月城くんの偏食事情。

「俺、王様だ!」

俺にもチャンスが巡ってきた。

1と2だけで何かさせる気は無い。
俺とどちらか一人が絡む命令にするから、二分の一で天国か地獄。
攻めた命令にして緋美を引いたら最悪だ……。


「──南無三…!」

「下僕2!!王様と恋人繋ぎして、目を見て名前呼んで大好きだよって囁く!」

「ふざけんなっすよ!!何が南無三っすか!煩悩まみれじゃないっすか!!」

「ちなみに俺、下僕2っすけど?!」

「何でお前なんだよ!」

「知らんっすよ!」

「まあまあ、それくらいは、ゲームだからやれば?」

「えーーーーっ!しーちゃぁん…。」

「……わかったよ…。」


俺と緋美は、互いの指を絡め繋いだ両手を、肩の高さまで持ち上げた。

これ恋人繋ぎ?取っ組み合いでは?


「…チッ!……光、大好きだよ……」

「…緋美……俺は大嫌いだよ…」

「そんな返しいらんすけど!?」

「お前こそ大好きって言いながら舌打ちするなよ!」


「はい終わり。次々。」

月城くんが間に入り俺たちを引き離した。


なっ!?やらせといてちょっと不機嫌になってない?!
王様になれないからって!


「はい!次引くよ!」
「やた⭐︎次は僕が王様〜♪」

…なんか細工したな?


「下僕1と下僕2が、静夢大好きだよ〜!って言いながら王様にハグ!」

「2人とも?!そんなのありなの?」

「ありです!」

「まず下僕1!どうぞ!」

「はい!」

「しーちゃん大好きだよ〜!!」

ギュッ…………!

「ははっ!こんな命令ご褒美でしかないな!」
「24時間でも出来る!」

「はいもう下僕1さんいいよ!ありがとう!美味しく育ってね!」


なんだよ美味しく育ってねって!
これ大好きメーター上げさせて、血の味上乗せ作戦じゃん!!


「下僕2、どうぞ!」

「はい…。」


ギュッ……。


「大好きだよ、静夢……。」

耳元でそう言うと、腕の中の月城くんがぴくっと小さく揺れた。

あ〜小柄で繊細で髪サラサラで、
可愛いなぁ……。

触れている体が、ほんのり熱を帯びていく。


「は、はい、ありがとぉ……。」

───

「……実はね、」

「あの古文書に、日光に強くなれる秘訣も、書いてあったの。」

「えっ、そうなんだ!」

「どうすれば??」

「個人差はあると思うんだけど…まずは血を吸われる人が、僕にいっぱい『情欲の念』を抱いてくれること。」

「ああ〜『だーい好きな気持ち』ね。うんうん。」

「ん?でもそれなら、緋美は静夢のことアホみたいに好きだから、もう昼間に海水浴できるくらい日光に強くなってなきゃおかしいよね?」

「アホって!まあ、間違ってはいないっすけど。」

「うん、だから、もう一つ条件があって…」

「それは今は言えないけど、」

「言えない?!」

「うん。でも……上手くいくような気がしてるんだ。」
「とりあえずこれからも、そのピュアさを忘れずに、美味しい血をよろしくお願いします!」


「言えない」ってなんなの??
超絶気になる!

でも、1人で古文書読ませてしまったのは俺たちだし、無理に聞けないな…。


「わかった。進捗は教えて下さいね?王様。」

「もちろんじゃ!」

「あははっ!もうゲームは終わりね!」
「2人とも、ありがとう。僕の体質改善のために…。」
「良い収穫もあったし、血も美味しかったし、宴もたけなわじゃが、お開きにするとしよう!」


王様のパーティーだったのに、
殿様の宴になってる!


まあ、月城くんが……、
静夢がご機嫌なら、何でもいいや。
二つ目の条件は気になるけど、見守っていこう。