月城くんの偏食事情。

月城くんは目をまん丸にして驚いていたが、

月「なんで?無理しなくていいんだよ?」

月「あ、彼女できるかも知れないから?血が美味しく無くなる前に、飲ませてあげようってこと?」

光「はぁ?!」

光「彼女なんて出来ないし…あ、彼女出来て血が不味くなったら嫌だなって思ったから、不機嫌だったの??」

月「そんなこと…!」

月「僕は……」


月城くんの大きな瞳には、涙が溜まっていた。


月「女の子に呼ばれて、君がいなくなったら…」

月「ここが、痛くて……」


月城くんは俺の手を取り、自分の左胸にあてた。

手のひらから大きく脈打つ鼓動を感じる。


月「血のことなんて、少しも思い浮かばなかった。」

月「でもなんでこんなに苦しいのか、自分でもよくわからないんだ……。
こーくんが笑顔になると、いつもは僕も嬉しくなるのに、今日はなんだか悲しくて…。」

月「ずっと悲しくて、こーくんは何も悪く無いのに、それがなぜだか、こーくんのせいみたいに感じて……。」

月「拗ねちゃってたかも知れない。ごめんね。」


光「静夢……。」

光「俺こそ、ごめん。俺は静夢にとってただの食料なんじゃないかって、誤解してた。」

光「俺自身のことも、見てくれてたんだね。」

月「当然でしょ。僕はこーくんのこと、大好きなんだから!」

光「ふっ、その好きは、信用できないけど。」

月「えっ?」

光「でも俺も、他の誰かの血を吸って欲しくないって思うくらい、静夢のこと、好きだよ。」

月「こーくん…!」

月「他の人のなんて吸わないよ。僕はずっと、こーくんの心の準備が出来るまで、何年でも待つつもりだったんだから。」

月「僕が拗ねてたから、無理してない?」

俺は左右に首を振った。

光「……静夢に吸われたい。」

光「静夢に、俺の血で元気になってもらいたい。」

月「こーくん…嬉しい……!」

光「あっでも、儀式とか作法とか、俺はよくわかんないから!カプッ、チュウチュウ、みたいな感じだと助かるって言うか……」

月「ふふっ!わかったよ。初めてだし、軽く、一口だけね。」

月「あ、でも今アレ持ってないや」

月「後からつけないと…」

光「エッ!!ごめん、なんの話??」

月「えーと、絆創膏。」

光「あ、絆創膏か、ビックリした!俺待ってるよ。」

月「さすが〜本当に、吸われる気満々で来てくれたんだね?」

月「嬉しいよ……」

そう言うと月城くんは、俺の顔を両手で包んだ。

月「こーくん、ありがとう。いただきます…!」

噛まれる時は、やっぱり怖いな……

俺がギュッと目をつぶって待っていると、



チュッ!




えっ!?


なんでキスした?


唇に………!