制服に守られている僕達の特権

「ナギ。お待たせ」

「ううん」

鈴音は黒板の前に立って、チョークや黒板消し、教卓、掲示板の時間割表とその感触を確かめるように指先でなぞりながら、教室をゆっくりと一周して一人一人の机に触れていった。
閉め切った窓を突き破るような蝉の鳴き声。
まるで鈴音が制服に包まれた最後の時間を讃えようとするセレモニーみたいに飛び込んでくる。

「あー。九月になったら間違って登校しちゃうかも」

「鈴音の席はもうありませーん」

「うわ。めっちゃ辛辣」

「体調は?」

「ちょー元気。この子ってば産まれる前から親孝行なのよ」

「最高じゃん」

「だね。ねぇ、ナギ」

「なぁに」

「私が居なくても大丈夫だからね」

「はは…どうかなぁ」

「ナギはさ、私のことばっか褒めてくれるけどナギだって人望めちゃあるんだからね?さっきもみんな言ってたよ。ナギのことは任せなって」

「優しいなぁ…。あのね、鈴音」

「うん?」