制服に守られている僕達の特権

鈴音の手のひらがぽん、と私の頭上に置かれた。
一向に泣き止まない子どもをあやすみたいに、ちょっと困ったような表情で鈴音は深く息を吸った。

「ごめんね」

「ごめんなんて…」

「彼のこともこの子のことも大事。それとおんなじくらいナギのことも大事よ」

「うん」

「言えなくてごめん。ちゃんと伝えて、こんな風にもっとちゃんと話せば良かった。信じてないわけじゃなかった。やっぱりちょっと、っていうか結構混乱もしてたんだ。拒絶されることが怖かった」

そうだ。
私は、ずっとずっと私の味方でいてくれた鈴音のことを、鈴音の言う通り世間一般の普通とかいう尺度で否定しようとしていたのだ。

日常の中で意識しているわけではない。
制服を纏った私達は、その特権に守られている。
人生の責任を担ってくれている保護者が居て、正解も間違いも分からない中で導いてくれる大人が居る。

世間一般の段階をきっちりと踏んできた大人の意見が全て正しいのだと思い込んで生きている。
十七歳の私達が見たこともないはずの未来を、人生の先輩達の助言こそが全てで正しいことなのだと信じきっている。

私達は誰かの娘であり、守られて生きている。
それでも一個人の人間であり、尊厳も幸せも喜びも他人が決めていいことではないということを失念して生きている。