月城くんの偏食事情。

「あ!一つ聞きたいことが…」

「なになに?何でも聞いて!」

「あれ……何……?」

俺は、ベッドの枕元で見つけた俺の顔を、
震える指で差した。

「あっ……!」

「引かないでね?」

そういうと月城くんは電気を少し明るくした。
その明かりで浮かび上がった写真の俺は、体操服を着ている。

「こーくんと保健室で会った後、廊下から撮っちゃった。勝手にごめんね。枕元に好きな人の写真置いとくと、願いが叶うっていうでしょ?それで…」

「いつかこの人の血が飲めますように…って願いを込めて、貼ってる。」

「時々、首筋にキスもしてる。イメトレで。チュッ!って。あは!」

「……食いしん坊過ぎるよね、しかもおまじないなんて、乙女か!って……。」

「…引いてる?」

……いや引きどころがあるとすれば盗撮くらいだけど、
拡大してドット絵みたいになってる俺にキスまでしてんの可愛すぎるだろ!!!
って感想しか無かった。

でも、俺の『血』が好きなだけなんだよな……
……ちょっと複雑……

「引いてないよ、いや、俺の血、そんなに美味しそうだったんだね。」

「…ちなみに、俺のこと自体は、どう思ってる?」

俺は何を聞いてるんだ!
まさか、自分の血に嫉妬してる?

「えっ、もちろん、こーくんのことだーい好きだよ!」

「緋美のことは?」

「緋美もだーい好き!」

「キャッ!」と叫んで緋美は両手で顔を隠し、体を左右に揺すった。

お前も大概乙女だな…


好かれているのは嬉しいけど、この『好き』とさっきの『好き』は、同じだろう。

それでもこの屈託のない、花が綻ぶような笑顔が、俺の血に欲を抱いて理性を失っていく様を、

俺は見たいと思い始めていた……。