月城くんの偏食事情。

光「血も飲めたし、少しは眠れるんじゃない?
  部屋に戻ろう。」

月「はーい!こーくんと一緒に寝る!」

光「一緒に?!」

光「眠れるかな…」

月「眠れなくても、寝たい。」

月「僕、帰ったら自分のこと、ちゃんと調べてみようと思う。」

月「子どもの頃から、周りの子達と同じようにできないことが多過ぎて、考えるのも面倒くさくなっちゃってたけど…困ったら緋美が助けてくれるし。」

助ける?欲望押しつけてるだけだが?

月「もっと一緒に過ごせる方法見つけたい。」

月「君と……」

月「うわ!森の中、真っ暗だね。何も見えないや。こーくん、どこ〜」

光「ここだよ、すぐ後ろにいるよ。」

月「うそ〜見えないよぉ」

月「危ないから、手繋いで!」

光「えっ」

光「うん…」

俺はそっと月城くんの手を握った。
細くてヒンヤリとした指に、俺の体温が移っていく。
胸の高鳴る音まで伝わってしまいそうで、
余計に心臓がうるさく鳴った。

月城くんの家に向かう道も似たような森だし、
月城くんは夜目が効くことも知っている。

それでも俺たちは

森を抜け、月に照らされても

手を繋いだまま

歩いた。



宿舎に着く頃には、空が白んできていた。


光「起床時間6時だから、あんまり時間ないけど、少しでも寝ないと」

月「うん!今なら眠れそう♪寝よう寝よう!」

月城くんは当たり前のように俺の布団に入って来た。

光「ちょっと!寝れないって!」

月「大丈夫大丈夫」

月「お腹いっぱいだから、すぐ寝れるよ!」

光「そっちはそうかもだけど…」

月「抱き枕にしてくれていいから♪」

光「お腹空いたら噛みついてくる抱き枕でしょ!やだよ!」

月「ふふ!こーくん面白い!」

月「じゃ、僕がこーくんを抱き枕にする♡」

月城くんは俺の胸元に顔を埋めるように、ギュッと抱きついてきた。

月「…こーくん、すっごくドキドキしてるね。」

光「そ、そりゃ、心臓に耳くっつけてたら、音もよく聞こえるよ…。」

月「なんかこの音、落ち着くなぁ…」

スゥ……

月城くんはそのまますぐに寝てしまった。

月城くんの体温が心地よく、俺もいつの間にか寝落ちしていた。

アラームをかけていなかったので、俺たちは盛大に寝坊した。

起こしに来たクラスメイトに、一つの布団で抱き合って寝ているところを見られてしまい、
「将軍と嫁が一つになっていた!」とまた変な噂が広まった。

他のクラスにも広まったせいか、その後手紙をくれた吉田さんが話しかけてくることは無かった。

2日目の活動もなんとか黒マントで乗り切った月城くんは、帰りのバスでも終始爆睡だった。

学校に着きバスを降りると、

瞼をパンパンに腫らした男が駆け寄ってきた。


月「えっ、緋美だよね??どーしたの!?その目…」

緋「しーちゃぁぁぁぁん!!!!!」

緋「止めたかったのに…血吸われ過ぎて追いかけることもできなくて…心配で心配で…寂しくて…グスッ……」

月「泣き腫らしたんだね。大丈夫だよ、こーくんのおかげで僕は元気だよ!」

緋美が俺に、まさかという顔で目を向けた。

俺は咄嗟に首元の絆創膏を隠したけれど、その動き自体で血を飲ませたことがバレてしまった。



緋「ギィヤァアアアアア!!!!!」