月城くんの偏食事情。

自己紹介すらしてくれなかった。
初めて声を掛けた、あの日。

それどころか
暗に俺を「苦手」と一蹴した。
いや 跳ねつけた気も無かったんだろう。
君の瞳は俺を映してさえいなかった。

ボンヤリと窓を眺めていても
心ではきっと 弟の血のことでも
考えていたんだろうな。


──血以外に無関心だったあの『月城くん』が今、熱を帯びた瞳で俺を見つめながら、大きく股を広げ、小さなピンク色の蕾をヒクつかせているなんて──


「…こーくん、できそう?」

「あっ、ごめん。見惚れちゃって!」

「この格好恥ずかしいなぁ…。」

「そうだよね、ポーズの刺激が強くて、見てるだけで、俺も…ヤバい…。」

「四つん這いに…いや、もっとダメだ…。」

「目隠ししようか。」

「えっ、僕に?」

「ううん、俺が…。」

俺は静夢の私服の黒いリボンを借りて、目元を隠し、後頭部でギュッと縛った。

そして手探りで静夢の膝から、太腿、鼠蹊部へと滑らせた手は、しっとりと柔らかな双丘(いんのう)を掠め、小さな蕾へと、辿り着いた。

「あっ……!」

少し触れただけで、まるで意思を持っているかのように、その蕾が ぴく、ぴく と動くのが、指に伝わった。

「静夢、ローション、手に垂らして。」

何時こうなってもいいように、ローションとゴムを鞄に入れておいて良かった。その鞄を抱えて御両親に会ったことを思うと、我ながら変態野郎だけど…。


「……ちょっと押すね。痛かったらすぐ言って。」

「うん…。」

ローションをこれでもかと纏わせた指を、静夢の蕾に押しあて、ひだを優しくなぞった。蕾はヒクヒクと反応してはいるものの、静夢は無言で、表情もわからない。
しばらく周辺のプリーツを揉みほぐした後、その中心につぷりと、指の先を挿し込んだ。

「きゃ!」

侵入した初めての異物に驚いたのか、静夢から聞いたことの無いほど高い声が漏れ、ギュウッと指を締めた。
俺の人差し指は文字通り、抜き差しならない状況になってしまった。

「静夢、力抜いて、息吐いて。」

ふうっと静夢が息を吐くと、人差し指は解放された。ここに挿れたら俺の局部は千切れるな…。リラックスしてもらわないと…。

俺は右手で蕾をほぐしながら、左手で静夢の内股を摩った。「んん…」という声と共に蕾が緩む。効果は有りそうだ。

二本…ついには、静夢の念願?だった、三本の指が、その蕾に咥えられた。

「静夢…指三本入ってるよ、大丈夫?痛くない?」

「ぅぅ…。」

「静夢?」

えっ、痛過ぎてヤバいことなってない?!

慌てて目隠しを外すと、静夢はきつく目蓋を閉じ、声を堪えるように口を塞いでいた。全身が、あらゆる穴から溢れ出た液でぐっしょりと濡れている。許容量を超えた快楽が、静夢の内側から決壊して溢れ出したかのようだった。

「…静夢、涙と汗凄い…下も…液滴り出てる。中、気持ちいの?」

俺が目隠しを取ったことに気づいた静夢は、カッと顔を紅潮させ、切なそうに眉をひそめ、ふるふると首を横に振った。

「へ…変な感じ…。体の中…触られてるみたいな…」

「体の中触ってるんだよ。」

「怖い…でも…頭ボーッとする…変になっちゃいそう……」

「それ、気持ち良いんだと思うよ?」

「ああ…どうしよう、静夢、今、物凄く静夢が好きだよ。いや、前からずっと好きなんだけど、なんだろう。好き過ぎて、静夢の中、入りたい。」

「気持ち伝え合えたからかな。体も、一緒になりたい。」

「静夢……入ってもいい?」

静夢は口を塞いだまま、こくこくと頭を上下に振った。

いかにも童貞らしい、仕様の無い拘りだけれど、人生初のコンドームは、絶対に口で開けると決めていた。

格好良くピリッ!と破って、くるっ!と装着するつもりだった。…なのに、ローションで手が滑るせいか、刺身についてくる小袋の醤油くらい開けられなくて……結局背中を丸め両手でちまちまと、やっとのことで袋を開けた。
取り出した中身を鬼頭に乗せ、下げようとしても手が震え、イメージ通りにくるくると降りてこない。

……何度もチャレンジしてやっと装着が完了した。
その間に静夢は少し冷静になっていて、「手慣れてなくて安心した」と笑われた。


童貞の俺自身よ──。

どうだ。憧れだった つやつやの、ゴムで出来た薄いヴェールの着心地は。

お前がピュアッピュアの童貞だったから、こうやって静夢と結ばれる日がきたんだ。

感慨深いよな。
写真撮ってやろうか?

いや、さすがにバカだし、
これ以上夫を待たせてはいけない。


ありがとう、さようなら、童貞の俺……!