月城くんの偏食事情。

光「あ、この辺は日本語で書かれた文献もあるよ。」

光「これは何だろう、手書きみたいだけど…」

埃を手で払うと、そこには、

『月城家 血統及び食餌録』

と書かれていた。

光「あ!これ…それっぽい!!!」

月「血統と…しょくじ?えさ?」

光「食事と同じだけど、栄養補給的な意味の強い字らしい。グーグル調べ。」

月「へえ〜。」

ページを開くと、

『我らが祖は、遠くルーマニアの地より海を渡り、この国へ移り住んだ。』
『我らは夜を好み、陽光を避け、血を糧として暮らしてきた。』

月「わあ!僕のルーツだね!」

俺たちは続きを読み進めた。

『土地に馴染み、名を変え、暮らしを変えても、
夜に目覚め、血を求めるその特異な性質だけは、途絶えることなく受け継がれている。』

光「う〜ん、やっぱり、遺伝なんだね。」


光「あ、食餌のマナー的なことも書いてる。」

『血を得る際には供血者の同意を得ること。
傷口は清潔に保ち、必要以上の吸血を行わぬこと。』

光「あれえ、食材として体を丁寧に洗いましょうとか書いてないなぁ〜?」

緋「いやいやいや!清潔に保ちって書いてます!!なんか、他の文献には、もっと詳しく、洗い方とか!止血の方法とか!書いてたんす!間違いないっす!」

月「そうなの?まあいいや、とりあえず、続きを読もう。」

『血の味は供血者ごとに異なる。
年齢や体質、健康状態だけでなく、
その者が抱く感情によっても、大きく変化する。』

光「抱く感情?静夢は、ピュアッピュアで悶々としてる男の血が美味しく感じるんだよね。そういうことかな。」

『中でも、吸血者へ強き情欲の念を抱く者の血は、風味を著しく増す。』

月「情欲の念?」

緋「ちょっと……先輩いいすか」

光「なに?」

緋「ちょっと、廊下に…」

緋美は俺を廊下に連れ出した。


───────・・・


緋「やばいっす、『情欲』って、」

 「下心っすよ!!」

緋「このまま読み解いていったら、俺たちの下心、バレちゃいます!!!」

光「はぁ?!俺に下心なんて…!」

緋「無いですか?」

ないよ!!と言いたかったけど、

ある………

光「つーかあんな可愛い子に、邪念ゼロで接すること出来る男がいるわけないだろ!!」

緋「しーちゃんが気付く前に、古文書読み解くのは中止にしましょう。」

緋「…それと俺、ずっと考えてたんすけど…」

光「なに?」

緋「しーちゃんのキスの相手、先輩っすよね?」

光「えっ!!いやっ…」

緋「少なくとも俺の監視下で、しーちゃんが誰かとキスするような隙は与えてません。」

緋「合宿中しかあり得ない。だとしたら…。」

光「だとしても!向こうからしてきたんだよ?!俺は奪われた側だからね?!」

緋「…だったら俺も、奪います…。」

光「えっ!静夢に無理矢理キスすんの?!」

緋「違います!」

緋「先輩の……童貞……。」

光「はぁっ?!」

緋「童貞じゃなくなれば、確実に味は落ちるはず…」

緋「そしたら俺がNo. 1に返り咲く!」

光「待て待て!お前はどうなるの??お前も血が不味くなるんじゃないの??」

緋「俺は処女捨てるだけなんで!童貞のままなんで!」

光「えっ、そーゆーもんかな??」

緋「兄弟だし、俺にも情欲持てるでしょ。」

緋「俺のお尻結構、綺麗なんで…」

緋「見ますか……」

緋美はカチャカチャとベルトを外しはじめた。

光「わーーー!!!馬鹿馬鹿!見たくないって!!」

光「いくらなんでも、捨身過ぎるだろ!」

もちろん応える気は無いし、本気の顔で迫られて怖かったけれど、緋美のあまりに突飛な行動に、俺はむしろ笑いが込み上げてきた。

光「見ないって!っはは!」

緋「見たら気に入りますって、しーちゃんが磨いてくれたお尻ですし!」

光「もう、やめて!腹が痛い!」




月「……ねえ…何してるの?」