月城くんの偏食事情。

光「ちょちょちょ…っと待って、それってもしかして…」


月「こーくん、本当に引かないでね。」

そう言って月城くんは、ポケットから血のついたティッシュを取り出した。


月「これ、こーくんの。」


光「えっ!うそっ!もしかしてサッカーの時の鼻血!?」


月「うん…すんごい良い匂いがして、持ってきちゃった。」


光「ちょっ…とストップ、色々と整理させて。。。」

光「…月城くんがさ、緋美くんの血を飲んでるのは、なんで?緋美くんしか、飲ませてくれないから?」


月「えっと、実は血って買えるんだ。僕やお父様みたいな体質の人、全世界にいるらしくてね。」

月「昔は僕も、取り寄せた血を主食にしてたんだけど、生産者?によって、血の味も値段も、ピンキリなの。」


光「そんなに違うの??」


月「うん、全然違う!血を提供してくれた人の性別、体質や年齢なんかによって、大きく味が変わるから、ランクもあるんだ。」

月「健康な若者の血100%は高価だね。老若男女のブレンド血液は安いけど、正直僕には合わない。」


光「ワインみたいなもんかな…父さんがそんなことを言ってたような…」


月「そうだね、ボジョレヌーボー、知ってるでしょ。解禁解禁って、毎年大人が騒ぐじゃない?血液市場は特に、新鮮な方が人気で、その中でも圧倒的に人気の品種があるんだけど…」


光「どんな品種?」


月城くんは俺に耳にソッと唇を近づけて、


月「……若い女の子の血。」


小声で囁いた。


光「えっ…それって…!」


吸血鬼が好むやつ………!!!


と思ったけど…また笑われそうだから、俺はグッと言葉を飲み込んだ。


月「実は僕も一度、飲んだことあって……。
あー、恥ずかしいな…でも、一番人気って、飲んでみたくなるじゃない?でもね、正直僕には合わなかった。」

月「一番人気の高級血液が不味いって知った時、なんだか悲しくなっちゃて…」

月「落ち込んでたら緋美が、俺の血飲んでみる?って言ってくれて…。」

月「弟から直接血を飲むなんて、倫理的にどうなの?って思ったんだけど、飲んでみたら、エッ何これ今までで一番美味しい…!ってハマっちゃってさ、あはははっ!」


月城くんの照れどころも、倫理観も、笑いのツボも全くわからなかったけど、
市販の血?より、緋美くんの血が美味しかったことだけはわかった。


光「……それからは、緋美くんの血をずっと飲んでるんだ。」


月「そう、でも今日、緋美の血より美味しそうな血に出会ったってワケ。」


光「つまりそれがその……俺の血、だと……。」


月「はい!御名答です♡」


月城くんは色白の肌をほんのりピンクに染め、照れ隠しをするようにおどけて両手の親指を立てた。


やっぱり照れどころはわからない…


月城くんのその笑顔の奥で、尖った牙が、きらりと光っている。


え……?
あれで俺、血、吸われちゃうの……?