制服に守られている僕達の特権

「親友なのにナギにすらちゃんと話せなかったのは私の弱さだから。傷つけてごめん」

「私が言えなくさせてたんだよ。私の前では情けない自分じゃだめだとか、自分がしっかりしてなきゃとか、そう思わせてしまうように私がしちゃってたんだと思う」

「ナギが頼ってくれるの嫌だったわけじゃないからね!?絶対に違うからね」

「うん。ありがとう。鈴音と彼は後悔してないの」

「リアルタイムの感情だけで言うと、してないよ」

「鈴音より彼のほうがいっぱい責められると思う。正直今でも、本当に鈴音のこと大事に思ってくれてるのならこのタイミングでそれは無いよなぁなんて思っちゃうし」

「正論だよ。でもね、誰かが誰かを大事に想う気持ちを誰かの尺度で測らないで欲しいとも思う。確かに順番が違うし、交際のことすら話せないのに何が責任だよ、覚悟だよって思う。社会人なのに女子高生を妊娠させたなんて、印象良くないと思うし」

「彼への評価は…そうなっちゃうと思う」

「いっぱい謝罪もされた。自分で自分のこといっぱい責めてた。それでも、私の人生を変えてしまったとしても、この先一緒に居ない未来は考えられないって必死で訴えてくれたの」

「人生変わり過ぎだよそんなの」

「私もまさか自分にこんな未来が待ってたなんて思いもしなかったよ。周りの期待通り、親の期待通り、″いい子″を生き続けるんだと思ってた。こんな選択肢が与えられるなんて思ってもみなかった。やっとね、思えたの。高校を出れば、クラスの枠組を抜けてしまえば私みたいな子なんていくらでも居るの。社会人になれば私の存在なんてきっと埋もれてしまう。でもこの子の命が芽生えた時、私は何者かになれる気がした。お母さん、なんてそれこそ″当たり前″みたいな存在かもしれない。それでもこの子には私と彼しか居ないでしょ。私じゃなきゃこの子をこの場所に誕生させてあげることはできない。使命感、みたいな感じかな。生きなきゃって、初めて強く思えたの」

「今じゃなくてもって思っちゃうよ。今じゃなきゃできないこともあるよ…」

「そうだね。でも、もう今じゃなきゃだめだから」

「そう、だよね」