月城くんの偏食事情。

苦痛と快楽の入り混じった声で兄の名前を叫び続ける緋美くんを、俺は直視出来なかった。


食事側が一番興奮してない?
気のせい?

俺こんな風に叫ばないといけないの?

それとも自然と叫んじゃうの?

どっちにしても、耐えられない……


光「…あの!…もう、いいよ…。よくわかったから…。」

月城くんはハッとして俺を一瞥すると、
パッと首元から口を離し、

月「ごちそうさま!緋美、いつもありがとう!」

そう言うと、緋美くんをギュッと抱きしめて、

チュッ
チュッ

首に軽く2回、キスをした。

光「そっ……!!その締めはなんなの?!」

月「締め?ごちそうさまの後は、感謝とリスペクトのハグ。」
月「そして傷口にキスすると、早く血が止まるから…」

光「…って、緋美くんが?」

月「そうそう!緋美は僕のために色々調べてくれてて、造詣が深いんだ。」

緋美くんは片手で両目を覆い、顎を天井に向けて脱力していたが、口元にはうっすらと笑みを浮かべていた。

…余韻楽しんでない?

月「で、こーくん!心の準備できた?僕たちの初めてはいつにする?僕も心の準備をしとくから、いつでも大丈夫だよ!」

月城くんはハンカチで口を拭きながらニコリと目を細め、俺に問いかけた。


光「…あの……俺……もう少し…考えさせて……」

月「ええ〜っ、なんで??」

光「…その……」

光「……怖くて………。」

緋「ハッ!やっぱり!しーちゃんの荘厳さに怖気付いたんだな!!

緋「ダサいっすね〜〜〜先輩!!」

光「いや、怖いの月城くんじゃなくて…」

光「緋美くんみたいになること。」

緋「は?」

光「凄かったじゃん、声も、反応も。」

光「しーちゃん!しーちゃん!…って」

光「あんな理性飛ばして喘いでる(?)自分、想像したら、めちゃくちゃ怖いよ……。」

光「いちいち儀式も…欲望まみれだし……」

月「欲望?」

緋「せーーーーんぱい、ちょっと黙りましょうか。」

緋「2人で話がしたいです。」

真っ赤になった緋美くんが、俺の腕を掴み、言葉を遮った。

月「なになに??話って」

緋「あーっと、ほら、俺、この食事法について詳しいから、先輩に色々アドバイスしてあげたくて。」

緋「吸われる側の心構えっていうか?食事になることのメリットとか?」

緋「いつもならしーちゃん寝てる時間だし、お腹いっぱいで眠いでしょ?今日はここまでにして、先輩にもっと安心してもらえるように、俺が話しながら送ってくるよ!」

月「……緋美ぃ…本当に優しい弟!」

月「ありがとう、こーくんをよろしくね!」

月「じゃね、こーくん!今日はありがとう!気をつけて帰ってね。また明日…ふわぁ…。」

本当に眠そうだな。
てかいつも寝てる時間なんだ。
まだ日も暮れてないのに…。

緋「じゃあ先輩、行きましょっか!」

緋美くんはそう言うと,俺の腕を掴んだまま、慌てた様子で屋敷の外へと連れ出した。


──バタン


緋「…………。」


光「…………。」


気まずい空気の中、
緋美くんがポツリと話をし始めた。