月城くんの偏食事情。

光「うーん俺は、2人みたいな面白い黒歴史は無いなあ〜。」

光「とにかくモテなくて、ご存じの通りの童貞拗らせ野郎だよ…。過去の黒歴史っていうより、黒歴史を日々アップデート中……。」

緋「…先輩って、もちろん俺は1ミリもタイプじゃないっすけど、そこそこ顔良いし、何でモテないんすかね?」

光「俺が聞きたいよ……。昔から女子とちょっと仲良くなれたと思ってもさ、『あの子嫌がってるよ』とか、『エロい目で見てきてキモいって言ってたよ』って、他の女子に教えてもらうことが多くて……。

光「……え、全然気付かなかったってなって、俺の方から離れて……ずっとその繰り返し。
俺、恋愛に向いてないのかもね。」

緋「えっ、先輩それって……」

月「あー!そっかそっか!こーくん、どんまい!こーくんは女心がわからないのかもしれないけど、僕はこーくんのこと、ステキな男の子だと思ってるよ!」

緋美の話を遮るように、静夢が慰めの言葉をかけてくれた。

光「…静夢、ありがとう。
ところで緋美は、モテるけど純潔守るために告白全部断ってるんでしょ?静夢はどうなの?」

月「僕〜?僕は、全く知らない子に突然告白されることが多いかなぁ。でも興味が無いから全部断ってる。自分から告白したことはないね。」

光「じゃあ今好きな人はいないの?」

月「こーくんと緋美は大好きだよ♡」

光「いや、その好きじゃなくて……恋愛的なやつ……」


うわっ、俺、なんかしつこくない?
何を聞こうとしてる?


月「うーん……恋愛的な好きって、どんな感じなんだろ。」

月「美味しそうな血を見てドキドキするのと、恋愛のドキドキは、違うのかな。なんかそこの境目が僕には難しくて……。」

光「たとえば、自分のために怖さを我慢してる健気な相手の顔を見て、キスしてしまうのは?
女の子に嫉妬して、胸が痛くなるのは……?
……恋愛感情ではないの?」


──俺、何を言わそうとしてる…?


月「ふっ……えぇ?」

静夢は頬をポッとピンク色に染め、照れたように小さく笑い、戸惑ったような顔で俺を見上げた。

緋「そんなの!女子と何かあって血が不味くなったら困るでしょ!」

緋「キスは感謝とリスペクトっすよ!食料が怯えてたら、誰でもキスしてやりたくなるじゃないですか!!」

光「誰でもって、そんなシチュエーション、誰にでもないだろ?!」

月「……もしそうだったら?」

光「えっ?」

月「あのキスが、あの胸の痛みが……
  恋愛感情からだったら?」

月「……君は、どうするの?」


光「えっ、お、俺は……」

心臓が破裂しそうなほど高鳴っている。
何と答えればいいんだろう…

俺の静夢に対する感情こそ、なんなんだ。
情欲…嫉妬……
いや、この感情は……


緋「あーーーーー!!眠いなぁーーーッ!!もう限界だぁーーー!!寝よう!!ネッ!この話はまた今度ねっ!!おやすみなさいませ!!」

緋美に強制終了されて、俺たちはとりあえず眠ることにした。


静夢にあんなことを聞いておいて、自分の気持ちがわからないなんて、情けないな…
勘違いして傷付いてきたから、俺も恋愛感情が何なのか、わからなくなってる…

でも静夢は、食料としてだけじゃなくて、俺自身のことを見てくれてるって言ってた。

俺も静夢に対して、下心や嫉妬だけじゃない感情が、確かにある。

だけど、それを態度や言葉にしたら、
静夢の側にいられなくなりそうで……


怖いな……。