俺は「ガタン!」と椅子から転げ落ちた。

…イテテ…!助かった….!
でも止めるならあっちだろ.…!!!

「あっ!こーくん!大丈夫?!」

「こらっ、緋美!こーくんに何てことするんだよ!!」


いやいや!どの口が!?


「こーくん、本当にごめんね。こーくんの血、予想以上に美味しくて、理性がふっ飛んじゃった…。」

「一滴でこんな…はぁ…君ってやっぱり…凄い……堪んないや……!」

頬を染め、うっとりと俺を見つめる月城くん。
血の話だってわかっているのに、その視線を向けられるだけで鼓動がうるさいくらい高鳴る。

「ピュアッピュアな童貞であればあるほど好み」なんて話を聞いた後にこんな感想聞いても、喜んでいいのか複雑なんだけど…。

「今君の血をまともに飲んだら僕もどうなるかわからないから、今日は辞めておくよ。」

なんでそっちが主導権握ってんのさ…。

「でも今鼻から出てる分は勿体無いから、舐めていい?もう、心の準備できてるから。理性保てるから!」

「ええっ!でもまあ、噛みつかれるよりは…」

「やったぁ!ありがとうこーくん♡」

あーもう、その顔!反則だろ…。

「けっ!」

不満そうな緋美くんを他所に、月城くんは俺を再び俺の膝に跨った。
華奢な月城くんは、まるで真綿か、たんぽぽの綿毛のようだ。
重さなんて殆ど感じない。

そのまま俺の顔をひんやりとした両手で包み込み、潤んだ瞳で鼻先についた血を見つめ、

「いただきます…」

小声でそう言いながら、そっと目を閉じ、ピンク色の舌をゆっくりと伸ばした。

鼻周辺に優しくその舌を這わせ、

「ジュルッ…!」

音を立て、吸い上げる。

「ジュルッ…!はぁッ……!」

鼻血の量に見合わない音が、熱い吐息と共に、何度も耳元で聞こえてくる…。


「ジュルッ……ハァッ。

 ……ジュルッ。

 んっ……ハァッ……!」


…舐められる度に、頭が真っ白になっていく。

体の奥がじんわり熱くて、力が入らない。

……なんだこれ。

……吸ってるの……鼻だよな?

なのに、なんで……。

どうしよう……これって……。


「…ハッ…美味しい……。こーくん、大丈夫?」

「……歯、あたってない……?」


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「おーーーーーい!!」

「…えっ?」

「…ッ!ぉかしいだろぉ……」

「…あの、ごめんなさい…。お、降りて……。」


俺は膝の上からそっと月城くんを下ろし、


「タイム…トイレ……貸して…。」

「どぞ。あっち。」


冷静さを取り戻すためにトイレに走った。


なんだあの舐め方…。

ピュアッピュア男子になんてことしてくれてんだよ…!!!!!