高1から同クラの滝川には、三つの特徴がある。
まず、滝川はバカだ。
壮絶にバカだ。
歴史の授業で、先生に
「大正時代に高まった民主主義、自由主義的な流れをなんという?」(正解:大正デモクラシー)
と問いかけられて、ハイっと手を挙げ
「大正エクスタシーです」
と、真顔で答えたくらいだ。
もちろんクラスは爆笑の渦で、しばらくあだ名は「エクスタシー滝川」になった。
次に、滝川はイケメンだ。
強烈にイケメンだ。
女子だけでなく男子も、教師までもが見惚れるほどだ。
校門前にはスマホを構えた他校の女子がスタンバイ、バレンタインには机にチョコのピラミッドができていた。
長身で王子顔だから、文化祭では、演劇部でもないのにロミジュリのロミオを頼まれていた。
しかし驚くほどの棒読みで、王子から村人、そのへんの木の役まで転落していた。
最後の特徴。
滝川は、服のセンスが悪い。
驚嘆するほど悪い。
悪いというか……遠目で発見しやすいタイプだ。
ゲーセン前で待ち合わせをした時、太い赤ボーダーのTシャツに黒ストライプのパンツ姿でやってきた。
近くにいた女子高生グループから
「あの人、なんかカミキリ虫っぽくない?」
と、指を差されていた。
だから、とにかくシンプルな服を着ろと無印に連れていったんだ。
センスが悪いから、女子に「地味可愛い」と言われるのがせいぜいのオレに告白したんだろうか。美形じゃない、……というか女ですらないのに。
告白されたのは、つい2週間前。2年になってすぐのこと。
実は、滝川と付き合う直前まで、オレには彼女がいた。高校生活順風満帆だったのに、大学生の彼が出来たとフラれた。
傷心のオレが桜の花びらの舞う内庭で一人『車輪の下』を読んでいたら(笑ってくれ)、いつの間にか滝川がそばにいた。そして優しく笑いながら
「彼女と別れたって聞いた。オレと付き合ってよ。好きなんだ」
と言ってきた。
きゅんときたわけじゃない。失恋したてで、自分に自信をくれる人間にすがりたかっただけ。
エクスタシーのくせに、あんまり堂々と告白してくるから、驚いて普通の判断が出来なかっただけ。
それまで、同クラだけど話したこともなかったのに。
男に興味はないけど、うん、と言ってしまったんだ。
男に二言はない。
というわけで、今日は2回目のデートだ。
オレは今、渋谷のハチ公前にいる。日曜1時、待ち合わせをする人でごった返している。
カミキリ虫アゲインか、落ち着いたイケメンルックでくるか。
どう転んでも、周りの注目を浴びながら登場することには変わりない。
まず、滝川はバカだ。
壮絶にバカだ。
歴史の授業で、先生に
「大正時代に高まった民主主義、自由主義的な流れをなんという?」(正解:大正デモクラシー)
と問いかけられて、ハイっと手を挙げ
「大正エクスタシーです」
と、真顔で答えたくらいだ。
もちろんクラスは爆笑の渦で、しばらくあだ名は「エクスタシー滝川」になった。
次に、滝川はイケメンだ。
強烈にイケメンだ。
女子だけでなく男子も、教師までもが見惚れるほどだ。
校門前にはスマホを構えた他校の女子がスタンバイ、バレンタインには机にチョコのピラミッドができていた。
長身で王子顔だから、文化祭では、演劇部でもないのにロミジュリのロミオを頼まれていた。
しかし驚くほどの棒読みで、王子から村人、そのへんの木の役まで転落していた。
最後の特徴。
滝川は、服のセンスが悪い。
驚嘆するほど悪い。
悪いというか……遠目で発見しやすいタイプだ。
ゲーセン前で待ち合わせをした時、太い赤ボーダーのTシャツに黒ストライプのパンツ姿でやってきた。
近くにいた女子高生グループから
「あの人、なんかカミキリ虫っぽくない?」
と、指を差されていた。
だから、とにかくシンプルな服を着ろと無印に連れていったんだ。
センスが悪いから、女子に「地味可愛い」と言われるのがせいぜいのオレに告白したんだろうか。美形じゃない、……というか女ですらないのに。
告白されたのは、つい2週間前。2年になってすぐのこと。
実は、滝川と付き合う直前まで、オレには彼女がいた。高校生活順風満帆だったのに、大学生の彼が出来たとフラれた。
傷心のオレが桜の花びらの舞う内庭で一人『車輪の下』を読んでいたら(笑ってくれ)、いつの間にか滝川がそばにいた。そして優しく笑いながら
「彼女と別れたって聞いた。オレと付き合ってよ。好きなんだ」
と言ってきた。
きゅんときたわけじゃない。失恋したてで、自分に自信をくれる人間にすがりたかっただけ。
エクスタシーのくせに、あんまり堂々と告白してくるから、驚いて普通の判断が出来なかっただけ。
それまで、同クラだけど話したこともなかったのに。
男に興味はないけど、うん、と言ってしまったんだ。
男に二言はない。
というわけで、今日は2回目のデートだ。
オレは今、渋谷のハチ公前にいる。日曜1時、待ち合わせをする人でごった返している。
カミキリ虫アゲインか、落ち着いたイケメンルックでくるか。
どう転んでも、周りの注目を浴びながら登場することには変わりない。


