月城くんの偏食事情。

俺、言った?

言ったよね?「恋人になりたい」って…

緋美とお母さんまでいるのに!!


…でもこれは間違いなく、俺の本音だ。

静夢を太陽の下に連れ出すのは、
俺じゃなきゃ嫌だって、
ハッキリ思ったんだ…。


月「………本気で思ってる?」

月「煽られて言っちゃったんじゃない?」

緋「下心でしょ?!下心っすよね!」

光「いや、俺は……」

静夢はテーブルに肘をつき、真っ赤になった顔を隠すように俯いて頭を抱えていた。
それでもその細い腕の隙間から、不安と期待が入り混じった瞳で俺を見つめている。

もう自分の気持ちを誤魔化せないし、
どう思われたって、言うしかない!

俺は片手で顔を覆い、大きく深呼吸をすると、勢いよく立ち上がった。


ガタッ……!


光「俺は!!静夢が!!」

光「大好きだ!!!!!」

光「俺が日向に連れて行く!!!」


やばい血圧が…200超えそう…!
鎮まれ俺の心臓…!!


俺の言葉に、静夢は大きな瞳を潤ませた。


月「……こーくん……!」

月「ありがとう、僕も……大好きだよ…!!」

月「もちろん、恋愛感情の好き!」


その言葉を聞いた途端、張り詰めていたものが切れたように、俺の目から涙が溢れ出した。


月「…やっと言ってくれたね、ふふっ!」

そう笑う静夢の瞳からも、大粒の涙がこぼれ落ちた。


緋「しーちゃん…グスッ…グスッ……。」

緋「超絶悔しいけど……俺はしーちゃんに太陽を見せることはできないから……クソッ…でも、血は飲んでね……」

月「緋美〜もちろんだよ、緋美はずっと僕の可愛い弟なんだから、これからも変わらず側にいるよ!」

緋「弟……しーちゃぁん…グスッ……」


母「…良かったわね、静夢…。」

母「特殊な体質で大変なこともあるでしょうけれど、あなたたちは自分の心に蓋をせず、昼と夜の垣根を超えていってほしい。そう願っているわ。」

月「お母様…ありがとう……。」

月「僕たち、今両思いだってわかったから、これからこーくんに協力してもらえば、太陽にも強くなって、食事の味もわかるようになるんだよね?」

母「そ、そうね…。」

母「あの…味覚の獲得方法は……読んだのかしら?」

月「うん、僕は読んだよ!」

月「えーっと、お付き合いしてる相手と何度も目を合わせれば、味がわかるようになる、みたいなこと書いてた。」

月「そうでしょ?」

静夢はスマホを取り出し、保存していた古文書の画像を表示して、みんなに回した。

そこには、

『その者と目合ひ重ねれば、舌に新たなる味を得る』

と、書かれていた。

目合ひ重ねる?……目合いって……

『まぐわい』じゃないの?!?!


お母さんは、頬を染めて気まずそうにしているし、
緋美は瞳孔が開いたまま固まっている。


光「しっ、静夢……!」

月「うん?」

光「…チャッピーに聞かなかったの?」

月「いや?聞いたよ。『目合ひ重ねる』って、目をたくさん合わせることかな?って。」

光「そ、そしたら…?」

月「『静夢っ!目合ひは『まぐわい』って読むんだけど、そ、そうだね、目線をたくさん合わせることだと思うよ。うんうん、多分……。』って。」

月「なんか曖昧だったけど、チャッピーも古文書は独特過ぎて難しかったのかな?」


そんな曖昧なAIいる?!
静夢のチャッピー、えらくお子様仕様じゃない??
なんか設定いじってない?

緋美に目を向けると、
片手で口を押さえ、斜め下に視線を逸らしていた。


こいつだ……!


月「だからこーくん、これからもっともっと僕のこと好きになって、血を飲ませてね。」

月「そしてたーくさん、目合い?しようね♡」



あああああああああ!!!!!!