月城くんの偏食事情。

…実際、静夢の知識ってどの程度なんだろ?

『童貞』って言葉は知ってたし、『童貞』がどういう意味かも、さすがにわかってるよな?

『性に貪欲なのに、誰とも交わったことのないピュアッピュア男子の血が好み』とも言ってたぞ。


……つまり、言葉の意味は知ってるけど、静夢には性欲が無いってこと?

いや、あれだけ艶かしい顔で血を飲んでるのに、性欲がないなんてことは……。

まさか…!男には性欲が湧かないとか…??


───もしかして

俺は、そういう対象じゃないのかも──



「お昼はね〜、ベーコンとレタスでサンドイッチを作ろうと思ってるよ!」

「こーくんサンドイッチ、好き?」


「……………。」


「……こーくん?」


「えっ!あっ!ごめん、ボーッとしてて…!何かな??」


「お昼、BLサンドイッチにしようと思ってるの!」

「好き?」

「えっ!お昼にBLサンドイッチするって?!」

「うん!」

「ちょっ…いきなりあんなハードなやつ、静夢はできるの??」

「全然ハードじゃないでしょ、はさむだけだし。僕でもできるよ〜!」

「そんな軽いノリで?!Bだけでいいの?Gなしでいいの?」

「Gってなに?BとLだけだよ。」

「Lはもちろんだけど、BでBをはさむんだよね?」

「えっ?パンとパンではさむよ。」

「パンパン?!」

「BLだけだと物足りないと思ってる?マヨネーズたっぷりならいけるはず!」


マヨネーズって何?隠語?
なんかわかんないけど、いやらしい!
えっ、なんでこんな急にエッチなお兄さんになったの?
静夢は最初から、3人でしたかったのか??


助けて緋美……!!!


慌てて緋美に目を向けると、片手で口を塞ぎ、必死に笑いを堪えるように、肩を震わせていた。


「クッ…先輩……昼飯の話っすよ…!しーちゃんが、ベーコンとレタスで、サンドイッチを作ってくれるって…言ってまふ…!ブファ!!」


「あーーーーー!そういう話か!!ビックリした!!!」


緋美が変な提案するから、思考が完全に変な方向に行っちゃってた!!あぶな!


「なんなの〜!ずっとそう言ってるんだけど〜!なんで通訳が要るの!」
「なんで緋美が言わないとわかんないのっ!」


あ、ちょっと妬いてる?
フリルエプロンで頬を膨らませてるの超可愛い…!

「まあまあ、みんなで仲良く、しようよ♪」


…こいつ!ムカつく!!


「静夢、ごめんごめん。ちょっと勘違いしてたみたいで…。」
「サンドイッチ食べたら、静夢にも飲ませてあげるからね、俺の…血を…。」

なんかこんなこと言うの恥ずかしいな…。


「やった!こーくんありがとう!楽しみ♡」


一瞬で機嫌直った!
本当に静夢は、食欲はわかりやすいんだけどなぁ〜。

「しーちゃん、俺のでも良いよ!!」

「緋美もありがとう、でも早く太陽に強くなりたいから、こーくんいるときはなるべく、こーくんの飲ませてもらうね!」

「付き合って初めてのこーくんの血…楽しみ♡」

静夢はキラキラと瞳を輝かせ、嬉しそうに口元を緩め、期待に弾む心を落ち着かせるように、胸の前で両手をきゅっと握り合わせた。

緋美は残念そうに唇を尖らせている。

でもたぶん、これはパフォーマンスだ。

俺の血を飲んで、静夢が太陽に強くなってきてからが、自分の出番だと思ってるはず……。

その前に、静夢の知識や意志を確認して、
味覚獲得方法の真実、伝えなきゃな。


単純に目を合わせるだけじゃダメだって…。


男となんて無理だって言われたら、
俺は、振られる可能性もあるのかな……。