月城くんの偏食事情。

「引き分けなんで!血を飲ませるだけにしてくださいよ!!」

ギャーギャー煩い緋美に『はいはい!』と返事をして、俺たちは静夢の部屋へ向かった。

扉を閉めるなり、静夢は俺の背中に甘えるように身を寄せ、そのまま腰に腕を回してきた。

ええー!こんな甘え方初めてじゃない?!
どうしたらいいのか本当にわからない!!

「こーくん…。」

「…大好き…♡」

でぃえええええええええ!!!
可愛い!死にそう!!!

「し、静夢…!」
「ううっ…俺も…」

俺はくるりと振り返り、
そのまま静夢を腕の中に抱き込んだ。

「…お風呂で見せたあれ…ごめんね、嫌じゃなかった?」

「ビックリしたけど、嬉しかった。ああすればこーくんと繋がれるって知れて。それで、こーくんと同じものが食べられるようになるなんて…」

「楽しみでしかないよ!」

「ねえ、血を飲んだら、繋がってみたい。」

ちょっ…と待ってええええええ!!!
なんでそんなにハードル低いの?!

「静夢!!そんな簡単には…」

「ダメなの?」

「ダ、ダメとかじゃなくて」

「色々と、準備も必要だし…。」

「それに、静夢の、硬くなったことないんでしょ?」

「うん、ない。」

「でも、こーくんの、すぐなってたよね?僕のもああすれば、なるんじゃないの?」

「こーくんに手伝ってもらえば…。」

「手伝うって…!静夢のを、触ることになるんだよ!?」

「うん、いいよ。」

「えっ!」

「……!」

「あっ!」

「どうしたの??」

「想像だけで失神しかけた…!」

「ええ?!」

「静夢、早くピクニックしたい気持ちはわかるけど、その前に俺が死んだら意味ないから…。」

「えっ、それはヤダ!」

「とりあえず、先にお腹を満たそう。今俺、血圧めちゃくちゃ高そうだから、ゆっくり飲んでね。」

「こーくん♡ありがとう!」

俺がベッドの端に腰掛けると、静夢はぴょんと俺の膝に飛び乗ってきた。

相変わらず、羽根のような軽さだ。
付き合う前と違うのは、距離の近さ。
静夢は抱きつくように体を密着させて、熱を帯びた瞳で俺を見上げていた。

これだけでも血が一点集中しそう……

静夢の手は、いつだって冷たい。
風呂上がりでも、その冷たさだけは変わらない。
ひんやりとした掌に頬を包まれるたび、胸の奥がそわそわと、落ち着かなくなる。
期待しているのか、不安なのか、自分でもよくわからない。

静夢の温かい舌が首筋をゆっくり這うと、
胸の高鳴りは、もう抑えられなくなる。

もっと混じり合いたいと思ってしまう。
血も、熱も、何もかも。
静夢になら、俺の全部を飲み干されてもいい…!

「こーくん、いただきます…。」

カプ……

「ジュルッ……ハァッ。……ジュルッ。

 んっ……ハァッ……!ジュッ…!

 おいし……ジュッ……!

 フゥッ…ジュルッ…!ジュルッ…!」

あー…夢中になってて可愛い……
でも段々気が遠くなって……
えっ、本当に全部飲み干して…る……?


「…静夢!ストップ!!」

「死ぬ死ぬ!」

「ごめんごめん、あはっ!」


「…あっ、こーくん!」

「どうした?」

「……あたってる。」

「え!」

「硬いの………。」

「えっ、あっ…!」

しまった!今日、距離が近かったから!!

「うわっ!ごめん!!!」

「どうして謝るの?」

「怖がらせちゃったかと思って…。」

「怖くないよ、格好良い!」

「触らなくても硬くできるの?手品みたい!ふふっ!」

「静夢のは…なってないよね?」

「食事中に硬くなる人はいないんじゃない?」

「そっか。俺は食事側のくせに、静夢の声で、なっちゃったけど…。」

「こうしたら静夢も、なるかな…。」


俺はきょとんと目を丸くしていた静夢に、

ゆっくりと唇を重ねた。