月城くんの偏食事情。

「しーちゃん!」
「静夢!」

「ごめん!!」

俺たちは大御神に土下座して許しを乞うた。


「君たちさぁ……仲良過ぎない?」

「付き合ってるの?」

「僕を1人にして…あんなこと…。」

不機嫌そうにそう言う月城くんの目元は少し赤くなり、瞳は潤んでいる。


ええ…泣いてたのかな…。


「付き合ってるなんてとんでもない!! オレコイツキライ!」

「超絶仲悪いよ!貶めたい気持ちしかない!」

「静夢の笑顔が見たいって気持ちだけは同じだから、意気投合する時はあるんだけど、俺たちはライバルなんだよ。」

「そうそう、共感できる部分はあるけど、血の味を争うライバルだよ!」


「……2人とも、僕のこと好きなの?」

「好き好き!」

「じゃあ、証拠飲ませて。」


証拠?
飲ませる?


証拠って飲ませるもの?


「2人とも、部屋に入って。」

どういうことかわからないまま、俺達は月城くんの部屋に入った。


「…君たちがイチャついてる間、僕は古文書を読み進めていました。」

「情欲の念ってのはつまり、静夢のことがだーい好きって気持ちだよって、僕のチャッピーが教えてくれました。」


え〜…月城くんのチャッピー、かわい〜♡


「もし2人が付き合ってて、僕に言ってる“大好き”が嘘なら、血の味が落ちてるはず。」

「それに、2人で何かしてたなら……恋愛経験値が上がってたら…。」


「ないないない!」


「論より証拠!ってことで、パーティーをはじめます!」

「カンパーイ」

そう言って月城くんは、俺と緋美にグータッチをしてきた。

何このパリピ感!?
あ、さっきの宴会!洋風に変換されてちゃんと効いてたのか!!


「どっちからにしようかなぁ、う〜ん、じゃあ緋美から。OK?」

「はいっ!」


月城くんは緋美に跨って、首元を舐め始めた。


うわっ、これまた見ないといけないのはキツっ…!

俺は両手で顔を覆って俯いた。


「…もういくよ、いい?」

「うん、いいよ…きて、しーちゃん…。」

「いただきます…。」


あー緋美キモい…耳栓欲しい…。



プスっ…


「………んっ!」


ジュッ…ジュッ……。


「んんっ……!」


緋美、耐えてる!!
俺に喘ぎ声再現されたの、恥ずかしかったんだな!

「はい、ごちそうさま。」


早いな!
食事じゃなくて、証拠の味見だからか雑なのか。


目を開けると、緋美は恍惚とした表情をしていたけれど、あまりにあっさり終わったせいか、どこか名残惜しそうでもあった。


「次!こーくん!」

「あ、はい!」

「いいよね?」

「はい!」


…なんかキビキビしてるなぁ。

昼の活動も偏食もすべて諦め、
面倒くさいことは緋美に任せて、
ぼんやりと生きてきたであろう月城くん。

でも今は自分を知りたくて、変えたくて、必死で頑張っている。

そりゃ、血もあげたくなるよ……。


そうしみじみと考えている俺の膝に、
月城くんは跨ってきた。

「吸血の作法に決まりはないって、相談して決めていいものなんだって、書いてたんだ。」

「ただ、唾液に止血作用や、痛みを緩和する効果はあると思うから、首は舐めます。いい?」


「はい、仰せのままに…!」


月城くんは俺の首元を舐め、


「…いくよ…少し痛いかも、我慢してね…。」


あー!!そういうセリフは心臓口から出てきそうだからやめて欲しいー!
でも俺が勝手に変な感じに取ってるだけだから言いづらいーー!!


「は、はい…」


俺は目をギュッと目をつぶり、軽く唇を噛んだ。
噛まれる瞬間の緊張で、心臓が激しく鳴っている。

……なかなか噛んでこないから、薄めを開けて見てみると、

月城くんは、うっとりした顔で俺を見つめていた。

えっ!この怖がってる顔が好きなのか?!
Sなの?ドSなの月城くん??


「しーちゃん!早く噛んで!ダメだよ!絶対キスしないで!!!」

ヤジを飛ばす緋美を鬱陶しそうに一瞥し、

「はっ…」と小さく息を吐き、

月城くんは、俺の首元を噛んだ。