月城くんの偏食事情。

──翌朝


ドタドタドタ……

ガチャ!

「こーにぃ、しーちゃん、朝だよ〜!起きて!」

勢いよくドアの開く音と、風の溌剌とした声で目を覚ました瞬間、「終わった」と思ったけれど、上半身は普通にパジャマだったと思い出し、心底安堵した。

「おはよう、風。着替えたらすぐいくよ。リビングで待ってて。」

「はーい!あとでね!」

ドタドタドタ…


「静夢、おはよう。起きようか。」

「……。」

「静夢?」

「……。」


『…静夢の寝顔、可愛いなぁ。』

『…抱きしめて、髪にスリスリしちゃおうかな。』

唇の僅かな隙間から、目を閉じたままの静夢が、腹話術のように呟いた。

「ふふっ…!それ、俺の心の声?」

その声に従って静夢の背中に腕を回し、サラサラの銀髪に頬擦りすると、静夢はほのかに上気した顔を隠すように、俺の胸元へ顔を埋めた。

「…そうして欲しい、って言えばいいのに。」

「違う。こーくんが自発的にするのがいいの。」

「僕が寝てる時にこっそり。」

「静夢起きてるし、催促に聞こえたけど?」

「だってあの時、こっそり触ってくれて嬉しかったんだもん。」

「起きてたら僕に触るの嫌がるのに…。」

「い、嫌がってないよ、反応が可愛すぎて心臓もたないだけ!」

「こーくん、僕の全ては君のものなんだよ?」

「遠慮しないで、どこでも触って、ね…?」

「…う、うん、わかったよ。」


朝から可愛いな、おい!!

どこでもって…
そういえば、お尻……

──昨夜の出来事が脳裏に蘇る。

静夢は自分のお尻の穴を『性器だ』と声高に豪語して、そこに挿れるためにと俺のを舐めて……俺がエラー?を起こして終わったけれど、また近いうちに迫られるに違いない。

『挿れられる準備をする』という肛門のアイデンティティを覆すほどの高いハードルがあったからこそ、静夢に待ってもらえていたけれど、挿れるだけならフィジカル的にはもう、太古の昔から準備万端だ。

問題は、俺の脆弱な童貞メンタルだけ……。

こんな王侯貴族の晩餐みたいな御馳走を、いやむしろ貴族自体を据え膳されて……倒れたり死んだりしたら、絶対に貴族を悲しませるよな……。


「こーくん…!ふふっ!」

「えっ、何??」

「なんか深刻な顔してるなぁと思って顔見てたら、硬いのが僕のお腹をグイグイ押してきたから…。」

「こーくんって真面目な顔してエッチなこと考る人なんだね!」

「い、いや!!これは…!」

「僕は全然、今から入れてもらってもいいんだけどぉ…」

「みんな待ってるし、今日はおあずけだね。さあ、服着てリビングに行こう!」

ムッツリだと思われた!?
強ち間違ってないのが悲しいな!!

はぁ…。どうやったらメンタルって鍛えられるんだろう…。