制服に守られている僕達の特権

「彼氏、居るなんて聞いてない」

重要視すべきなのはそんなことではないと分かっている。
鈴音の告白があまりにもセンセーショナルで、私が日常の中で培ってきた常識の範囲外過ぎて、問題の核となっている部分から意識を逸らそうとしているのだ。

今の私は大き過ぎる核心から少しでも距離を置こうと、どうでもいい思考に逃げようとしている。

例えば鈴音の隠し事。

私と鈴音の間には、今まで隠し事なんて無かった。
好きな人ができれば当然のように報告したし、友達や家族のことだって、誰よりも先に鈴音に相談してきたのに。

「ごめんね。実は付き合ってもう一年になる。出会ったのがSNSだったからなんとなく言いづらくて」

「どこで出会ったかなんてどうだっていいじゃん。今はそんなん普通なんでしょ?私がばかにするとでも思ったの?」

「そうじゃないよ!ナギは絶対に理解してくれると思ってた。でも話が広がって親にも知られたりしたらさ。やっぱ未成年だし…ネットで知り合って直接遊んだりってちょっと何言われるか分かんないでしょ。怖かったの」

「ちょっと待ってよ。そこまで気にしてたのになんで妊娠なんて…。そっちのほうがおじさんもおばさんも…」

一年間も私は気づくことができなかった。
誰よりも鈴音の心の一番近くに居ると思っていたのに私は何も分かっていなかった。

理由はどうであれ、一年間も秘密にさせてしまうほど、私は頼りない存在だったのだろうか。