制服に守られている僕達の特権

「学歴なんてどうだっていい。私はこうあるべき、なんて世間の評価だってもっとどうでもいい。だって私は周りが、ナギが思ってくれてるような凄い人なんかじゃ全然ない」

彼のことを話している時はあったかい表情をしていたのに、今の鈴音の瞳には落胆の色が浮かんでいる。

鈴音は凄い。
私ができないことも鈴音はなんだってやってみせる。
蝉の存在にすら偉いと思ってしまうくらいの自己評価を下す私とは違う。

鈴音の未来には無数の選択肢が広がっている。
今は「高校生」だという名札を付けて、個性を殺されるような制服を纏って、けれどその制服こそに守られている私とは違う。

制服を脱ぎ捨ててしまえば私はこの高校に通っている学生であることの「名札」を失うのだ。
何者にもなれないまま、守られている特権を失ったまま、それでも生きていかなきゃと思えるほどの夢も希望も今の私には思いつかない。
そこに安心しきっているのも事実だ。

今はこの制服を纏って、女子高生でいればいい。
卒業する頃には当たり障りなく目標が見つかって、オートで大人になって、平凡でもなんとなく生きていくのだろう。
そこに鈴音が居てくれればなんだって私はハッピーなんだから。

だから私は、私は…。ああ、そうか。

「ごめん鈴音」

「ナギ?」