総合ホールに到着すると、ホワイトボードにバレーボール大会のトーナメント表が貼られていた。初日からバレー大会を行うなんて体力バカがすぎるだろう。ここまで3時間半もバスに揺られて、みんな疲れているはずなのに。まあ、そんな愚痴をこぼしたところで何かが変わるわけでもないので、おとなしくトーナメント表に目をやった。
どうやら1回戦で負ければ、もう試合はないらしい。班を組んだ当初は優勝という目標を掲げていた気もするが、今の何とも言えない空気の中では、そんな目標を口にする者はいなかった。
ただ、スポーツが得意なやつらが多いこのクラスでは、絶対に勝つという気迫が満ちている。他のコースの連中には絶対に負けられないという強い意志が感じられた。俗に「スポーツクラス」と陰で呼ばれている連中のプライドなのだろう。僕たちの初戦の相手は商業クラス。どういうメンバー構成なのかは知らないが、これでもし負けたら、かなり気まずい空気になるのではないかという予感が頭をよぎった。
クラスメイトたちの発する熱気に当てられて熱中症にでもなりそうだったので、僕は輪からそっと抜け出した。その後、昼食を済ませて再び総合ホールへ戻ると、いよいよバレー大会が始まった。
もっとも、大会自体は簡易的なもので、1試合につき5ポイント先取したほうが勝ち上がるルールだった。手短なルールでなければ、これだけのクラス数はさばけないのだろう。本当にミニゲームのような形式だ。しかも使うボールは本格的なバレーボールではなく、どうやらビーチバレー用の柔らかいボールらしかった。
だが、そんなことは僕には関係ない。そもそも球技全般との相性が最悪なのだ。なんとかボールが回ってこないポジションを死守しなければと思いつつ、コートに足を踏み入れる。高橋と中田が後衛に回り、前方のフォローに入ってくれるようだ。僕は前衛でひたすら地蔵のように動かないことを心に決めた。
「はじめ!」
試合開始の合図が響く。初球のサーブは相手チームからだった。僕が運動音痴なのを察したのか、一直線にこちらへ飛んでくる。
どうしよう、返せない。
頭から体に指令を送り、咄嗟に腕を伸ばしたが、距離感が合わず触れすらしない。ボールはそのまま床に落ち、あっさり相手の得点になった。見守るクラスメイトたちの視線が、目に見えて険しくなっていく。僕はただ下を向くことしかできなかった。
「惜しかったな! 次、切り替えていこう」
高橋たちは予想外に優しく、わざわざ駆け寄って声をかけてくれた。これがスポーツマンシップというやつかと、思わず感心してしまう。
しかし、その後のプレーでも僕のミスが重なり、結局チームは2対5という何とも言えないスコアで敗退した。
気まずい。突き刺さるようなクラスメイトたちの視線が痛い。高橋は本当に運動神経が良いらしく、「あんな足手まといと組まされたせいで負けた」と周囲から同情されていた。
「こんなやつと組まされて災難だったな、高橋」
クラスの誰かが、吐き捨てるように言った。
最初からこうなることは分かっていたので、心の準備はできていた。ひとまずチームメイトに謝らなくてはならない。
「ごめん、僕があまりスポーツ得意じゃないせいで、みんなに迷惑を……」
「大丈夫だって。普通に相手が強かっただけだし。やっぱ本物のバレー部がいるとスゲーな。俺らもフォローしきれなかったし、次、別のチームの応援に行こうぜ」
高橋はさらりとフォローしてくれた。なんだかんだで根が良いやつなのだと、僕はスポーツマンへの見方を少し改めた。
「え、相手にバレー部がいたの?」
「うん。だから誰と組んでても、勝つのは難しかったと思うよ」
どうやら1回戦で負ければ、もう試合はないらしい。班を組んだ当初は優勝という目標を掲げていた気もするが、今の何とも言えない空気の中では、そんな目標を口にする者はいなかった。
ただ、スポーツが得意なやつらが多いこのクラスでは、絶対に勝つという気迫が満ちている。他のコースの連中には絶対に負けられないという強い意志が感じられた。俗に「スポーツクラス」と陰で呼ばれている連中のプライドなのだろう。僕たちの初戦の相手は商業クラス。どういうメンバー構成なのかは知らないが、これでもし負けたら、かなり気まずい空気になるのではないかという予感が頭をよぎった。
クラスメイトたちの発する熱気に当てられて熱中症にでもなりそうだったので、僕は輪からそっと抜け出した。その後、昼食を済ませて再び総合ホールへ戻ると、いよいよバレー大会が始まった。
もっとも、大会自体は簡易的なもので、1試合につき5ポイント先取したほうが勝ち上がるルールだった。手短なルールでなければ、これだけのクラス数はさばけないのだろう。本当にミニゲームのような形式だ。しかも使うボールは本格的なバレーボールではなく、どうやらビーチバレー用の柔らかいボールらしかった。
だが、そんなことは僕には関係ない。そもそも球技全般との相性が最悪なのだ。なんとかボールが回ってこないポジションを死守しなければと思いつつ、コートに足を踏み入れる。高橋と中田が後衛に回り、前方のフォローに入ってくれるようだ。僕は前衛でひたすら地蔵のように動かないことを心に決めた。
「はじめ!」
試合開始の合図が響く。初球のサーブは相手チームからだった。僕が運動音痴なのを察したのか、一直線にこちらへ飛んでくる。
どうしよう、返せない。
頭から体に指令を送り、咄嗟に腕を伸ばしたが、距離感が合わず触れすらしない。ボールはそのまま床に落ち、あっさり相手の得点になった。見守るクラスメイトたちの視線が、目に見えて険しくなっていく。僕はただ下を向くことしかできなかった。
「惜しかったな! 次、切り替えていこう」
高橋たちは予想外に優しく、わざわざ駆け寄って声をかけてくれた。これがスポーツマンシップというやつかと、思わず感心してしまう。
しかし、その後のプレーでも僕のミスが重なり、結局チームは2対5という何とも言えないスコアで敗退した。
気まずい。突き刺さるようなクラスメイトたちの視線が痛い。高橋は本当に運動神経が良いらしく、「あんな足手まといと組まされたせいで負けた」と周囲から同情されていた。
「こんなやつと組まされて災難だったな、高橋」
クラスの誰かが、吐き捨てるように言った。
最初からこうなることは分かっていたので、心の準備はできていた。ひとまずチームメイトに謝らなくてはならない。
「ごめん、僕があまりスポーツ得意じゃないせいで、みんなに迷惑を……」
「大丈夫だって。普通に相手が強かっただけだし。やっぱ本物のバレー部がいるとスゲーな。俺らもフォローしきれなかったし、次、別のチームの応援に行こうぜ」
高橋はさらりとフォローしてくれた。なんだかんだで根が良いやつなのだと、僕はスポーツマンへの見方を少し改めた。
「え、相手にバレー部がいたの?」
「うん。だから誰と組んでても、勝つのは難しかったと思うよ」
