それからの美優は、幾度となく同じような恋を繰り返した。
噂を聞きつけた他の男子生徒たちから、次々と告白された。顔が良い男、お調子者の男、どこか危うい雰囲気の男。相手のタイプは様々だったが、美優の対応はいつも同じだった。
余程特別に変な人でなければ、とりあえず付き合う。
けれど、いくら強く抱きしめられても、耳元でどれほど甘い言葉を並べられても、美優の心が動くことは二度となかった。どの男子も、最後には立石先輩と同じように、美優の冷たさに耐えかねて去っていった。
(きっと、あの中学時代の恋愛で、私の時間は止まっちゃってるんだろうな……)
歴代の元カレたちの顔を思い浮かべながら、美優はどこか他人事のように考えていた。
きっと、その気になれば好きになることだってできたはずだ。相手と真っ直ぐに向き合おうとすれば、いくらでもできたかもしれない。
それにストップをかけているのが、他ならぬ自分自身であることには、とうに薄々気づいていた。
また裏切られたら、どうしよう。
どんなに盛り上がっても、いつか必ず終わりがくるんじゃないか。
心の奥底にあるその恐怖がブレーキとなり、美優は誰に対しても、これ以上深く足を踏み出す勇気を持てないでいた。自分の心を守るために、無意識にバリアを張っているのだ。
「――ってな感じかなー」
美優は、ストローで期間限定の桃フロートをズズッと啜った。
ここは放課後のファーストフード店。窓際の席には、親友の萌華が座っている。
「なんかもう……聞いてるだけで、男たちが可哀想すぎるんだけど!?」
萌華は複雑極まりない表情を浮かべ、ポテトをがぶりとかじりながら身を乗り出してきた。
「美優が可愛いのは充分知ってるけどさ〜! 告白して付き合えたと思って舞い上がって、最終的にその絶対零度の壁にぶち当たって砕け散るわけでしょ? もうそれ完全に小悪魔じゃん!」
「ええ?ひどいなー。私はちゃんと、相手の要望には応えてるよ? デートも行くし、連絡も返すし」
「そこが一番タチ悪いの! 期待させといて、中身は空っぽって事でしょ!」
呆れたように、でもどこか心配そうに眉をひそめる萌華の視線を、美優はふいっと窓の外へ逸らした。
ガラス越しに見える街並みは、夕暮れに染まり始めている。
冷たい桃フロートの甘さが、今の美優には少しだけ、苦く感じられた。
噂を聞きつけた他の男子生徒たちから、次々と告白された。顔が良い男、お調子者の男、どこか危うい雰囲気の男。相手のタイプは様々だったが、美優の対応はいつも同じだった。
余程特別に変な人でなければ、とりあえず付き合う。
けれど、いくら強く抱きしめられても、耳元でどれほど甘い言葉を並べられても、美優の心が動くことは二度となかった。どの男子も、最後には立石先輩と同じように、美優の冷たさに耐えかねて去っていった。
(きっと、あの中学時代の恋愛で、私の時間は止まっちゃってるんだろうな……)
歴代の元カレたちの顔を思い浮かべながら、美優はどこか他人事のように考えていた。
きっと、その気になれば好きになることだってできたはずだ。相手と真っ直ぐに向き合おうとすれば、いくらでもできたかもしれない。
それにストップをかけているのが、他ならぬ自分自身であることには、とうに薄々気づいていた。
また裏切られたら、どうしよう。
どんなに盛り上がっても、いつか必ず終わりがくるんじゃないか。
心の奥底にあるその恐怖がブレーキとなり、美優は誰に対しても、これ以上深く足を踏み出す勇気を持てないでいた。自分の心を守るために、無意識にバリアを張っているのだ。
「――ってな感じかなー」
美優は、ストローで期間限定の桃フロートをズズッと啜った。
ここは放課後のファーストフード店。窓際の席には、親友の萌華が座っている。
「なんかもう……聞いてるだけで、男たちが可哀想すぎるんだけど!?」
萌華は複雑極まりない表情を浮かべ、ポテトをがぶりとかじりながら身を乗り出してきた。
「美優が可愛いのは充分知ってるけどさ〜! 告白して付き合えたと思って舞い上がって、最終的にその絶対零度の壁にぶち当たって砕け散るわけでしょ? もうそれ完全に小悪魔じゃん!」
「ええ?ひどいなー。私はちゃんと、相手の要望には応えてるよ? デートも行くし、連絡も返すし」
「そこが一番タチ悪いの! 期待させといて、中身は空っぽって事でしょ!」
呆れたように、でもどこか心配そうに眉をひそめる萌華の視線を、美優はふいっと窓の外へ逸らした。
ガラス越しに見える街並みは、夕暮れに染まり始めている。
冷たい桃フロートの甘さが、今の美優には少しだけ、苦く感じられた。



