制服に守られている僕達の特権

「学校、辞めようと思うんだあ」

「………え?」

春に十七歳になったばかりの七月。
夏休みまで残り二週間となった放課後。
地上よりは強めの、生ぬるい屋上の風に煽られながらなんでもないことのように親友が言った。

鈴音(すずね)とは小学校からの親友だ。
五年生の時に初めて同じクラスになった。
成績もパッとしない、どちらかと言えば運動音痴、絵もへたくそ。
そんな私と、鈴音は正反対だった。
なんでもそつなくこなす鈴音に憧れて、タメなのに姉のように鈴音を慕う私のことを、それこそ妹のように可愛がってくれた。

鈴音と同じ時間を共有していない日常なんて考えられない。
絶対に同じ高校に通いたくて、人生でもう二度と無いくらい、脳がはち切れそうなほど受験勉強を頑張った。

合格発表の日。
掲示板にズラッと並んだ受験番号の中から二人で一緒に見つけた、お互いの三桁の数字。
一生分と言ってもいいくらいの涙を流したこと、あの感覚を今でもはっきりと憶えている。

そんな鈴音がはっきりと、私との間に一線を引いた。
予想外の宣言に、鈴音が外国人になってしまったのかと疑いたくなるほどに、彼女の言葉が理解できなかった。