制服に守られている僕達の特権

「ごめんね、ナギ」

「鈴音。私だって鈴音が居なきゃだめだよ」

「うん」

「今は、だよね。この制服を着る特権を失くした時。もっと広い世界を見る時には私にも守らなきゃいけないものがきっとできるんだよね」

「そうだよ。きっとね」

「鈴音、教えて。自分の尊厳のためにその子を産むの」

「そんなんじゃない」

「自分が満たされるためにお母さんになるの。自分を何者かにしてくれる命だから人生を賭けるの」

「どの感情が正解かは分からない。今の状況を少しでも認めてもらうために必死で取ってつけた綺麗事かもしれない。この子を育てながらどんなことが待ってるかも分かんない。誰だってそんなこと分かっていながら産むんじゃないし、とも思う。今の気持ちしか分かんないよ。ただ愛おしいの。私の全てをあげてもいいと思う。あげようと思う。早く逢って、この腕で抱き締めたい。それだけだよ」

「私も、正解なんて分かんないし、きっと無いのかもしれない。ましてや妊娠なんてしたことない。私は誰かの娘であることしか知らないの。今の鈴音の気持ちも、全部を正しくは分かってあげられない。でもそれでも…それでも心配しちゃうの。自分のことみたいに不安になっちゃうの。鈴音のことが大事だからだよ。それだけだよ」