制服に守られている僕達の特権

毎朝七時半に鈴音と神社の鳥居前で待ち合わせ。
二人の自宅からちょうど中間地点のこの神社には、お決まりの待ち合わせ場所としてお世話になっている。

七月に入ってから気がつけばいつの間にか蝉の大合唱が鳴り止まない。
夏が始まった合図の象徴として意識に刷り込まれている蝉は私よりもよっぽど偉い。
世の中の軸になれていることなんて今の私には一つも無いのだから。

「今日は寝坊しなかったね」

「暑くて寝てらんないよ」

「嘘。ナギは授業中だってうとうとしてんじゃん」

「あれは眠たくなる授業やっちゃう教師の責任だね」

「集中力ないあんたのせいでしょーが」

私の背中を軽くはたいて鈴音は苦笑した。
六月から夏服に切り替わっていて、七月にもなるとほとんど全員が半袖のシャツを着用しているのに、今日の鈴音は長袖のシャツで、肘まで腕捲りをしている。
校則違反なわけではないけれど、少数派には違和感を抱いてしまうのは脳の自然な働きだろうか。

「どしたの鈴音。暑くない?」

「電車寒いんだもん」

私達は神社で待ち合わせて、電車で通学する。
学校の最寄りまでは三駅。
鈴音が今まで寒いなんてグチッていたことは無いし、むしろ「弱冷車は敵!」なんて言っているのに。

「体調悪いの?」

「いや、体調は別に」

「そっか」