どうしよう……。俺は、深山の心を壊滅的に破壊してしまった──。
ホテルの部屋に荷物を置いた途端、深山は俺の存在を拒絶するように、言葉一つ残さず部屋を飛び出していった。
俺は全身を包み込む恐ろしい罪悪感と絶望に捕らわれ、追いかけることすらできず、気がつけば無機質な室内にポツンと一人取り残されていた。
……俺が、愚かだったのだ。
消極的に告白のタイミングを伺い、保身に走って躊躇し続けていた。
どうして、もっと最初からなりふり構わず、深山に想いをぶつけなかったのだろう。
今朝、目を覚ましたあの瞬間に告白したって良かったはずだ。
深山なら、どんな状況であれ俺の本当の気持ちを優しく受け止めてくれたはずなのに──。
些細なプライドや世間体を気にしたせいで、俺は深山を限界まで追い詰め、あの静かな竹林で必死な行動を起こさせてしまったのだ。
あの時、浩也に聞かれようが学年中にバレようが関係なかった。
「好きだ」と叫んで、あいつの必死な愛に俺も全力で応えなければならなかったのに……!
無機質に整えられた冷たいベッドに力なく倒れ込む。
シーツを黒く濡らしていく涙を止められない。
(……あいつが、どれだけ勇気を振り絞って俺を抱きしめてくれたか……っ!)
冷徹なフリをして、本当は壊れそうな心で俺を求めてくれていた深山。
あいつの不器用で必死な愛を、俺は一番最悪な形で踏みにじってしまったのだ。
……深山が戻ってきたら、どんなに拒絶されても泥臭く必死に謝ろう。
そして、今度こそ誤解を解いて、俺の口からちゃんと「好きだ」と告白しよう。
俺はただそれだけを胸に誓い、深山が帰ってくるのをじっと待った。
──だが、どれだけ時間が経過しても、深山が部屋に戻ってくる気配は一向になかった。
それどころか、いつもなら真っ先に部屋でくつろいでいるはずの浩也すら、戻ってこない。
……まさか……っ!?
心臓がドクンと、最悪の予感を告げる警報を鳴らした。
浩也が……深山と接触しているのかもしれない。
そう思考が繋がった瞬間、頭の奥で何かがブツリと弾けた。
視界が真っ赤に染まるほどの凄まじい怒りと、今まで感じたことのない狂おしいほどの「嫉妬心」が全身を駆け巡る。
もし──俺に振られたと絶望し、精神の防壁が崩壊している深山の前に浩也が現れたらどうなる?
無気力と失意の底にいるあいつの無防備なシステムの隙間に、あの無敵のポジティブ勘違い野郎(浩也)が強制アクセスを試みたら──。
あいつの綺麗な領域に、浩也というウイルスを1ビット足りとも侵入させてたまるか!!
その瞬間、全身の血液が沸騰するように熱くなり、絶望で凍りついていた身体が奮い立った。
内側からいまだかつてないほどの未知の出力(力)がみなぎってくる。
こんなところでメソメソ泣いている場合じゃない。
手遅れになって、あいつを永遠に失ってしまう前に──今すぐ行かなきゃダメだ、深山のところへ!
「待ってろ、深山……っ!!」
俺はベッドから跳ね起きると、涙を強引に袖で拭った。
絶対に、浩也の妙なアプローチなんかに屈するんじゃないぞ。
お前のその狂ったシステムを解読し、完全にフリーズ(降伏)させていいのは──世界でただ一人、この俺だけなんだから!!
部屋のドアを蹴り開けるように飛び出し、俺は爆音を立てる心臓を押さえる間もなく、どこにいるかも分からない深山のもとへ向かって、夜の廊下を床を強く蹴りつけて駆け出した。
【侑人のログ:完全覚醒(オーバーライド)と緊急追跡コードの実行】
・ターゲット(深山)のシステム崩壊、およびサードパーティ(浩也)の不当介入の可能性を検出。
・自己肯定感の低下・躊躇などの抑制プログラム(照れ・羞恥)をすべて強制解除。
・……ターゲットの独占権(恋心)を完全行使し、ファイアウォール強行突破のためのダイレクト・エンカウントを開始する。
ホテルの部屋に荷物を置いた途端、深山は俺の存在を拒絶するように、言葉一つ残さず部屋を飛び出していった。
俺は全身を包み込む恐ろしい罪悪感と絶望に捕らわれ、追いかけることすらできず、気がつけば無機質な室内にポツンと一人取り残されていた。
……俺が、愚かだったのだ。
消極的に告白のタイミングを伺い、保身に走って躊躇し続けていた。
どうして、もっと最初からなりふり構わず、深山に想いをぶつけなかったのだろう。
今朝、目を覚ましたあの瞬間に告白したって良かったはずだ。
深山なら、どんな状況であれ俺の本当の気持ちを優しく受け止めてくれたはずなのに──。
些細なプライドや世間体を気にしたせいで、俺は深山を限界まで追い詰め、あの静かな竹林で必死な行動を起こさせてしまったのだ。
あの時、浩也に聞かれようが学年中にバレようが関係なかった。
「好きだ」と叫んで、あいつの必死な愛に俺も全力で応えなければならなかったのに……!
無機質に整えられた冷たいベッドに力なく倒れ込む。
シーツを黒く濡らしていく涙を止められない。
(……あいつが、どれだけ勇気を振り絞って俺を抱きしめてくれたか……っ!)
冷徹なフリをして、本当は壊れそうな心で俺を求めてくれていた深山。
あいつの不器用で必死な愛を、俺は一番最悪な形で踏みにじってしまったのだ。
……深山が戻ってきたら、どんなに拒絶されても泥臭く必死に謝ろう。
そして、今度こそ誤解を解いて、俺の口からちゃんと「好きだ」と告白しよう。
俺はただそれだけを胸に誓い、深山が帰ってくるのをじっと待った。
──だが、どれだけ時間が経過しても、深山が部屋に戻ってくる気配は一向になかった。
それどころか、いつもなら真っ先に部屋でくつろいでいるはずの浩也すら、戻ってこない。
……まさか……っ!?
心臓がドクンと、最悪の予感を告げる警報を鳴らした。
浩也が……深山と接触しているのかもしれない。
そう思考が繋がった瞬間、頭の奥で何かがブツリと弾けた。
視界が真っ赤に染まるほどの凄まじい怒りと、今まで感じたことのない狂おしいほどの「嫉妬心」が全身を駆け巡る。
もし──俺に振られたと絶望し、精神の防壁が崩壊している深山の前に浩也が現れたらどうなる?
無気力と失意の底にいるあいつの無防備なシステムの隙間に、あの無敵のポジティブ勘違い野郎(浩也)が強制アクセスを試みたら──。
あいつの綺麗な領域に、浩也というウイルスを1ビット足りとも侵入させてたまるか!!
その瞬間、全身の血液が沸騰するように熱くなり、絶望で凍りついていた身体が奮い立った。
内側からいまだかつてないほどの未知の出力(力)がみなぎってくる。
こんなところでメソメソ泣いている場合じゃない。
手遅れになって、あいつを永遠に失ってしまう前に──今すぐ行かなきゃダメだ、深山のところへ!
「待ってろ、深山……っ!!」
俺はベッドから跳ね起きると、涙を強引に袖で拭った。
絶対に、浩也の妙なアプローチなんかに屈するんじゃないぞ。
お前のその狂ったシステムを解読し、完全にフリーズ(降伏)させていいのは──世界でただ一人、この俺だけなんだから!!
部屋のドアを蹴り開けるように飛び出し、俺は爆音を立てる心臓を押さえる間もなく、どこにいるかも分からない深山のもとへ向かって、夜の廊下を床を強く蹴りつけて駆け出した。
【侑人のログ:完全覚醒(オーバーライド)と緊急追跡コードの実行】
・ターゲット(深山)のシステム崩壊、およびサードパーティ(浩也)の不当介入の可能性を検出。
・自己肯定感の低下・躊躇などの抑制プログラム(照れ・羞恥)をすべて強制解除。
・……ターゲットの独占権(恋心)を完全行使し、ファイアウォール強行突破のためのダイレクト・エンカウントを開始する。
