「うっさーい! 今いい案が降りてきたのに! あんたのせいで台無しよ!」
バンッ、と激しくドアを開けて怒鳴り込んできたのは、俺の姉だ。例のBL小説を読ませてきた、あの張本人である
「……姉ちゃんのほうがうっさいわ」
姉貴はふん、と鼻を鳴らして俺を凝視した。
「あんた、学校でなんかあったの?」
「はぁ? なんでだよ」「顔に『何かありました』って書いてるわよ。何年あんたの姉やってると思ってんの。嫌でも分かるわよ」
「別に、何もないって」
「はい、瞬き三回しましたー! そうしが嘘つくときの特徴でぇーす!」
「なんで知ってんだよ!」
「うっそつき、うっそつき! はよ言えって!」
「うぅ〜……」姉貴の執拗な追及に耐えかね、俺は唸りながらも、今日の放課後に起きた出来事を白状した。
「はぁぁぁぁぁぁ! 最ッ高じゃないの!? え、でもあんた、それ騙されてない?」
「俺も真っ先にそれを疑ったわ」
でも……。思い返してみるが、あのときの渡世の表情は、どう見てもガチっぽかった。それに、真っ直ぐ見つめられて、ぶっちゃけめっちゃカッコよかったな、とか……。
――じゃなくて!!! 俺はいま何てことを考えてたんだ!?
「で、あんた返事は?」
「逃げた」
「逃げた!?……いや、あんた最高!」
姉貴は突然、目を見開いて大興奮し始めた。
「は? 『付き合おうって言え』って怒るんじゃないのかよ」
「違うのよ! 逃げるということは、攻めに不安を与えるということ! だから夜ベッドに入ったときとかに、受け(あんた)のことで頭がいっぱいになっちゃうわけ! はぁぁあ、最っ高……!」
「待って、これ次の小説のネタにしよっ!!」
「おい、やめろ」
さっきまで「いい案が降りてこない」云々と怒鳴っていたくせに、これである。
「そうし、これから毎日ネタ集めは任せたわよ!」
「嫌だよ。もう渡世とは喋んないわ」
「はぁ? あんたはこれから一軍のイケメングループに甘やかされるのよ? 」
姉貴はニヤリと悪魔のような笑みを浮かべ、俺の前にスマホを突き出してきた。
「お願い、お願い! あんたがずっと行きたがってたあのライブ、知り合いに頼んでチケット取ってあげるから!!」
ドクン、と心臓が跳ねる。正直、めちゃくちゃ行きたい。でも渡世を売るような真似は申し訳ないし、何より絶対にめんどくさいことになる。
「それに、限定グッズも全種類買ってあげる!! ……というか、お前に関しては『いいえ(NO)』という選択肢はないからな?」
あ、やばい。姉ちゃんのガチのドSオーラが背後に見えた。ここで逆らったら明日の朝飯抜きどころの騒ぎじゃない。
「……はい。ごめんなさい。やります。すみませんでした」
「やったー! 最高傑作が書けそう、るんるん〜♪」
鼻歌を歌いながら部屋を出ていく、恐るべし姉。
「はぁぁ……」
起きると同時に俺はあくびの代わりに、盛大なため息を吐き出した。姉ちゃんのためにネタ集めをしなきゃいけねえのは憂鬱だが、ふと、いいアイデアが閃いた。
――待てよ。そもそも俺が渡世と関わらなきゃ、ネタすらできない。
そうすれば、姉ちゃんもそのうち諦めるんじゃね!?そうだ、それしかない!!登校路を歩きながら、
俺は姉貴の代表作を脳内で検索する。
あの『きみはな』(高橋の姉、夏井琥珀──ペンネーム。某小説サイトのBL部門で月間一位を獲得したことのある名作『きみを離さない』の略)では、攻めが校門の前で待ち伏せしていた。
つまり!!渡世が校門にいる確率は極めて高い!!そこさえ回避すれば勝ちだ!やがて学校が見え、俺は校門の手前で周囲を慎重にクリアリングした。
『おっしゃ!!!』心の中で激しいガッツポーズを決める。いない!!! 勝利を確信した。俺はルンルンで鼻歌を響かせながら、下駄箱へと向かった。たぶん自分が思っている以上に口角が上がっている。それを必死に抑えながら上履きに履き替えようと靴を脱いでいる、その時だった。「高橋、おっはよー!!」両肩を後ろから、ばすんッ!! と力強く叩かれた。「わたっえ、なっ〜〜〜〜!!!」「ぶふっ、待って高橋、どこから声出してんの!? おもろすぎでしょ」振り返ると、そこには朝の光を一身に浴びてキラキラと輝く渡世がすぐ耳元で、お腹を抱えて爆笑していた。なんで、いるんだよ……!!!校門をあえてスルーし、油断した下駄箱で仕留めるという作戦かッッッ!?姉ちゃんの小説にそんなパターンは載っていなかった。くっそ、完全なる盲点だった……!
「ひゃっぁっ!」
突然渡世が俺の腰に手を回し驚いて変な声が出てしまった。
赤くなった顔で渡世を見ると
「かわいい。」と耳元で囁いてきた。
なんか
「あ、渡世が高橋いじめてるー!」
と言ってきたのは渡世と同じグループのこの学年の四天王のひとり北村だ。
サッカー部で北村も安定的なイケメンだ。
「つか2人って仲良かったけ?」
大野
「友達になった!」
と渡世がブイピースを3人に見せる
友達になった覚えはねぇよ!!!いつからなったんだよ!
四天王のうち3人に見つめられ「は、ははは」と苦笑いした。
「そうなんやーというかはよいこ!」
沢田
俺は渡世に腰に手を回されたまま廊下を歩く。
まってこれ…いまおれ四天王の真ん中にいるっ!?
噂で聞いたことがあるんだが四天王ってファンクラブがあるって……
四天王のファンにこっ殺されるっ
やばい命の危機がっ
俺廊下の端でしか歩いたことないのにどまんなかを歩いてしまってるっ!!
とりあえず渡世の腕から離れようと脱出を試みると…
「ぐっ」
「ねぇ駄目だよ。」
背筋がぞわっとする
「んっ」
こいつさっき俺が耳弱いってこと知ってわざとやりやがったな!!!
教室にて。
「みんなおっはよー!」
教室に入るなり自慢のでかい声呼びかける
ゔっ痛いってみんな!そんな俺を見んな!!視線が痛ぇ
渡世ぇぇぇもう離してくれぇぇぇ!
「ああ高橋と席遠いから寂しいなぁ〜」
と言ってやっとはなしてくれた。
席につきホームルーム渡世を見ると目が合い嬉しそうに目を細めパタパタと手を振った
すると口パクで何かを俺に伝えようとした。
ん?
す・き・だ・よ
と意地悪そうに笑った
やっぱ陽キャはわからんっ
バンッ、と激しくドアを開けて怒鳴り込んできたのは、俺の姉だ。例のBL小説を読ませてきた、あの張本人である
「……姉ちゃんのほうがうっさいわ」
姉貴はふん、と鼻を鳴らして俺を凝視した。
「あんた、学校でなんかあったの?」
「はぁ? なんでだよ」「顔に『何かありました』って書いてるわよ。何年あんたの姉やってると思ってんの。嫌でも分かるわよ」
「別に、何もないって」
「はい、瞬き三回しましたー! そうしが嘘つくときの特徴でぇーす!」
「なんで知ってんだよ!」
「うっそつき、うっそつき! はよ言えって!」
「うぅ〜……」姉貴の執拗な追及に耐えかね、俺は唸りながらも、今日の放課後に起きた出来事を白状した。
「はぁぁぁぁぁぁ! 最ッ高じゃないの!? え、でもあんた、それ騙されてない?」
「俺も真っ先にそれを疑ったわ」
でも……。思い返してみるが、あのときの渡世の表情は、どう見てもガチっぽかった。それに、真っ直ぐ見つめられて、ぶっちゃけめっちゃカッコよかったな、とか……。
――じゃなくて!!! 俺はいま何てことを考えてたんだ!?
「で、あんた返事は?」
「逃げた」
「逃げた!?……いや、あんた最高!」
姉貴は突然、目を見開いて大興奮し始めた。
「は? 『付き合おうって言え』って怒るんじゃないのかよ」
「違うのよ! 逃げるということは、攻めに不安を与えるということ! だから夜ベッドに入ったときとかに、受け(あんた)のことで頭がいっぱいになっちゃうわけ! はぁぁあ、最っ高……!」
「待って、これ次の小説のネタにしよっ!!」
「おい、やめろ」
さっきまで「いい案が降りてこない」云々と怒鳴っていたくせに、これである。
「そうし、これから毎日ネタ集めは任せたわよ!」
「嫌だよ。もう渡世とは喋んないわ」
「はぁ? あんたはこれから一軍のイケメングループに甘やかされるのよ? 」
姉貴はニヤリと悪魔のような笑みを浮かべ、俺の前にスマホを突き出してきた。
「お願い、お願い! あんたがずっと行きたがってたあのライブ、知り合いに頼んでチケット取ってあげるから!!」
ドクン、と心臓が跳ねる。正直、めちゃくちゃ行きたい。でも渡世を売るような真似は申し訳ないし、何より絶対にめんどくさいことになる。
「それに、限定グッズも全種類買ってあげる!! ……というか、お前に関しては『いいえ(NO)』という選択肢はないからな?」
あ、やばい。姉ちゃんのガチのドSオーラが背後に見えた。ここで逆らったら明日の朝飯抜きどころの騒ぎじゃない。
「……はい。ごめんなさい。やります。すみませんでした」
「やったー! 最高傑作が書けそう、るんるん〜♪」
鼻歌を歌いながら部屋を出ていく、恐るべし姉。
「はぁぁ……」
起きると同時に俺はあくびの代わりに、盛大なため息を吐き出した。姉ちゃんのためにネタ集めをしなきゃいけねえのは憂鬱だが、ふと、いいアイデアが閃いた。
――待てよ。そもそも俺が渡世と関わらなきゃ、ネタすらできない。
そうすれば、姉ちゃんもそのうち諦めるんじゃね!?そうだ、それしかない!!登校路を歩きながら、
俺は姉貴の代表作を脳内で検索する。
あの『きみはな』(高橋の姉、夏井琥珀──ペンネーム。某小説サイトのBL部門で月間一位を獲得したことのある名作『きみを離さない』の略)では、攻めが校門の前で待ち伏せしていた。
つまり!!渡世が校門にいる確率は極めて高い!!そこさえ回避すれば勝ちだ!やがて学校が見え、俺は校門の手前で周囲を慎重にクリアリングした。
『おっしゃ!!!』心の中で激しいガッツポーズを決める。いない!!! 勝利を確信した。俺はルンルンで鼻歌を響かせながら、下駄箱へと向かった。たぶん自分が思っている以上に口角が上がっている。それを必死に抑えながら上履きに履き替えようと靴を脱いでいる、その時だった。「高橋、おっはよー!!」両肩を後ろから、ばすんッ!! と力強く叩かれた。「わたっえ、なっ〜〜〜〜!!!」「ぶふっ、待って高橋、どこから声出してんの!? おもろすぎでしょ」振り返ると、そこには朝の光を一身に浴びてキラキラと輝く渡世がすぐ耳元で、お腹を抱えて爆笑していた。なんで、いるんだよ……!!!校門をあえてスルーし、油断した下駄箱で仕留めるという作戦かッッッ!?姉ちゃんの小説にそんなパターンは載っていなかった。くっそ、完全なる盲点だった……!
「ひゃっぁっ!」
突然渡世が俺の腰に手を回し驚いて変な声が出てしまった。
赤くなった顔で渡世を見ると
「かわいい。」と耳元で囁いてきた。
なんか
「あ、渡世が高橋いじめてるー!」
と言ってきたのは渡世と同じグループのこの学年の四天王のひとり北村だ。
サッカー部で北村も安定的なイケメンだ。
「つか2人って仲良かったけ?」
大野
「友達になった!」
と渡世がブイピースを3人に見せる
友達になった覚えはねぇよ!!!いつからなったんだよ!
四天王のうち3人に見つめられ「は、ははは」と苦笑いした。
「そうなんやーというかはよいこ!」
沢田
俺は渡世に腰に手を回されたまま廊下を歩く。
まってこれ…いまおれ四天王の真ん中にいるっ!?
噂で聞いたことがあるんだが四天王ってファンクラブがあるって……
四天王のファンにこっ殺されるっ
やばい命の危機がっ
俺廊下の端でしか歩いたことないのにどまんなかを歩いてしまってるっ!!
とりあえず渡世の腕から離れようと脱出を試みると…
「ぐっ」
「ねぇ駄目だよ。」
背筋がぞわっとする
「んっ」
こいつさっき俺が耳弱いってこと知ってわざとやりやがったな!!!
教室にて。
「みんなおっはよー!」
教室に入るなり自慢のでかい声呼びかける
ゔっ痛いってみんな!そんな俺を見んな!!視線が痛ぇ
渡世ぇぇぇもう離してくれぇぇぇ!
「ああ高橋と席遠いから寂しいなぁ〜」
と言ってやっとはなしてくれた。
席につきホームルーム渡世を見ると目が合い嬉しそうに目を細めパタパタと手を振った
すると口パクで何かを俺に伝えようとした。
ん?
す・き・だ・よ
と意地悪そうに笑った
やっぱ陽キャはわからんっ
